「静的ストレッチ」というのをご存知でしょうか?
ストレッチにはおおまかに分けて「動的ストレッチ」と「静的ストレッチ」があります。このふたつの特徴と違いや正しい静的ストレッチ方法をお伝えします。
目次
静的ストレッチとは
静的ストレッチとは、おそらく皆さんが小学生時代から習ってきた、オーソドックスなストレッチです。
運動をするまえに体の部位ごとに筋を伸ばすことで柔軟性を取り戻し、血流を回復させ体温を上昇させます。
動的ストレッチとは
動的ストレッチとは、からだの反動を利用したストレッチで、別名「バリスティック・ストレッチ」とも言われます。
バリスティックとは「投げる」という意味があります。
この動的ストレッチは、身体の力を抜くのが難しいので最初は指導者の元で行わないと逆に腰を痛める危険性がかなり高いです。
ストレッチの基本は「力を抜く」ことから
ヨガをやっている方は体感していると思いますが、力を抜くことはとても難しいです。
何年もヨガをやって、自分の力が抜けていないのが理解できるものですから、腰痛がある方は基本的にはガチガチに身体中、特に腰が緊張しているんだとご理解ください。
基本をマスターするまで、できれば指導者をつけよう
近年身体のセルフケアの概念が浸透してきて、静的ストレッチは勿論のこと、動的ストレッチという概念も浸透しつつあります。
指導者なしで行う場合は静的なオーソドックなストレッチを行うほうが無難です。
動的なストレッチは反動を使うため、無理をすると筋肉の構造の限界を超えて、筋肉を傷めることになります。
ストレッチを含めた体動を身に着けていくことは、指導者というか模範となる人が目の前にいることが最重要となります。文章やイラストは参考にこそなれ本質ではありません。
理由は脳にミラーニューロン(鏡の神経細胞)がありまして、目の前の人の動きを無意識に真似する神経細胞があるからです。指導者の息遣いや目線、集中の仕方、何に重きを置いているか、佇まいなどを人はオートマティックに真似をします。
文章やイラストから得られるものはイメージでしかなく頭の中で処理される偶像程度にお考えください。そしてストレッチの本やDVDは無数にありますから、形はそれらを参考にして頂き、あまり触れられない重要なポイントをお伝えしていきます。
ですから腰痛の方が動的ストレッチ(バリスティックストレッチ)を始めようものなら、ほぼ筋膜や筋腱移行部を痛めてしまいます。筋肉が縮まる方向性に働くのと伸ばそうとするのと同時に働いてしまい、倍の力が加わり痛んでしまうのがオチです。
私も初動負荷トレーニングのジムでバリスティックストレッチのご指導いただいていますが、お恥ずかしながら何回か痛めました。リラックスして筋肉を伸ばせるようになるのには、それ相応の時間が必要だと感じています。
腰痛のストレッチで大切な事
腰は漢字の旁(つくり)から見ても「にくづき」に「かなめ」ですから、身体の要になる場所です。
重力が掛かっている状態で身体を使うには、とても重要な場所なので頑丈にできています。地面から跳ね返ってくる力が脚、股関節、骨盤、腰と伝ってくる場所ですから腰を柔らかく使う、伸ばすというのが難しい場所とも言えます。
腰痛に効く静的ストレッチのやり方
ハードワーク、仕事の緊張、運動不足などさまざまな要素で腰が硬くなっているのですが、腰自体を伸ばしたい時、思うように腰自体を伸ばせないことも良くあります。
残業や育児など何かと忙しいと思いますが、落ち着いて、深い呼吸をしながら筋肉を、全身を弛緩させましょう。
例えばハムストリングス(太もも)が硬いとか、胸の筋肉が硬い、股関節が硬いなどで腰のストレッチに至らないことも多くあります。急がば回れという言葉がありますが、ストレッチにおいても焦らず諦めず向き合うことが腰痛に効くストレッチのやり方になります。
焦らずストレッチをすることで、ご自身の身体がどうなっているかが見えてきます、引いては何故腰が硬くなっているのか、緊張しやすいのかが見えてきます。
ハムストリング・ストレッチ
先ずはハムストリングス(腿ウラ)を伸ばしていきます。日々のハードなデスクワークで膝を曲げている方、運動不足だった方は特に硬くなっていますよね。
腰痛持ちの特に男性ではハムストリング(腿のウラ)が硬いことが多いです。
日々静的ストレッチやバリスティックストレッチ(動的ストレッチの一種)を行うことで少しずつハムストリングが伸びてきますから、骨盤の動きに余裕を持たせることができます。
ハムストリングが硬いと立っている姿勢で骨盤を針金で下から固定しているような感じで、骨盤の前傾、後傾の動きを阻害してしまいます。
ある程度の柔らかさを獲得するためには毎日ストレッチを行う必要があります。
もし腰痛の為にバリスティックストレッチ行うことがあるならば、しっかり指導できるベテランインストラクターの居る初動負荷トレーニングジムに通う事をお勧めします。
ダイナミック・ストレッチ
動的ストレッチの一種であるダイナミックストレッチと呼ばれるストレッチ。
スポーツや特殊な身体活動を行う前のウォームアップとして筋力、柔軟性、バランス、協調運動を向上させるために最適なものなので、腰痛対策ストレッチとしては最適なものではないかも知れませんが、腰も含めた血流の改善という意味では有用です。
そもそも腰痛も含めた慢性痛がある箇所は使っていない、硬くなるなど部位が使えていないことが多いです。
腰痛へのストレッチも日々行う必要があるので、いろいろ組み合わせると良いのですが、ここでは基本的には静的なストレッチを中心に進めていきます。
まずはここのサイトで基礎知識を得て、ストレッチは可能ならヨガやストレッチ教室、トリム体操など近所で指導者がいるところで無理なく行っていくことをお勧めします。その時の注意点もあります。
レッグプレスによるハムストリングのストレッチ
ジムにあるレッグプレスというマシンでバックラインの下肢部、つまりハムストリングからフクラハギ、足裏にかけて伸ばす方法もあります。
これはバリスティックストレッチになりますから、気をつけないと筋膜を痛めてしまいます。通常は重りのついたのを持ち上げるように使用しますが、ストレッチとして使用するには、重りを付けづにフットプレートを落とすことをリズミカルに繰り返します。最初は初動負荷トレーニングのジムで要領をつかむことをおススメします。
体を柔軟にする
まずストレッチをして身体を柔らかくしていくことは、腰痛を軽減させる一つの要素であることは間違いないです。
しかし世の中にはバレリーナやダンサー、体操選手など身体の柔軟性が非常に高い方でも腰痛があるかたもおられます。
これは何故かというと、例えばスプリット、いわゆる180度開脚して前にベチョーっとお腹付けられるのは股関節の可動性が高いからです。
180度開脚ができるようになって腰痛が取れるひともいれば、腰痛が取れない人もいます。
簡単に説明すると腰が柔らかく使えてなければ例え180開脚ができていても腰痛があるということです。逆にいうと股関節が硬くても腰が柔らかく使えていれば腰痛はありません。
ストレッチと器具での筋膜リリースは同じように可動域が増える
私たちが施術でしようするような器具で筋膜リリースを行うと、ストレッチと同じように可動域が一時的に増えるようです。60人を3グループにわけて、ふくらはぎに施術をして足首の角度を比較した研究です。
(Carrie A.RowlettaWilliam J.HanneyaPatrick S.PabianaJordon et al.) https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1360859218300767
ストレッチやヨガでも硬くなって、緊張しているところを擦ってあげたり、揉んであげたりしますが、浅筋膜の癒着がすこしゆるんで柔軟性がでるようです。
腰回り、ハムストリングス、背中などもご自身で擦ってあげながらストレッチを行うことでストレッチをサポートするものと思われます。
まとめ
いかがでしたか?
ストレッチは特別な器具や道具がなくても誰でも家でできるものです。手軽な上に大変効果があり、高齢の方で外出が難しい場合でもストレッチを行うことで屋内での転倒や寝たきりの予防にもなります。
ぜひ毎日の日課にして続けてみてください。3ヶ月もすると、ちょっとした身体の変化を実感できると思います。
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