ストレートネックを治す必要はない、首の痛みの原因でもない科学的根拠

この記事を読んでいる方は、おそらく「首、肩が痛くて」「病院でレントゲン検査をしてストレートネックを指摘されて」「どうしたら良いのか分からない」方だと思います。

そのようなストレートネックだから首が痛い、肩が凝る、ストレートネックにカーブをつけなければならないと思い込んでいる方に必要な情報です。

レントゲン検査をしてストレートネックを指摘される人が多すぎる

首が痛い女性
首が痛い女性

思いこんでいるって、感じ悪い書き方だけど、どういうこと?

通常WEBサーチを行って「ストレートネック」と調べても、「姿勢やスマホが原因」などという記事が検索上位にあたります。そしてなぜか統計的な根拠はないもののストレートネックが首の痛みの原因と書かれているものが殆どです。

素直な男性
素直な男性

お医者さんに言われたから、そうなんじゃないの?

カイロプラクティックに来られた方での問診であるあるですが、ストレートネックが首の痛みの原因だと医療機関でお達しを受けるとのことですが、問診時に特に多く訴えられる事柄の一つなのでとても残念に思っています

ぜならば画像診断の印象は一生付きまとう傾向にあるからです。画像に囚われてしまうと、脳裏に焼き付いてしまい自分の首の痛みは頚椎の形状が問題なのだと思ってしまいます。

また同業者であるカイロプラクターがマーケティング戦略の一つとして「ストレートネックが肩こりの原因、ストレートネックにカーブをつける」という宣伝活動をしていることを残念に思います。

このページでは、そのようなことが根拠にない俗説であることを統計的な情報を基に丁寧に解説していきます。

ストレートネックは首痛の原因ではないと言い切れる根拠

首に症状を抱えている方の多くはレントゲンの写真を見ながら説明を受けると、ストレートネックが原因であると思い込んでいます。

実は10年以上前からストレートネックと症状は無関係であることが統計的に明らかにされています。ストレートネックが痛みの原因であるという質の高い研究証拠は世界中どこを探しても存在しないのです。

ストレートネックと首の症状は関係ないという比較対照試験

2013年7月 EU整形外科学会による報告
頚椎前弯※の有無と首の傷害の関連性の有無は幾つかの研究で課題になっている。

頚椎に損傷がある人60人と、健康な人100人のレントゲンを比較したところ

首の痛みの無い方で通常のカーブがある人36.5%、ストレートネックは36.5%、2コブカーブが17%、逆カーブ(逆cの字)が10%

首の痛みがある人で通常のカーブがある人は36%と、ストレートネックは34%、2こぶカーブはで26%、逆カーブ(逆cの字)が4%

統計的に有意な差がないことが解かった。ストレートネックと筋肉の痙攣(寝違い等)、と関連付けるべきではないとしている

Beltsios M, Savvidou O, Mitsiokapa EA, Mavrogenis AF, Kaspiris A, Efstathopoulos N, Papagelopoulos PJ. Sagittal alignment of the cervical spine after neck injury. Eur J Orthop Surg Traumatol. 2013 Jul;23 Suppl 1:S47-51. doi: 10.1007/s00590-012-0966-3. Epub 2012 Mar 10. PMID: 23412281.

※頚椎前弯は首のカーブの事です

エビデンス三角
エビデンスレベルの表です

比較対象試験は信ぴょう性は高いものです。医療費の高騰を招いた腰痛への研究がひと段落して首痛や膝に関する研究が2010年頃から出されるようになってきました。この表に従えば2番目か3番目の信頼性の高さです。

また下の表を見てお判りのように、医師の知識や経験というのはレベルは10番目ということになります。ストレートネックが原因で痛みが出るというのも仮説であって、その仮説を医師がまことしやかに語り継いできただけです。

逆に言うとストレートネックであることが首の痛みの原因であるという証明は出来ていないということになります。

素直な男性
素直な男性

え?どういうこと?頭がこんがらがってきたぞ…

1990年代に既にストレートネックは臨床上意義がないことが指摘されている

実はこのような指摘は以前からもされておりました。本場アメリカのカイロプラクターは画像診断権がありますから盛んに研究がなされていたようです。

頚椎前弯(首のカーブ)の判定においては、頭部の位置が決定的な要素となる。少しでも顎が下がったり引けたりしていると、それだけ少ない前弯値となってあらわれる。
多くの著者は頚椎の弯曲を直しても、それは臨床的症候学とは相関関係がなく、また予後に関する指標としても大して意味がないと主張している。

外傷、筋スパズム、変性脊椎症の後で弯曲の減少または逆転が観察されることはある。前弯が逆転されまたは直されると、変性狭窄による脊髄症の患者でも椎弓切除術に対する反応が少なくなる。

T/R Yochum& L.J.Powe著 福田邦彦監訳 体系 骨・関節の画像診断Ⅰ 第2章、P153より引用 
そのまんま
そのまんま

顎を上げてレントゲン撮影すればカーブができるし、顎をちょっと引くだけで首のカーブは少なくなります。あたり前の話です。そして多くの著者がカーブをつけても症状と関係ないし、指標にもならないと言っているのです。

カイロプラクティックは首の関節、筋の機能回復を目的にしている

カイロプラクティックの施術は首のカーブを付けていくのではなく、首の機能を回復させていきます。

首の痛みがある場合はレントゲンを撮る前にカイロプラクティックを受けたほうが良いのです。なぜならばレントゲンでストレートネックを指摘されると何かにつけて「私はストレートネックだから」と理由付けをして積極的なアクティブケアにブレーキをかけてしまう傾向になることも統計的に明らかだからです。

2003年に発表されているカイロのような理学療法を推奨する医学的根拠
脊髄造影やMRIなどの診断研究は適切なタイミングで行われるべきだが、ほとんどの首の痛みは、自己限定性疾患であり適切な保存療法で解決されます

カイロプラクティックや理学療法のような非外科的治療は、頚頚腕症候群のほぼすべてのケースで最も適切な最初のステップである

Boyce RH, Wang JC. Evaluation of neck pain, radiculopathy, and myelopathy: imaging, conservative treatment, and surgical indications. Instr Course Lect. 2003;52:489-95. PMID: 12690875.

首には沢山の関節が存在します

背骨

首には7つの骨があり、関節が後ろ面だけで16個もあります。前面のルシュカ関節を含めるとその倍近くの関節の数になります。

真っすぐの首が問題なのではなく、それら個々の関節、それを支持している組織、筋肉などの軟部組織が使われたおらず、固まってしまっているのが首の症状の原因であることが殆どなのです。

つまり言い方を変えると、レントゲン検査でしっかりとした首のカーブがあっても、関節機能、筋肉の機能が低下していれば痛み、コリ感を出すということです。

関節の機能を回復させていきます

ストレートな首にカーブを付けていくのではなく、ストレートなネックでも機能を充分に発揮させていれば症状はなくっていきます。カイロプラクティックなどの理学療法で、首の関節機能を回復させていけば症状は軽くなっていくのです。

頚部の痛みにたいしては、頚椎のマニピュレーションが薬物療法、マッサージよりも短期、中期、長期的にも優れている可能性があるとCochranレビューが更新され、その中で言われています。

Gross A, Langevin P, Burnie SJ, Bédard-Brochu MS, Empey B, Dugas E, Faber-Dobrescu M, Andres C, Graham N, Goldsmith CH, Brønfort G, Hoving JL, LeBlanc F. Manipulation and mobilisation for neck pain contrasted against an inactive control or another active treatment. Cochrane Database Syst Rev. 2015 Sep 23;(9):CD004249. doi: 10.1002/14651858.CD004249.pub4. PMID: 26397370.

首の形ではなく、機能性に目を向ける

世界的には首よりも、腰の症状を訴える方が多いので腰に関する疫学研究が先行しています。日本では女性は数年前から腰よりも首の症状を訴える割合が高くなったそうです。首の研究結果が出され次第、追加報告いたします。

こちらは首痛と腰痛への牽引治療の疫学調査です

良くある牽引治療に効果はあるのか??

首に痛みがある方が良く受ける機械で引っ張る牽引治療。どのような効果があるのでしょうか。

頚部痛と腰痛に対する牽引に関する7件のRCT(ランダム化比較試験)をレビュー(批判的に吟味)した結果

どの研究からも牽引の有効性は認められなかった。 首痛や腰痛、坐骨神経痛に牽引が有効だという証拠は今のところ存在しない。

van der Heijden GJ, Beurskens AJ, Koes BW, Assendelft WJ, de Vet HC, Bouter LM. The efficacy of traction for back and neck pain: a systematic, blinded review of randomized clinical trial methods. Phys Ther. 1995 Feb;75(2):93-104. doi: 10.1093/ptj/75.2.93. PMID: 7846138.

カイロプラクティックでストレートネックが治るという根拠はない

よくカイロプラクティックで頚椎のカーブ(前弯)を作って、ストレートネックを治すと標ぼうしているのを見かけますが、あれも嘘ですから。小規模な研究ですが、2015年に行われた比較対象研究があります。

亜急性/慢性の非特異的な首の痛みを伴う29人の患者と、年齢と性別を一致させた30人の健康なボランティアの首のカーブを計測。先ずこの両群に角度の差はない。(これは上記の研究と同じ。)

さらに首の痛みがあるグループに対して首の矯正を行い、4週間フォローアップして再度首のカーブの角度を計測しても変化はない。

Shilton M, Branney J, de Vries BP, Breen AC. Does cervical lordosis change after spinal manipulation for non-specific neck pain? A prospective cohort study. Chiropr Man Therap. 2015 Dec 7;23:33. doi: 10.1186/s12998-015-0078-3. PMID: 26644909; PMCID: PMC4671213.

結論:ストレートネックが悪いわけではない

以上読んで頂いた通り、ストレートネックは痛みとは関係ありません。カーブがある人でも首が痛くなるし、肩が凝るわけですから。問題は形状に気を奪われて、機能に目を向けないことです。

質問等ありましたら、お気軽にご連絡ください。

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