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伊藤孝英
院長
ロイヤルメルボルン工科大学健康科学部カイロプラクティック学科日本校卒業。B.C.Sc(カイロプラクティック学士), B.App.Sc.(応用理学士)。従来の筋骨格系障害としての腰背部痛から生物社会心理的要因としての腰背部痛へとシフトチェンジ。鬱や不安障害にも着目したマルチモデルでヒューマンケアしています。
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腰痛関連のエビデンス

カイロプラクティックを利用する方の訴えで一番多い腰痛。

アーチーボール ド・コクラン氏の当初の発想から、「医療は重要だけれども、人間の回復していく力とくらべると、実はたいしたことはないのかもしれない。医療介入というのは本当に科学的根拠 があって、どうしてもやらなければならない時だけにするようにしないと人間の回復していく力を妨げてしまうだろう」という観点を忘れずに書いていきます。

EBMが医学界に導入されて以来、世界各国でさまざまな診療ガイドラインが作成されるようになりました。もちろん腰痛疾患も例外ではありません。1994年にはアメリカが、1998年と2001年にはイギリスがそれぞれ「腰痛診療ガイドライン」を発表し、その後各国が追従してブラシュアップが続いています。

現代医学の革命ともいえるこの歴史的なプロセスの中で判明したのは、ほとんどの腰痛疾患は物理的・構造的・生物学的損傷ではないということ。

そしてその腰痛の回復には、安静の排除と不安や恐怖心の除去が重要だという事実です。

腰痛診療ガイドラインの要点

  • 原因の明らかな特異的腰痛と明らかでない非特異的腰痛とがある
  • 発症と慢性化には心理社会的因子が関与
  • 安静は必ずしも有効な治療法ではない
  • 問診と身体検査で重篤な脊椎疾患が疑われる腰痛・神経症状を伴う腰痛・非特異的腰痛を分類する
  • 画像検査をすべての患者に行なうことは必ずしも必要でない
  • 保存療法で改善しない場合は画像検査を推奨
  • 慢性腰痛には運動療法が有効
  • 発症から4週間以上の腰痛には認知行動療法が有効

上記のガイドライン※の要約が全てではありますので結論から申しますと、腰痛診療にカイロプラクティックは無くても構いませんが、カイロプラクティックをお勧めする理由は、多くの場合カイロプラクティック・ケアの中に上記のさまざまな要素が取り入れられているからです。
※医療で使われる「ガイドライン」の意味は「必ず順守すべきものではなく、治療方法を決めていくときの参考にするもの」である

このページではカイロプラクティックの臨床に関わりのある手技、脊椎マニピュレーションや軟部組織テクニック、患者教育、認知行動療法などを中心に腰痛へのエビデンス、科学的根拠をご紹介しています。

目次

コクランレビュー 腰痛へのカイロプラクティックの評価

現状、世界各国の腰痛診療ガイドライン(日本以外)の「推奨される治療法」に脊椎マニピュレーション(背骨、骨盤矯正)が含まれないことはありません。

その現状を考えると、カイロプラクティックは腰痛への一定の効果は望めそうですが、どれくらいの効果か?

この2010年に発表されたコクラン・レビューでは

カイロプラクティックは、脊椎マニピュレーション(背骨、骨ばんの素早い調整)、マッサージ、温冷療法、電気療法、機械装置の使用、運動プログラム、栄養アドバイス、装具学、ライフスタイルの変更、患者教育などの療法の組み合わせを含むものとして定義。

1か月までの腰痛、1~3か月までの腰痛(1~3か月)の場合、カイロプラクティックは他の治療と比較して短期および中期の痛みを改善しました。

しかし、長期の痛みに差はなかった。

カイロプラクティックは他の治療法とくらべて動きづらさの短期的な改善が大きい。
ただし影響は小さく、これらの結果に寄与するすべての研究はバイアスのリスクが高かった。

中長期の障害に違いはありませんでした。

慢性腰痛に対するカイロプラクティックの併用介入と腰痛の混合集団を用いた研究では違いは示されませんでした。

Combined chiropractic interventions for low‐back pain
Bruce F WalkerSimon D FrenchWilliam GrantSally GreenAuthors’ declarations of interest Version published: 14 April 2010 Version history
https://doi.org/10.1002/14651858.CD005427.pub2

2010年のコクランレビューになりますが、カイロプラクティック臨床業務全般を通じて、短期的、中期的に痛みの改善に効果がある。中期的に活動障害の改善があるが、日常生活への影響は小さい。

つまり短期的、中期的(~6ヶ月)までは痛みと、機能面の改善でカイロプラクティック治療を受けるメリットはありますが効果の日常生活への影響は小さい。

このような意味ではカイロプラクティックは腰痛に効果的だが、無くてはならないものではありません。

本邦で重要な問題はカイロプラクティックと称するお店で、「腰痛は骨盤のズレが原因」などと害のある情報を与えられると、人間の回復力の妨げに繋る恐れがあることです。

そうでなければカイロプラクティック治療は短中期的には人間の回復力を促す方向に働きます。

世界の腰痛診療ガイドライン上でのカイロ治療の位置

2010年のコクランレビュー以降もさまざまな国、地域、学会で腰痛症に関するガイドラインが出されています。それらを見ていきましょう。

2016年に出された腰痛ガイドラインのレビューから、どのような方向性で腰痛を管理するのかの基本です。この方向性以外の対応は、過剰な診療に繋がりやすいです。

これからご紹介する論文は各国の腰痛診療ガイドライン自体をレビュー、精査したものです。現段階で確実に言える内容ですので参考になります。

2005~2014年に発行した腰痛症管理ガイドラインを最良原則で統合

13のガイドラインが評価の対象。結果分ったこと。
(1)すべての急性腰痛または慢性腰痛患者は、自己管理オプションに関する教育、安心、および指導を受ける必要がある
(2)急性腰痛の患者は活動に戻るように奨励されるべきであり、パラセタモール、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、または脊椎マニピュレーションの恩恵を受ける可能性がある。

(3)慢性腰痛の管理には、運動、パラセタモールまたはNSAID、手技療法、鍼治療、およびマルチモデル リハビリテーション(身体的および心理的治療の組み合わせ)が含まれる場合がある。
(4)神経根症を伴う腰椎椎間板ヘルニアの患者は、脊椎マニピュレーションの恩恵を受ける可能性がある。
ほとんどのガイドラインは非特異的腰痛を対象としており、教育、活動/運動の継続、手技療法、および一次治療としてパラセタモールまたはNSAIDを推奨。

急性腰痛にパラセタモール(アセトアミノフェン)を使用するという推奨は、最近のエビデンスによって異議を唱えられており、再検討する必要がある。

Wong JJ, Côté P, Sutton DA, Randhawa K, Yu H, Varatharajan S, Goldgrub R, Nordin M, Gross DP, Shearer HM, Carroll LJ, Stern PJ, Ameis A, Southerst D, Mior S, Stupar M, Varatharajan T, Taylor-Vaisey A. Clinical practice guidelines for the noninvasive management of low back pain: A systematic review by the Ontario Protocol for Traffic Injury Management (OPTIMa) Collaboration. Eur J Pain. 2017 Feb;21(2):201-216. doi: 10.1002/ejp.931. Epub 2016 Oct 6. PMID: 27712027.
男性医師

ある意味この高品質の論文で全てを伝えています。これは医師への提言です。
腰痛ケアとして最初に必ず行われるのは、【腰痛教育、安心を得る、指導】です。
注意していただきたいのは、ここに【画像診断】と書かれていない部分です。意味がないどころか腰痛症の管理に悪影響があるのが確かだからです。

アーチーボール ド・コクラン氏の当初の発想「医療はどうしてもやらなければならない時だけにするようにしないと人間の回復していく力を妨げてしまうだろう」からすると

  1. X線検査、MRIなどの画像検査
  2. 「安静にしてください」の一言
  3. 安心感を与えない、腰痛の自己管理の指導がない
  4. アセトアミノフェン(たぶん)

上記3つめまでは、人間の回復していく力を妨げる、害があるので医療介入を行う必要がない。一番したは意味がないということになります。

カイロプラクティックケアが脊椎マニピュレーション、マッサージ、温冷療法、電気療法、機械装置の使用、運動プログラム、栄養アドバイス、装具学、ライフスタイルの変更、患者教育などの療法の組み合わせであるなら、効果があります。
「生物心理社会的疼痛症候群」との説明があり、ストレス要因にも配慮してくれて、1か月程度で自然治癒すると説明してくれるならば、人間の回復していく力添えになれます。
くれぐれも「骨盤のヅレ」と謳っている場所には気をつけてください。

それ以前の体系的レビュー、比較対照試験

カイロプラクティック治療の研究の有効性は1991年のランド研究所による急性腰痛への脊椎マニピュレーションの効果が実証されたことに遡りますが、その後さまざま研究が数多く行われています。

上記の研究は以下のような研究を専門家が吟味し、否定的に考察した結果確実に言えることです。いくつか参考程度に見ていきましょう。

脊椎矯正は腰痛 首痛に極めて有効

腰痛に対してもはっきりとした根拠が示されてのは1990年代後半からです。2000年代に入り確定的になります。

体系的レビュー2004年
腰痛
急性腰痛にはこれまでの研究で既に決定的に効果があることが証明さている。急性腰痛へのカイロプラクティックは理学療法や物理療法よりも早く回復します。

慢性腰痛には非ステロイド性抗炎症薬と同様の効果を持つという中等度の証拠がある。
カイロプラクティックは、一般開業医の従来の腰痛対応やプラセボより短期的には効果的であり、長期的には理学療法より優れている。

カイロプラクティックは慢性腰痛に、短期的には理学療法や自宅での腰へのエクササイズ運動よりも効果的という中等度の証拠があります。カイロ治療は慢性腰痛に長期的にみても理学療法や自宅でのエクササイズより有効という中等度の証拠があります。

椎間板ヘルニア
カイロプラクティックは椎間板ヘルニアに対して、短期的には偽カイロ治療や科学的髄核分解術より優れている。
腰部椎間板ヘルニアの手術後に残る痛みに対して、カイロプラクティック、モビリゼーションはマッケンジー療法、医療、理学療法士の処置と比べて同等以上の効果が短期、長期的にある。

Bronfort G, Haas M, Evans RL, Bouter LM. Efficacy of spinal manipulation and mobilization for low back pain and neck pain: a systematic review and best evidence synthesis. Spine J. 2004 May-Jun;4(3):335-56. doi: 10.1016/j.spinee.2003.06.002. PMID: 15125860.

慢性腰痛・亜急性腰痛(4~12週)のいずれにも効果的

米国疼痛学会/米国医師会臨床診療ガイドラインのレビュー2007年
認知行動療法、運動、脊椎マニピュレーション、および集学的リハビリテーションはすべての慢性または亜急性(4週間持続)の腰痛のために適度に有効であるという十分な証拠を確認した。

Chou R, Huffman LH; American Pain Society; American College of Physicians. Nonpharmacologic therapies for acute and chronic low back pain: a review of the evidence for an American Pain Society/American College of Physicians clinical practice guideline. Ann Intern Med. 2007 Oct 2;147(7):492-504. doi: 10.7326/0003-4819-147-7-200710020-00007. Erratum in: Ann Intern Med. 2008 Feb 5;148(3):247-8. PMID: 17909210.

第一級のエビデンスである体系的レビューによって、腰痛に対するカイロプラクティックの効果が示唆されたことになります。当院で認知行動療法を取り入れていたのは、このガイドラインに認知行動療法が有効であると明記されていたからです。

男性医師

これらのレビューに「適度に有効」という記載なのはより、厳密に調査されているからですが、コクランレビューのほうが現実的かもしれません。

ぎっくり腰は急速に回復

1987年の比較対照試験 ぎっくり腰は急速に回復
18~40歳までの急性腰痛患者を対象に4週間追跡したRCTによると、モビリゼーション群とマニピュレーション群の改善率は4週間後には差がなくなるものの、脊椎マニピュレーション群は最初の1週間で急速に改善することが判明。

Hadler NM, Curtis P, Gillings DB, Stinnett S. A benefit of spinal manipulation as adjunctive therapy for acute low-back pain: a stratified controlled trial. Spine (Phila Pa 1976). 1987 Sep;12(7):702-6. PMID: 2961085.

Clinical Guidelines for the Management of Acute Low Back Pain 急性腰痛のガイドライン
急性あるいは亜急性腰痛に対する脊椎マニピュレーションは、他の治療法に比べて短期間で疼痛および活動障害の改善、ならびに患者の満足度という点でより高い効果が得られる(★★★)。

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慢性腰痛への効果 ヨーロッパガイドライン

当初はぎっくり腰のような急性腰痛への効果が研究対象でしたが、慢性腰痛への研究も2000年前後から精緻に行われるようになりました。現在では急性腰痛よりも慢性腰痛への効果のほうが優れているとされています。

慢性腰痛に関する世界初の診療ガイドラインのヨーロッパガイドラインにおいて、慢性腰痛への脊椎マニピュレーションの効果が記載されました。脊椎マニピュレーションは慢性腰痛にたいして効果的であることが明記してあります。

ヨーロッパの腰痛診療ガイドライン (European COST2004)
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