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伊藤孝英
院長
ロイヤルメルボルン工科大学健康科学部カイロプラクティック学科日本校卒業。B.C.Sc(カイロプラクティック学士), B.App.Sc.(応用理学士)。従来の筋骨格系障害としての腰背部痛から生物社会心理的要因としての腰背部痛へとシフトチェンジ。鬱や不安障害にも着目したマルチモデルでヒューマンケアしています。
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ぎっくり腰、椎間板ヘルニア診断歴

椎間板ヘルニアの診断を受けていると、その画像に悩まされることが、統計学的に明らかです。そのためここ10年ほど、世界の腰痛治療では基本的には画像検査は非推奨となっています。

このページではぎっくり腰になった30代男性のカイロプラクティック症例と科学的根拠を元に回復に必要な知識を解説します。

目次

背景にストレスが多い状況

痛みの図77
実際に記入してもらった痛みの図

ぎっくり腰で病院に行ったときに腰部椎間板ヘルニアと診断された50歳男性のケースです。

「痛みで眠れない」ということで、藁をもつかむ思いでいらっしゃいました。

腰痛と睡眠障害は互いに関連しています。どちらかを手掛かりに改善させていくことが重要です。

問診時の状況

  • 4日前に朝起きたときから急に腰に痛みを感じた
  • もともと椎間板ヘルニアの診断を過去にうけていて、たびたびぎっくり腰を起こしてきた
  • 職場でのストレスが大きい
  • この4日間はロキソニンを飲んでしのいできたが、薬が切れると8/10ほどの痛みが戻ってきて生活に支障
  • 腰からお尻、膝裏にかけてズキンとした痛みが出る。
  • 同じ姿勢でいると症状がわかりやすく出る。
  • 眠っていても痛みで2時間おきに起きてしまう
  • 妻の紹介で来院

職場でのストレスが関与?

お伺いしたところ、職場でのストレスが大きくある時期のようでした。

大人数での職場にはありがちな「人間関係」のトラブルでした。

アドラー心理学によると、悩みの根本はすべて人間関係にあるといいます。お勤めの方のお話を伺ってみると人間関係のストレスが殆どといってもよいと思います。

初期の段階で心理社会的苦痛がある場合や、痛みで活動障害が大きい時は痛みが長期化するリスクがある。

Golob AL, Wipf JE. Low back pain. Med Clin North Am. 2014 May;98(3):405-28. doi: 10.1016/j.mcna.2014.01.003. Epub 2014 Mar 22. PMID: 24758954.

本症例は痛みが強く、心理的ストレスも高い状況なので痛みが長期化するリスクが高いケースになります。

このような場合、カイロケアでフィジカル面、認知行動療法で心理面のケアが必要だと思われます。

会社での人間関係の場合、少しの行動変容で状況に変化があることが多い印象です。

単に腰の痛みの問題として対応するのではなく、社会的な問題として対応する(例えば対人スキルの向上などを含む)が腰痛の長期化や、悪化を防ぎます。

そのまんま

「そんなこと腰痛と関係あるの?」と私も半信半疑でしたが多くの腰痛患者と接することで納得しました。とはいえ、臨床でできる対人関係スキルは基本的なことですが、その基本がやはり大事です。

男性医師

腰痛で社会的に利益がある場合、例えば周囲の方に心配してもらえる、労災、過重労働の回避など、患者でいることで利がある場合は別えす。腰痛を何とかしたいと真剣に考えている方は参考にしましょう。

過去の画像診断に拘るべからず

画像診断機器上の男性
昔受けた画像診断の結果は忘れよう

画像診断の悪いイメージを払拭するのも大切なこと。

さまざまなデータをお伝えして、過去の画像診断も気にしないように努めるようお勧めしています。

過去に椎間板ヘルニアが原因であると指摘されている方は、身体的な損傷モデルだけで腰痛、ぎっくり腰を考えがちですが、痛みには心理的な側面も関わっていることが疫学調査で分かってきていること。

(2007/Diagnosis and Treatment of Low Back Pain: A Joint Clinical Practice Guideline from the American College of Physicians and the American Pain Society)

通常のカイロプラクティック・ケアでも十分に腰痛治療になるのですが、根本的な解決にはストレスマネージメントも必要であることをご本人にお伝えしています。

「通常のカイロプラクティックケアで回復する気配がない場合は背景に大きなストレスがあることが多い。必要であるなら認知療法も行う」ということを了承してもらった上でカイロプラクティックの施術にあたりました。

諸外国の腰痛ガイドラインに準ずる対応

当院では世界のガイドラインに準ずる腰痛治療を行っています。カイロプラクティック治療をベースに、腰痛には心理社会的なストレスが背景にありストレスマネジメントも必要だという立場です。

それに加え簡単な日常生活動作動の練習、回復への青写真を幾度も確認、必要な場合は認知行動療法も行い万全を期して対応しています。

ヨーロッパの腰痛診療ガイドラインです。脊椎マニピュレーション(背骨、骨盤の矯正)も推奨されると明記してあります。ヨーロッパガイドラインは世界で初めて”慢性腰痛”の治療法も明記されたことで有名です。

European guidelines for the management of acute nonspecific low back pain in primary care (2004)

施術内容

  • 簡単な理学検査
  • 筋肉の緩和操作(腰に筋肉の固まりがありました)
  • 背骨の矯正
  • スウェーデン式リラクゼーション呼吸法(YouTubeへ)を日々行っていただくようお願い
  • 日常生活の痛みを避けるための動きの練習(股関節の動きの確認)

急性腰痛の回復経過は5日でした

初日で8/10の痛みが4/10になり、1週間後に予約を取りました。

5日後にお電話をいただき、翌日には痛みがスッキリ消えていたということで、「もう大丈夫」という言葉をいただきました。

いろいろなケースがありますので、1回で良くなるとは言えないですが、筋肉の塊が腰にある場合の急性腰痛は効果を実感するのが早いはずです。

殆どのぎっくり腰のケースで問題なく回復に向かうと思いますのでお気軽にカイロプラクティックそのまんまサンシャインにご連絡いただければと思います。

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