首痛の予防法

繰り返す首の痛みは厄介なものです。極力痛み、コリ感の無い状態で過ごしたいものですが、どうしていけば可能かをエビデンスベースで解説していきます。

目次

エビデンスに基づく首痛予防法

最初に今まで首の痛みが無かった方が首の痛みを発症する際に、何が危険因子となっているのかについて調べた研究です。

これによると

  • 筋肉の緊張
  • 心理的なこと
  • 社会的なこと

が初回首痛発症の3大危険因子です。

社会心理的なストレスが多い職場、環境、学校では首の痛みが発生しやすです。

ですから首の緊張をほぐすとともに、マインドフルネス、運動、対人関係構築などストレス対処を第一に考えましょう。

2018年の系統的レビュー

首の痛みの文献878件をあらいざらい調べた結果、首痛のリスク要因は、身体​​的または心理社会的リスク要因として報告された。質の高い文献は10件。その10件による評価では首の痛みの世界的な発生率は16.2%。

最も強い心理社会的危険因子
①抑うつ気分
②要求が高い役割への葛藤
③自分で判るほどの筋肉緊張

主要な身体的危険因子はありませんでしたが、最も一般的に報告された危険因子
ぎこちない/持続的な姿勢での作業

発見された予防措置

自分に影響力あるリーダーシップがあるという認識
②自分が良い環境にいる認識
③余暇の身体活動
④頚部伸筋持久力(首の後ろの筋肉の持久力)

首の痛みに見られるほとんどの危険因子は、身体的特徴ではなく心理社会的特徴に関連していた。予防に基づくプログラムが有効であることが示唆された。

Kim R, Wiest C, Clark K, Cook C, Horn M. Identifying risk factors for first-episode neck pain: A systematic review. Musculoskelet Sci Pract. 2018 Feb;33:77-83. doi: 10.1016/j.msksp.2017.11.007. Epub 2017 Nov 22. PMID: 29197234.
そのまんま

腰痛と同じく心理社会的要因が初回発症の最大リスクです。
自分が職場などで良い働きをしているという認識があるかどうか?というのも面白い部分です。

オフィスワーカーの首痛危険因子「満足度」

2017年にオフィスワーカーの首痛発症危険因子が特定されています。

先ほどの心理社会的要因が非常に大きいことを踏まえ、自分で出来る対策をして少しでもリスクを下げることは可能です。

オフィスワーカーの首痛発症に関わる身体的危険因子:系統的レビューとメタ分析2017年

サラリーマンの首痛に関する身体危険因子を調べるため36年分の論文の中で質の高い研究20件を2人のレビュアーが吟味し4つの首痛発症リスクを特定

①職場環境への満足度が低い(リスク1.28倍)
②キーボードの位置が体に近い(同1.46倍)
③作業タスクの変動が少ない、同じ仕事をずっとしてる(同1.27倍)
④自己認識のとして筋緊張が激しい(1.82-2.75倍)

Jun D, Zoe M, Johnston V, O’Leary S. Physical risk factors for developing non-specific neck pain in office workers: a systematic review and meta-analysis. Int Arch Occup Environ Health. 2017 Jul;90(5):373-410. doi: 10.1007/s00420-017-1205-3. Epub 2017 Feb 21. PMID: 28224291.

直ぐに取り組めそうなのは、②と④です。キーボードの位置を少し離す、その日に駅前マッサージなりカイロプラクティックに行って応急処置です。

①と③は中期的に身の振り方も含め考えましょう。

2001年の研究では運動だけが唯一の首痛予防法

基本的には腰痛と同じで運動療法がベースということが2001年の研究で判って来たことです。

頚部痛と腰痛の予防をテーマにした27件の比較試験をレビューによると、教育的介入(腰痛教室)、コルセット、人間工学的介入、危険因子の修正に予防効果は確認できなかったものの、運動だけがその有効性を証明できた。

身体活動そのものが痛みを減らす

この説は2021年時点では動物実験でしか証明されていないですが、おそらく人間でもそうであろうことが予測されています。当院でもカイロプラクティック治療である程度まで痛みを減らしていき、その過程で簡単な運動をお伝えしていきます。

そしてその運動そのものが再発予防にもつながっていくことが科学的に証明されつつあります。

運動誘発性鎮痛のメカニズム:身体的に活動的な動物から何を学ぶ?
身体活動は、慢性的な痛みを持つ個人のリハビリテーション環境における第一線の治療となっています。

しかし、運動誘発性鎮痛のメカニズムを解明する研究は最近始まったばかりです。

動物モデルの研究を通じて、運動は、脳、脊髄、免疫系、および損傷部位の変化を誘発して、痛みを予防および軽減することが示されています。

動物モデルはまた、ランニング、水泳、筋力トレーニングなどのさまざまな運動モードを通じて、運動の有益な効果を調査しました。

このレビューでは、さまざまなモード、強度、運動時間による運動誘発性鎮痛の中枢および末梢メカニズム、ならびに将来の研究の方向性に関する提案とともに、運動の臨床応用について説明している。

週3-7日、一日60分のトレッドミルトレーニングは、トレーニング開始の2週間後に鎮痛が生じ、損傷がいつ発生したかに関係なく運動が有効であることを示唆

臨床的意義は、運動は痛みの発症を防ぎ、怪我後の痛みを解消する働きをします。
運動の持続時間と強度が運動誘発性鎮痛の程度に影響を与える可能性があり、運動持続時間と強度が高いほど、鎮痛の程度が大きくなります

ただし、強度が高すぎると有害な影響があることがわかり、運動強度と痛みの緩和に関しては、逆U字型の曲線の可能性が示唆されている。最後に、慢性的な痛みのある人は、激しい運動による痛みの緩和を受けられないか、運動による痛みに苦しむ可能性があるので段階的に強度を上げる、TENSEで他動的に刺激する方法もある。

Lesnak JB, Sluka KA. Mechanism of exercise-induced analgesia: what we can learn from physically active animals. Pain Rep. 2020 Sep 23;5(5):e850. doi: 10.1097/PR9.0000000000000850. PMID: 33490844; PMCID: PMC7808683.

内因性のオピオイド、セロトニン作動性鎮痛効果、内因性カンナビノイド、NMDA受容体の削減、ノルアドレナリン作動システムの発現、抗炎症性サイトカインの産生、末梢での免疫調整応答、損傷部位の細胞増殖マーカーの上昇など複数因子が痛みの軽減に関与していることが動物実験から示唆されています

女性医師

有酸素運動を行うと身体の中で鎮痛物質や快楽物質が大量に生成されます。これは地球上で人間が他の動物と比べて一番優れている「長距離を移動する」を可能にしています。

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