
ご質問があればお気軽にどうぞ
If you have any questions, feel free to ask.
腰痛は人生で80%の人が経験し、そのうち70-90%の方が1度以上の再発をします。通常1年以内に言うなれば極めて一般的な症状です。
このページではどうしたら、あの悪夢のような腰痛の再発を防げるのかをエビデンスベースでお伝えすます。
マッコーリー大学(オーストラリア)理学療法学教授のMark Hancock氏らによる研究(2024/6)
24時間以上続く腰痛を経験している18歳以上の成人701人(平均年齢54歳、女性81%)を対象にランダ/ム化比較試験を実施。
6カ月間にわたる個別化された段階的な理学療法士との6回のセッションによって促進される、漸進的な歩行および教育介入ウォーキングプログラムのセッション介入が腰痛の再発予防に有効か検討。
対象者は、351人が介入群、350人が介入を提供されない対照群に割り付けられ、12カ月以上(最長36カ月間)追跡。
【結果】介入群での腰痛再発までの期間中央値は208日であり、対照群での112日を大きく上回ることが判明。
【考察】「なぜウォーキングが腰痛予防に効果的なのか、正確な理由は不明だ。
おそらくは、全身にもたらされる緩やかな振動、脊椎構造と筋肉への負荷とそれらの強化、リラクゼーションとストレス解消効果、幸せホルモンのエンドルフィンの放出など、さまざまな要因の組み合わせが効果的に作用しているのだろう」
「ウォーキングは低コストで、地理的な場所や年齢、社会経済的な状況に関係なくほぼ全ての人が広く取り組める簡単な運動だ」と述べている。
論文の筆頭著者のNatasha Pocovi氏は、「これまで検討されてきた腰痛予防のための運動ベースの介入は、概してグループベースで行われる上に、綿密な臨床監督と高価な器具を必要とするため、大多数の患者には利用しにくいものだった。
それに対し、ウォーキングはシンプルな上に必要コストも低い。その上、ウォーキングには、心血管の健康、骨密度、健康的な体重、メンタルヘルスの改善など、多くの健康上の利点があることも分かっている」と付け加えている。
Pocovi NC, Lin CC, French SD, Graham PL, van Dongen JM, Latimer J, Merom D, Tiedemann A, Maher CG, Clavisi O, Tong SYK, Hancock MJ. Effectiveness and cost-effectiveness of an individualised, progressive walking and education intervention for the prevention of low back pain recurrence in Australia (WalkBack): a randomised controlled trial. Lancet. 2024 Jun 19
歩くだけで予防になりますから、一番費用が抑えられます!
一応6回の理学療法士による介入があるので、歩き方のバリエーションや意識の持ち方など、ただ単に今までの歩き方で歩くのとは違うのは注意が必要です。
このようにタイトルにしてしまうと、「運動しているのに腰痛になった、何故だ?」という方もいます。そうです、完璧ではないです。
そうは言っても、いま確実に言えることは、運動が唯一の腰痛予防策である、ということです。
ではどんな運動をどれくらい行えば良さそうか?ということをエビデンスベースでみていきましょう。
96人の参加者を解析したところ、週あたり1.45未満の積極的な治療セッションは、再発の1年間のリスクを82%増加させます。したがって、週に少なくとも2回の治療セッション(運動介入)を実施することをお勧めします。
Krause, Frieder et al. ‘Medical Exercise and Physiotherapy Modes and Frequency as Predictors for a Recurrence of Chronic Non-specific Low Back Pain’. 1 Jan. 2021 : 1 – 6.
これは医療プログラムとして、しっかり管理された研究です。日本の現状では、ヨガやピラティスなどを学ぶのが現実的な方法です。ポイントは週に1回足を運んでいるのに…腰痛が再発するのはあたり前ということです。週に2回以上何らかの運動に取り組む必要があります。
その運動は何か?というのは人によって、状況によって違うので探していく必要があるでしょう。
ぎっくり腰は繰り返している人が多いですね。
再発率自体はかなり高いのですが、少しでも再発率を下げたり、再発した時にも痛みを最小限にとどめたい場合は積極的にリハビリテーションをしていく必要があります。コクランレビューとデンマークデータべースからのレビューなので信用性はかなり高いです。
2003年ですからちょうどガイドラインが出て数年したくらいでしょうか。積極的なリハビリが行われている現在ではもう少し率は下がっているかもしれませんね。
36研究をレビューした結果、腰痛既往歴のない患者の22%、腰痛既往歴のある患者の56%が1年以内に再発し、全腰痛患者の再発率は60%
12ヵ月後にも痛みを感じている患者の割合は、平均62%(範囲42~75(範囲42-75%)
6ヵ月後に病気になった患者の割合は16%(範囲3-40(範囲3-40%)
痛みの再発を経験した割合は60%(範囲44-78%)
欠勤が再発した割合は33%(範囲26~37%)腰痛 のリスクは一貫して約2倍であった。
腰痛のリスクは一貫して、LBPの既往歴のある人の約2倍でした。
今回の検討結果では方法論の違いや比較可能な定義がないにもかかわらず全体的には、腰痛は無視しても解決しないということです。
そして、腰痛の正確な定義に関するコンセンサスを得るために今後の研究では、サブグループの分析を行い、腰痛の正確な定義に関するコンセンサスを得るよう努力すべきである。
(Hestbaek L. et al, Eur Spine J, 2003)
1年以内の再発率を下げるのは最初のぎっくり腰の時の対応が大切。しかし中期スパンでみると6割の方は再発してしまいます。経験上言えるのは、痛みが取れてくると必要な運動を次第にしなくなるからです。=身についていない
15研究をレビューした結果、痛みと活動障害は1ヶ月で改善して82%が職場復帰を果たすものの、1年以内に73%が再発
(Pengel LH. et al, BMJ, 2003)
少人数の研究ではありますが、急性腰痛回復期間内に特定のリハビリを行うと再発率が下がります。
急性腰痛の原因は特定するのが困難ですが、発症の主な原因の一つに腰背部への過剰な力学的負荷によって組織に疲労や微細損傷が生じていることが挙げられます。
何気ない日常動作が特定の腰背部位への反復ストレスになっているケースは多いです。
初回の急性腰痛患者を39人を2グループに分けた
医学的管理グループ(アドバイスと薬の使用)
特定の運動群(腹横筋との共収縮で多裂筋をリハビリすることを目的とした運動)のいずれかにランダムに割り当てた。治療から1年と3年後、患者に電話による質問票を実施。結果: 特定の運動グループの患者は腰痛再発が少ないことが分った。
治療の1年後、特定の運動群の再発は30%であり、対照群の再発は84%。
治療の2〜3年後、特定の運動群の再発は35%であり、対照群の再発は75%でした。結論: 長期的な結果は、医学的管理と通常の活動の再開に加えて、特定の運動療法が、医学的管理と通常の活動のみよりも腰痛の再発を減らすのにより効果的である可能性があることを示唆しています。
Hides JA, Jull GA, Richardson CA. Long-term effects of specific stabilizing exercises for first-episode low back pain. Spine (Phila Pa 1976). 2001 Jun 1;26(11):E243-8. doi: 10.1097/00007632-200106010-00004. PMID: 11389408.
脊椎マニピュレーションは急性腰痛、慢性腰痛の療法に一定の効果があることは認められているものの、腰痛を完全に予防しないことが2021年現在判っていることです。
間違いなく言えることは、「定期的な脊椎矯正は腰痛が再発したときの重症度を下げる」ということです。
カイロプラクティック臨床経験上、メンテナンスケアに来ている方が腰痛再発をしても、日常生活に支障を来すまでの腰痛にはなっていません。
そもそも初めての腰痛のきっかけになるのは精神的な要因であることも多く、気分障害や気分変調がをケアする必要性が精神医学から説かれています。
精神医学からのエビデンスはこちらをクリックしてください。