「朝起きると右の肩から小指にかけてピリピリとした痺れがあり、日中もPC作業に支障が出て仕事に集中できない……。」
腕の痺れや痛みは、日常生活のあらゆる場面に影を落とし、このまま治らなかったらどうしようという強いストレスや憂鬱感を引き起こしてしまいますよね。
今回は、1ヶ月間右腕の痺れに悩み、睡眠障害も起きていた50代男性が、カイロプラクティックによる頚椎へのアプローチや生活環境(睡眠の質)の改善によって回復した事例を通して、頚部神経根症状への向き合い方と回復までのプロセスを解説します。
右腕の痺れが1ヶ月続く男性への脊椎矯正と神経根症状の基礎知識

腕の痺れは医学的には神経根症状と呼ばれます。
背骨の間から出て
腕へ延びる脊髄神経のどこかが
何らかの障害を受けている可能性がある
という概念です。
カイロプラクティックによる症例報告です。腕の痺れは頚部神経根症状(しんけいこんしょうじょう)という呼び方をするように統合されてきています。
これは背骨から出ている神経に何らかの障害がでているであろう、という名称です。
カイロプラクティックのような背骨を調整する代替医療においても改善が見込まれますが、運動療法を併用することで効果が確実に得られるようです。
カイロプラクティックやオステオパシーのような手技療法で、腕の痺れ(神経根症状)を治療していく場合、運動療法と組み合わせることで効果が得られることがシステマティックレビューにて確認されています。構成されているRCT(ランダム化比較対照試験)の質が上がってくれることが期待されています。
Thoomes EJ. Effectiveness of manual therapy for cervical radiculopathy, a review. Chiropr Man Therap. 2016 Dec 9;24:45. doi: 10.1186/s12998-016-0126-7. PMID: 27980724; PMCID: PMC5146882.
- 1ヶ月痺れていると憂鬱になってくる
- PC作業に支障が出るのでストレス倍増
- MRI検査で異常はなく神経痛
50代男性・Webデザイン業における痛みと経過・睡眠への影響
- 右の肩から腕の外側を通り、小指にかけて痛みと痺れが一月続いている
- 病院では神経痛といわれビタミン剤を処方されるものの経過は良くない
- 針治療にも行ってみたが変化はない
- 腕の痺れ、痛みで睡眠障害がおきている
後に論文でご紹介しますが、この睡眠障害が大きなポイントとなります。
カイロプラクティック検査と徒手牽引・首から手の痺れの切り分け
- 首・右肩・右腕右手の外側に痺れ感がある。
- 筋力低下はC8領域のみ。
- 神経学的な感覚の鈍磨は右手の小指球だけだった。
- 首は触れるだけで痛い

- 脊柱全体の伸長性の低下があるので徒手による牽引治療
- Cervical Compression+首を後ろにそらすと腕の痺れのみが増すので、腕の痺れと、手の痺れは分けて考えました。この場合腕の痺れは頚部神経根症状、手の痺れは別に原因がある可能性。
- 週に1回の施術を8週行った。徐々に回復していくものの、小指対立筋の筋力低下、小指球のトーンが落ちているのが目立った。
男性自分ではぐっすり眠っていたつもりでしたが、引っ越して夜間の車の通行音で睡眠が浅くなっていました。環境が変わって気づきました。
何回か通っているうちに、痺れが和らいでいった。
仕事でのストレスも症状と関係しているだろうと言われて納得しました。
引っ越しを機に完全に回復した。結果的に判ったことは慢性的な睡眠の質低下
院長コメント:痺れや痛みは画像に映らない理由と生活環境の盲点
この方は、最初は眠れるようになって少しずつ落ち着きを取り戻されていきました。完全に回復したのは、実はお引っ越しをされて、睡眠時に車の騒音から解放された時でした。
人間の回復に睡眠がいかに重要であるかを物語る症例だと思います。国道沿いや交通量の多い道沿いですと思っているより騒音は大きいものです。環境の問題は意外に大きいなと思わされる症例でした。
初期の段階で少しずつ眠れるようになっていったことは、カイロプラクティックがお役に立てたのではないかと思います。人間の症状は実にさまざまな要因があります。それらをひとつひとつ解決していくことも回復にむけて大切なことです。
概要:頚部神経根症状(CR)を持つ患者における睡眠障害の高い有病率やリスク要因を分析した論文です。研究の目的: 頚椎神経根症状(CR:首の痛みや腕の痺れなど)を持つ患者における、睡眠障害の有病率や影響するリスク要因を調査すること。
主な結果:
- 調査対象となった頚椎神経根症状の患者のうち、約56.5%(過半数)に睡眠障害が認められた。
- 睡眠障害を引き起こす主なリスク要因として、女性、抑うつ度の高さ(BDIスコア)、首の可動域の減少、首のバランス(アライメント)の異常、首の深層筋(傍脊椎筋)の左右非対称などが深く関係していることが分かった。
結論: 頚椎神経根症状の患者は睡眠障害を合併しているケースが非常に多いため、医療従事者は痛みだけでなく睡眠の状態もしっかりと評価し、適切な治療戦略を立てる必要がある。
Shi T, Chen Z, Li W, Wang Z, Liu W. Prevalence of sleep disturbance in patients with cervical radiculopathy and an analysis of risk factors: a cross-sectional study. Eur Spine J. 2023 May;32(5):1624-1635. doi: 10.1007/s00586-023-07655-y. Epub 2023 Mar 19. PMID: 36935452.


