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腕の痺れ、頸椎ヘルニアと診断を受けて2年

腕に痺れあり、3か所の頚部椎間板ヘルニアを整形で指摘された30代男性。

この男性の症状は首まわりの症状と左手の親指から中指にかけてつながった痺れです

2年が経過しているので、慢性症状になります。

病院では回復に向かわなかったのですが、カイロプラクティックを通して、どのように回復に向かったかをエビデンスベースでお伝えしていきます。

カイロプラクティックは日本では馴染が薄いですから、なぜお医者さまで回復しないものが回復に向かうかを海外のガイドラインや文献を引き合いに解説します。必要な方はリンクでご確認いただければと思います。

目次

状態を文献を基に冷静に考える

腕に痺れあり、3か所の頚部椎間板ヘルニアを整形で指摘された30代男性。

この症例の男性は、病院で3か所のヘルニアを指摘され、2年経過しても大きな変化がないということで、カイロプラクティックを訪ねてくださいました。

この男性の症状は首まわりの症状と左手の親指から中指にかけてつながった痺れです。
現代医学では頚部神経根症状とカテゴライズされます。

椎間板造影を行っているか?保存療法は行ってきたか?

回復していない場合は、判断を疑って考える必要があります。

頚椎の椎間板変性は実に多くあり、無症候性(痛みなどの症状がない)椎間板変性も多くあります。つまり症状の無い椎間板変性です。

半分の頚椎椎間板ヘルニアは無症候性であるといわれており、首、腕の症状と関連しているかどうかを判断するにはディスコグラフィー(椎間板造影)が有効です。(Baogan Peng , Michael J DePalma )

この患者さんは椎間板造影までは行われていなかったようです。

2015年の頚椎椎間板ヘルニアの治療指針では、少なくとも6週間は手術以外の保存療法をおこなう必要があると断言しています。
この6週間の保存療法期間中に75-90%の患者さんが回復します。
この論文での保存的治療の定義は、固定化(コルセット?)、抗炎症薬、理学療法、頸部牽引、硬膜外ステロイド注射となっています。

Woods BI, Hilibrand AS. Cervical radiculopathy: epidemiology, etiology, diagnosis, and treatment. J Spinal Disord Tech. 2015 Jun;28(5):E251-9. doi: 10.1097/BSD.0000000000000284. PMID: 25985461.

※硬膜外ステロイド注射は役立つかもしれませんが、深刻な合併症のリスクが高くなります(2016,Childress MA, Becker BA)

この患者さんは抗炎症薬の処方と頚部牽引治療は行われていました

ですから標準的医学治療が行われていたが回復していない25-10%に分類されます。

俯瞰して腕の症状をみてみよう

腕の症状は一般的で約20%の方にあり、他の部分にも症状有

先ずは人口における腕の症状があるひとの割合をご紹介して程度に差はあれど、それほど珍しいものではありません。

なんらかの腕の慢性的な症状は、2003年の無作為による調査では大なり小なり20%の人が持っているそうです。けっこう多いですよね。

たとえば私も職業柄腕をよくつかいますので、ちょっとした痛みが左うでにあります。

ですから多くの方が何等かの腕の症状があります。(Gummesson C、Atroshi I、Ekdahl C et.al)

ちなみにこの論文では、腕に症状のある方のうち84%の方は、身体の他の部位にも痛みがあると報告しています。

本症例では先に示したように首回りの症状にも痛みがある、と考えてよいでしょう。

1.慢性的な腕の痺れはヘルニアによるものなのか?

先ず腕の症状ですが、上記の通り多くの方が抱えている身体症状の一つです。
診断名、治療法は頸肩腕症候群、頚部椎間板ヘルニアなど、いくつもあります。

この症例では整形外科で3か所のヘルニアの診断がでています。しかし具体的な外科的手法は取られていません。先述したように保存療法が第一選択だからです。

いろいろな考え方がありますが、手術が高額なのに効果は手技療法以下という論文もあります。もちろん手術が効果的な場合もあるでしょう。

世界初の腕の痺れがある方への比較対照試験 1997年
3か月以上持続する腕の症状(慢性頚部根性痛)患者81名を対象に4グループに分けて追跡調査
①頚部椎間板切除術
②背骨の固定術群
③各種理学療法群(カイロプラクティック、マッサージなど)
④頚椎カラー群
を比較した世界初のRCT(ランダム化比較試験)の結果、手術には保存療法を上回る効果がほとんどないことが判明。

2018年だったでしょうか、X-JapanのYoshikiさんが、頸椎椎弓切除・頸椎椎間孔切除の後にアメリカで椎間板C5-C6間の椎間板を人工椎間板置換する手術を受けたのですが、その後のインタビューで痛みは取れていないと仰っていたのが印象的です。

頚部神経根症状への手術に関してはYosikiさんが行った人工椎間板置換術もふくめ概ね満足度は高いようですが、今のところどれくらい症状の緩和が持続するかは不明とされています。(2018,Gutman G, Rosenzweig DH, Golan JD)

ちなみにですがYosikiさんが行った人工椎間板置換術と頚椎前方除圧固定術の2018年に発表された5年追跡調査では、症状の推移で5年後に差はないそうです。(MacDowall A, Skeppholm M, Lindhagen L,et al)

2.代替医療が考える腕の痺れの一つ T4シンドローム

われわれカイロプラクターもレントゲン検査学やMRI所見の見かたを大学で勉強します。法制化された国のカイロプラクターはレントゲンやMRI所見を参考にすることが日本のカイロプラクターより多いでしょう。ですから画像所見も参考にしますが、一つの参考所見になります。

例えばカイロプラクターやオステオパス(オステオパシーの施術者)の論文では、T4症候群という考え方があります。T4シンドロームとは胸椎4番付近が腕の痺れと関連しているというものです。

無作為比較対照試験によると、頚椎神経根症状がある患者さんに胸椎の操作を行う場合発症後、48-72時間以内であれば首の症状と可動域、腕の症状の軽減の可能性が高いというエビデンスまでは報告されています。

Young IA, Pozzi F, Dunning J, Linkonis R, Michener LA. Immediate and Short-term Effects of Thoracic Spine Manipulation in Patients With Cervical Radiculopathy: A Randomized Controlled Trial. J Orthop Sports Phys Ther. 2019 May;49(5):299-309. doi: 10.2519/jospt.2019.8150. Epub 2019 Apr 25. PMID: 31021691.


ただし今のところ22人対21人の比較で母数が少ないため確定的とは言えませんが、早めの対応が功を奏する可能性もあります。ただし今回の症例は慢性症状なので上記の論文は参考になりません…がT4シンドロームという概念が昔からあります。

2.代替医療の考える腕の痺れ トリガーポイントの連鎖

トリガーポイントの連鎖で痺れが出ているという観点からも、腕の痺れを考えたほうが良いと思います。

トリガーポイントは筋肉の圧痛点が神経走行分布とは違う領域に関連痛を出すことを言います。

トリガーポイントの連鎖は、トリガーポイントが起こしている関連痛領域の筋が筋活動を起こすため、中長期的に関連痛領域にもトリガーポイントを発生させます。これを「サテライトトリガーポイント」といいます。サテライトトリガーポイントから更に関連痛が関連部位に感じられます。

本来は西洋医学でも腕の触診がなされる必要があるのですが、検査機器による検査に頼りすぎてしまうため、触診がおこわれないこともしばしばであると聞きます。

3. 6か月以上続く慢性症状の考え方基本

6か月以上ある症状を慢性痛といいますが、この方のように2年あると慢性痛になります。

慢性痛の治療として意識しなければならないのはヘルニアという生物学的な損傷モデル+心理社会的なモデルとして「痛み」を考える必要があります。
鎮痛剤、生活介入、何らかの刺激、それらの賢明な使用を通じて痛みの身体的側面からの救済を提供しようとするだけでなく、ほとんどの場合に長期の痛みを伴う心理社会的苦情にも等しく注意を払うことが重要です。
患者が自分の痛みの問題をコントロールし、痛みにもかかわらず充実した生活を送ることを奨励します

Hylands-White N, Duarte RV, Raphael JH. An overview of treatment approaches for chronic pain management. Rheumatol Int. 2017 Jan;37(1):29-42. doi: 10.1007/s00296-016-3481-8. Epub 2016 Apr 23. PMID: 27107994.

そして痛みを完全に取り去ることは置いておき、「痛みをコントロールする」という方向性で考えていく必要があります。

痺れや首の症状があってヘルニアを指摘された方も少なくありませんが、6カ月以上症状が続いていれば慢性症状だと認識してください。

腕に痺れあり、3か所の頚部椎間板ヘルニアを整形で指摘された30代男性のカイロプラクティック・ケア

  • 頸部痛と左手の親指から中指にかけての痺れ
  • 発症は2年前
  • MRI検査で医師は頸椎ヘルニアが3か所あると指摘
頚椎
頚椎のヘルニアの診断が2年前

カイロプラクティック時の痛みと状態(自律神経症状有り)

  • 2年間痛み止めの薬と牽引治療を続けるが、全く改善しない
  • 生活に影響が出ている状態
  • 湿布薬の無い生活は考えられない
  • 冷や汗が出やすい
  • 寝つきが悪い
  • MRIの画像では確かに頸椎の3番4番5番6番の間の椎間板膨隆を確認したものの、臨床検査所見ではヘルニアの影響からでると考えられる筋力低下、感覚異常などの神経学的な所見はない。

つまり、首から出ている神経がヘルニアによって障害を受けている可能性は低いということです。

また一般的に何らかの頸部の症状は自律神経症状が出やすいのが特徴です。

蓄積されてくるとより厳しい状況になりQOLの低下(生活の質の低下)を招いていまいます。常態化する前に来院なさるといいでしょう。勿論ストレッチなど、こまめにして下さることも大切です。

2016年のコクランレビューにおいては、神経根症状がある、無しに関わらず肩甲骨周りの安定性やストレッチなどのエクササイズは有効であるといいます。具体的な運動量はこれからの研究で明らかにされてくるようです

(2016;A R Gross , J P Paquin , G Dupont , S Blanchette , P Lalonde , T Cristie , N Graham , T M Kay)

緊張と脊椎機能の低下が目立つ、chronic mechanical neck disorders (MND) 慢性頚椎の機能不全と判断

  • 緊張が非常に激しい
  • 首の筋肉のトーンが高い。頚椎を含めた脊柱全体に機能不全があるので、カイロプラクティックの背骨マニピュレーションにより可動性の向上を試みる
  • 腕にも筋緊張がみられたので緩和操作。ここは筋膜緊張が連鎖していたと考えられます。近年流行の「筋膜」の連鎖による上肢症状の可能性
  • ヘルニアを解剖学的、統計学的に説明して症例と頚椎椎間板ヘルニアとの関連は低いことを説明
  • 運動していく必要性をお伝えする。頚部マッケンジー体操を含む運動療法を定期的に宿題として行ってもらう

ご感想

  • 来院を重ねるたびに症状が引いてくるので、そのたびに信用できるようになった
  • 初めての来院時に来院回数の目安を伝えて頂けるので安心できました

短期的には運動習慣のある方は回復がはやい

カイロテーブル
カイロプラクティックのテーブル

週に1回スポーツクラブへ行く運動習慣のある方でしたから、比較的早期に回復しました(8回の来院)。2年ある症状ですともう少し時間がかかる方が多いです。

これは運動習慣がある方は、リハビリとしてお伝えした運動を真面目に取り組む傾向があるからです。短期的には低品質、中程度の品質の証拠がありますが、結論としては運動教育を支持していないので、これからの研究を待ちたいところです。(Anita Gross , Mario Forget, Kerry St George, Michelle M H Fraser, Nadine Graham, Lenora Perry)

カイロプラクターは運動器の機能障害を取り除きます。その上でリハビリの指導をすることで脊椎矯正単体よりも効果が期待できるとコクランレビューで確認できます。ですから単体で背骨の矯正を行っても頚椎機能不全は改善の期待ができないとも言えます。

Gross AR, Goldsmith C, Hoving JL, Haines T, Peloso P, Aker P, Santaguida P, Myers C; Cervical Overview Group. Conservative management of mechanical neck disorders: a systematic review. J Rheumatol. 2007 May;34(5):1083-102. Epub 2007 Jan 15. PMID: 17295434.
半年以上続くような症状には、首のエクササイズが必須です

また基本的に運動習慣がある方のほうが筋骨格系の機能低下が少ないですし、心肺機能はしっかりしているのでリハビリを行う上で基礎体力があると考えてよいと思います。

首の痛みは生活の質を著しく低下させ、コストも多大なものになります。効果的な保存療法でよりよい生活を取り戻すお手伝いが出来たらと考えています。(2016;A R Gross , J P Paquin , G Dupont , S Blanchette , P Lalonde , T Cristie , N Graham , T M Kay)

現在この症例の方は快調にお仕事、育児をされているようです。

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