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伊藤孝英
院長
ロイヤルメルボルン工科大学健康科学部カイロプラクティック学科日本校卒業。B.C.Sc(カイロプラクティック学士), B.App.Sc.(応用理学士)。従来の筋骨格系障害としての腰背部痛から生物社会心理的要因としての腰背部痛へとシフトチェンジ。鬱や不安障害にも着目したマルチモデルでヒューマンケアしています。
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痛み– 痛みとは何なのかを学ぶ –

病院を受診する時やカイロプラクティック、接骨院やマッサージ、針治療などの代替医療を利用するとき多くの場合「からだの何処かが痛い」時だと思います。

当然主観的には「身体が痛いのだから何処かが悪いのだろう」と考えます。

それではこの「痛み」を学術的にはどう捉えているのかをご説明します。痛みを抱えて悩んでいる人達が痛みから解放されるきっかけの一つになればと思います。

目次

痛みの定義(IASP国際疼痛学会 2020年改訂)

国際疼痛学会で40年ぶりに再定義された「痛み」の定義。

まずは英語による原文です
An unpleasant sensory and emotional experience associated with, or resembling that associated with, actual or potential tissue damage.

https://www.iasp-pain.org/publications/iasp-news/iasp-announces-revised-definition-of-pain/?ItemNumber=10475

Google翻訳ですと、痛みとは「実際の、あるいは潜在的な組織損傷に関連する、あるいはそれに類似した、不快な感覚的・感情的体験。」

DeepL翻訳ですと、痛みとは「実際のまたは潜在的な組織損傷に関連する、またはそれに関連する不快な感覚的および感情的な経験」

痛み情報センターでは「組織損傷が実際に起こった時、あるいは起こりそうな時に付随する不快な感覚および情動体験、あるいはそれに似た不快な感覚および情動体験。」と訳しており日本語としては一番わかりやすいです。

そのまんま

あるいは や または および などと表現されているのは、サブラクセーションの説明に似ていますね。一言では言いきれないが、理解することが痛みのコントロールに繋がります。

ポイントは感覚的な体験と並列で情動体験がともなうこと、感情体験をしているという部分。
組織損傷が実際に起こっていなくても、起こりそうなときにも感覚、情動体験があり、それに似た体験もある部分です。

ですから単純な感覚だけの話でなく、感情体験が伴います。

学生時代、生理学の授業で説明してもらった事が例として解りやすいのでご紹介しますと「性的嗜好でSMの趣味がある方、マゾヒストの方は痛い感覚に”嬉しい””気持ちいい”という感情が伴います。

このことを解りやすくするために、2020年の改訂バージョンでは6つのキーとして説明しています。

6つのキーノート

価値のある文脈にするために6つのキーノートと痛みという、痛みの定義にいたった背景・情報を追加することで解りやすくなっていますので、以下の6文をさらに読んでみてください。

  • Pain is always a personal experience that is influenced to varying degrees by biological, psychological, and social factors.
  • Pain and nociception are different phenomena. Pain cannot be inferred solely from activity in sensory neurons.
  • Through their life experiences, individuals learn the concept of pain.
  • A person’s report of an experience as pain should be respected.
  • Although pain usually serves an adaptive role, it may have adverse effects on function and social and psychological well-being.
  • Verbal description is only one of several behaviors to express pain; inability to communicate does not negate the possibility that a human or a nonhuman animal experiences pain.
  1. 痛みは常に個人的な経験であり、生物学的、心理的、社会的要因によってさまざまな程度に変化し影響を受けます。
  2. 痛みと侵害受容は異なる現象です。痛みは、感覚ニューロンの活動だけから推測することはできません。
  3. 人は人生経験を通じて、痛みの概念を学びます。
  4. 痛みとしての経験に関する個人の報告は尊重されるべきです。
  5. 痛みは通常、適応的な役割を果たしますが、身体機能や社会的および心理的な幸福感(ウェルビーイング)に悪影響を及ぼす可能性があります。
  6. 言葉が通じないからといって、人間や動物が痛みを感じている可能性が否定されるわけではありません。

このキーノートを解説することで痛みとは何かという理解しやすくなるとおもいます。医学の教科書を読んだことがない人にとってはややこしいでしょう。なるべく解りやすい解説をします。

①の生物学的はいわゆる身体構造です、こればかりでなく心理的なこと、さらにみなさんの社会的なこと例えば転職した、離婚したといったことまでが痛みの経験に影響しますよ、と言っているわけです。解りやすいのでSMで考えると、例えば叩かれるという刺激でも女王様にSM倶楽部内で叩かれる時(社会的)には”嬉しく”なる訳です。

②の侵害受容とは例えば手を切った時に、切ってしまった部分の痛みセンサー(感覚ニューロン)が発動するわけですが、このセンサーが発動することと痛みとは違うと言っているわけです。生理学では痛みセンサーが発動して情報を脳に伝えて痛みを経験すると勉強しますが、これが痛みそのものではないとしています。解りやすい例えが「心頭滅却すれば火もまた涼し」で物凄い集中している時や、突然足を切断してしまった時など痛みを感じないと言います。感覚ニューロンは活動しているでしょうけど。SM倶楽部で考えるならば、ビシッと鞭で叩かれること自体が痛みとは言い切れないのです。

③は私も考えたことなかったのですが、非常に奥深いお言葉です。個々の人生経験を通じて個々の人が痛みの意味、意義を他者と照らし合わせて学んでいくということでしょうか。原文だとThrough their life experiences, individuals learn the concept of pain.となっているので「痛みの構想, 発想, コンセプト, 考え, 概念を個々が学ぶ」になりますね。つまり個々の人間によって「痛みのコンセプト、考え方が違う」という事になります。くどいようですがSM倶楽部で考えると判りやすいです。

④臨床をやっていると患者さんの訴えがやや「大袈裟」であるように聞こえることもあるのですが、個々の方にとっては感覚的、特に感情的に大変な経験をされているということになります。多職種連携で集学的痛み治療をしている病院ですと、問診だけで2時間以上費やすそうです。

⑤多くの場合人は痛みを避けるように行動しますが、長く続いたりすると抑鬱になったり、場に適応しそこなったりしてウェルビーイングに影響することもあります。

⑥以前は生理学では「動物は痛みを感じているとは言い切れない、なぜなら痛いと言わないから」という立場でしたが、このキーノートが書かれたことで解釈の幅が広がりました。

痛みを扱う複雑さと面白さ

以上見てきたように、痛みとは複雑で多様です。各個人の感覚的、情動的体験をケアしていくことになるということをご理解いただければと思います。

なんとなくでも理解することが各個人が痛みをコントロールするのに必要です。キーノート③にあるように「人は人生経験を通じて、痛みの概念を学びます。」単に治療院での治療期間中にどうこうなるものでもなく、一生を通じて痛みの概念を学ぶものなのです。

統合的なケアは、以下のような場合があります。
補完・代替医療、伝統医療、またはその両方の分野から治療戦略を組み合わせる。
IASP2023年世界年では、統合的疼痛ケアとは、複数の治療法を注意深く計画的に統合することであると定義しています。

【痛みに生きる人】とは(person alive in pain)

(1)彼らは幼少時における両親との不幸で歪んだ交流の中で、真に甘え、かまわれた経験がない。また両親の離婚や死別 などによる交流の断絶を経験していることもある。

(2)痛みの発生状況は身近な愛の対象者から拒絶される不安、もしくは現に拒絶された抑うつに端を発している。痛みは自分を捨てた人への恨みと攻撃感情の象徴であるが、それでもなおその人を求める絶望的願いでもある。

(3)彼らは自分の愛を拒絶した人への両価的な恨みや憎しみの攻撃感情が強く、それを周囲の対人関係にも示し、より攻撃的、抗争的になるため孤立化していき、痛みのみに生きざるをえない状況を作り上げてしまう。

(4)その中で彼らは、自己の生存の理由と社会的役割を証明する最後の手段として痛みに固執していく。そしてその痛みは身体的、器質的痛みでなければならず、慢性の自己評価 の低下した現実状況の中で、誇り高く痛む人の役割を担い、理想自我の満足を得ている。もはや彼らの痛みは生きてい く上で必要不可欠なものとなっている。

(5)かくして彼らの『恨みの構造』はもはやかまわれることを受け付けないほどに強固なものになっており、治療者の態度にも強い攻撃性を向けはじめ、解消に向かうことは甚だ困難である。

脳や脳内物質だけに着目した場合、ここで問題なのは、扁桃体(不安・恐怖・怒り・悲しみ)の暴走を抑える前頭前野(DLPFC)の消耗性萎縮と、エンドルフィン(μ-オピオイド)やドーパミンを放出する側坐核の機能低下です。

前頭葉が萎縮しているために正常な判断力が低下し、治療意欲を失っているのです。しかし、どんな手段を使ってでも前頭葉と側坐核を活性化させて、扁桃体を鎮める必要があります。

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