「また、やってしまった…」
ぎっくり腰を繰り返すたび、そう自分を責めていませんか? 特に過去に「椎間板ヘルニア」と診断されたご経験がある方は、痛みが出るたびに「ヘルニアが再発したのでは」「もう一生この腰痛と付き合うしかないのか」と、出口のない不安を感じてしまうことも少なくありません。
しかし、どうか安心してください。 今のあなたの痛みは、過去の画像診断とは別の場所で起きている「筋肉と神経のSOS」かもしれません。
この記事では、椎間板ヘルニアの診断歴を持ちながら、ぎっくり腰を繰り返していた50代男性の症例をご紹介します。なぜ痛みが長引いていたのか、そしてどうすれば「繰り返す不安」から解放されるのか。科学的な視点と、心と身体の両面からのケアを通じて、その回復プロセスを紐解いていきます。
67歳女性・人生8回目のぎっくり腰のケース
もともと腰痛持ちの方だが、年末で疲れが蓄積されていたものの、久しぶりのぎっくり腰が朝起きた。良くあるケースです。どのような症例だったのか具体的に見ていきましょう。
- 朝テレビを観ていて、起き上がろうとしたときに力が入らなくなっていて、立ち上がれなかった。
- もともと身体を動かすのが好きで、カブスに週2.3回通っている。
- 過去にはフルマラソンに4回程出場しているが膝を痛めてからは走っていない。
- 友人の御紹介で来院
今回のぎっくり腰の背景
運動習慣がある方でも腰痛になる可能性はあります。過去に何度も腰痛があり、背骨のリハビリテーションが出来ていない場合、動き方の癖が修正されていなかった事、喘息などストレス要因の積み重ねがあった可能性があります。
問診と評価(危険な腰痛の除外)
問診では動き始めが痛い、動き出せば楽になる、前屈で痛い(予期)、下肢痛はないことからサスカチュワン脊椎ケアのパターン1として、非薬物療法(補助療法)としてカイロプラクティックケアで調整可能であると判断。
- 昨日は這ってトイレに行くほどだったが今日は何とか歩ける(現在の痛みは7/10)
- 動作の始めが痛い
- 動き出せば少しずつ楽になる
- 前屈は怖くてできない
- 気管支喘息の診断が出て4年になる。風邪の後に咳が残るのは30年ほど前からある
- 過去にMRIで椎間板の変形は指摘されている
- 過去にランニングで左膝の靭帯をいためている
典型的な非特異的腰痛だと思われました。この方の場合は慢性腰痛が悪化して腰の強張りが限界に達した為に急激な痛みになったのが原因だと考えられます。
過去に病院で椎間板の変形を指摘されているが、外科的な治療は行っておらず、セカンドオピニオンも含めて意見を聞きたいということでしたので、海外では手術を勧めていないことを紹介しました。
問診時の状況
ヴィジュアル・アナログ・スケールで7/10と最悪の状態は脱しており、動き始めだけは痛いものの動いていれば楽になってくる。睡眠時間はでていない。
危険な腰痛(レッドフラッグ)の確認
膀胱直腸障害・筋力低下・発熱・がん既往などはなく、痛みの種類も筋骨格系疼痛である。
再発をくり返す理由
ずっと追っている症例ではないので、正確には分かりませんが、姿勢・動作・筋力・ストレス・生活習慣など複合的な要因だと考えられます。喘息が背景にあるので一定のストレスやアレルギー反応が起きていることも要因の一つかもしれません。
今回の痛みの原因をどう考えるか
長時間の座位姿勢であったならば、もともとあった心身の疲労が立ち上がる時にピークに達して腰部の組織の血流を阻害していた可能性がある。過去に繰り返してぎっくり腰になっている方は腰部の筋の痛みに敏感になっている方が多い。
筋肉・筋膜の急性痛(ぎっくり腰)の特徴
痛みの程度にもよりますが筋硬結の痛みが悪化している場合は回復が早い。
高齢者に多い「動作パターンのクセ」
股関節の動きを習得していないと立ち上がり動作で腰部に負担がかかっている方が多いです。
施術内容
今回のぎっくり腰は、危険な腰痛ではなく、筋肉・筋膜の急性痛で説明できるタイプでした。そのため、海外の腰痛ガイドラインに沿って、以下の方針で施術を進めました。
- まず、海外の腰痛ガイドラインに基づき「1か月以内に自然治癒するタイプ」であることを説明し、不安を軽減。
- 問診・検査の結果、大きなストレス要因は少なく、回復がスムーズに進む見通しであることを共有。
- 凝り固まった腰部の筋肉に対して緩和操作を徹底し、脊椎マニピュレーション(関節の矯正)を実施。
- カイロプラクティックケアは急性腰痛の回復を早めることが多く、2〜3日で痛みが急速に下がる典型的なパターンであることを説明。
- 自宅でのセルフケアとして、呼吸法と腰部の保温を宿題としてお願いし、回復を後押し。
筋肉・筋膜へのアプローチ
多くの症例で初診時は背骨を中心に身体がとても緊張している方が多いです。本症例においても背骨のスプリング低下、表層筋から深層筋まで緊張が著しかった。
脊椎マニピュレーション
高速低振幅の背骨への操作は、可能な状態であれば行います。この操作がカイロプラクティックケアの特徴的な手技です。そして各種ガイドラインに脊椎マニピュレーションが記載してあるのは統計調査である程度の効果が立証されているからです。
ストレスマネジメント
今回は患者さんが過去に指摘された椎間板の変性を気にされていたので、丁寧に心配無用であることを説明しました。仮に過去のぎっくり腰に関連していたとしても、年月とともにお掃除細胞が掃除をしてくれるからです。
回復の経過(5日で改善)
年末年始を挟んで6日後に再来してもらった時は、痛みは3/10ほどで心配なく仕事始めを迎えられたようでした。腰は大丈夫そうなので、もともとあった膝も診てもらいたいということで、膝と腰のケアを行う。
説明と一致した回復パターン
急性腰痛の典型的な改善カーブで改善。当院は安心してもらうことに統計的なデータを基に時間を掛けて説明をしています。その安心感も大切な回復の要因だと考えています。
再発予防のポイント
この患者さんは基本的な生活習慣は整っていたので、疲労をためないことや、心理的な要因、背骨を中心としたリハビリテーションが必要だと考えれます。生活習慣(体重・運動・禁煙)はばっちりでした。
そのまんまこの方のように、運動習慣があってもぎっくり腰を繰り返す方もいらっしゃいます。そのような方は、背骨の使い方を工夫する必要があると思います。
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