「不眠」「冷え」「慢性的な体調不良」――こうした悩みの背景には、自律神経の乱れが深く関わっていることがあります。
自律神経は、呼吸・血流・消化など生命活動を支える重要な神経であり、ストレスや生活習慣の影響を受けやすいのが特徴です。
カイロプラクティックの現場では、触診を通じて自律神経の状態を把握し、体のバランスを整えるケアを行っています。
このページでは、自律神経の基本的な仕組みと乱れによる症状、不眠や冷えへの具体的なアプローチ、さらに科学的根拠や臨床経験を交えて解説します。
「自律神経の乱れを改善したい」「薬以外の方法を探している」という方に、安心して参考にしていただける内容です。
「自律神経」は自ら律動している神経
まずは自律神経の定義を確認してみましょう。広辞苑では次のように説明されています。
つまり、自律神経とは私たちが意識しなくても働き続けている神経で、呼吸や血流、消化など生命活動を支える重要な役割を担っています。
また「自律神経失調症」についても広辞苑では次のように説明されています。
難しく聞こえるかもしれませんが、要するに「検査では異常が見つからないのに、体調不良が続く状態」を指します。日常的な不眠や冷え、肩こりなども、自律神経の乱れが関係していることが多いのです。
自律神経の不調は、不眠や冷え、肩こり、めまいなど多彩な症状として現れることがあります。 実際、筋骨格系の障害と自律神経症状が併存している患者さんは少なくありません。カイロプラクティックを利用しようと考える方の多くも、こうした悩みを抱えているのではないでしょうか。
注目すべきなのは「植物性の神経」という考え方や、「神経症の身体的表現」という視点です。これらは、自律神経の働きを理解するうえで非常に重要なポイントです。 このページでは、それらをわかりやすく整理しながら、自律神経の仕組みと症状の関係をつまびらかにしていきます。

生理学上の自律神経中枢の意見は2つに分かれる
先日、大学の同窓会でお話しした渡辺信博先生(生理学研究者)によれば、一般的な生理学では「自律神経系の中枢は脳幹にある」とされています。
しかし一部の学派では、交感神経管などの末梢部位に中枢的な役割があると考える先生もおられ、実際には中枢と末梢が相互に影響し合っていることは確かです。
このページの内容も、どちらかといえば「末梢からの影響」に焦点を当てた視点が強く、学術的な定義というよりは、言葉の成り立ちや臨床的な感覚に基づいた考察であることをご了承ください。
自律神経失調症の方は、長年にわたり不眠・冷え・動悸など多彩な症状に悩まされ、生活の質が低下しているケースが多く見られます。
こうした状態に対して「薬だけで治す」という捉え方では、根本的な改善にはつながりにくいこともあります。
自律神経は、自ら律動しながら体のバランスを保つ神経です。だからこそ、外部からの働きかけや環境の調整が重要になるのです。
では次に、自律神経の働きをもう少し具体的に見ていきましょう。
特に「植物性神経」と呼ばれる部分が、私たちの栄養や成長、休養にどのように関わっているのかを解説します。
植物性神経は栄養、生殖、成長作用を統括する
広辞苑の定義にあるように、自律神経は「植物性神経」とも呼ばれます。
植物性神経とは、植物にも見られるような基本的な生命活動――すなわち栄養・生殖・成長作用――を統括的に調節する神経のことです。これらの働きは、私たちの意思とは無関係に自動的に行われています。
イメージしやすい例として「植物の発芽や成長条件」を考えてみましょう。種子が発芽するためには、水・空気・適切な温度という条件が必要です。一般的には20℃前後が適温とされ、一定の気温の積算によって発芽が起こると説明されます。
人間の体も同じように、環境や条件が整うことで栄養・成長・生殖といった生命活動が自然に進みます。これこそが植物性神経の働きであり、私たちが意識せずとも体を支えている仕組みなのです。
植物の種子が発芽するには、水・空気・適切な温度という条件が必要です。 同じように、自律神経が正常に働くためにも、いくつかの条件が整うことが欠かせません。 つまり「環境」「休養」「栄養」といった要素が揃うことで、自律神経は本来のリズムを保つことができるのです。
自律神経の乱れを整えるには、植物性神経の働きを理解することが欠かせません。
次は「カイロプラクティックの基本原則」について詳しく見ていき、自律神経症状の改善にどのように役立つのかを紹介します。
カイロプラクティックの基本原則 安全ピンサイクル
カイロプラクティックでは「安全ピンサイクル」という言葉を用いて、脳と身体の情報交換を説明します。これは、脳細胞と身体の組織細胞の入出力を単純化したモデルです。
例えば寒い環境に入ると鳥肌が立つ――これも自律神経による反応の一例です。外界からの刺激(入力)に対して、脳が反応し身体に指令(出力)を返す。そしてその結果が再び脳にフィードバックされる。この循環こそが「安全ピンサイクル」と呼ばれる仕組みです。
つまり、脳と身体は常に情報をやり取りしながらバランスを保っています。カイロプラクティックでは、この情報循環を整えることで自律神経の働きをサポートし、体調改善につなげていくのです。

自律神経は、外界からの刺激に応じて脳と身体が情報を交換し、体調を整えています。
次は「環境に適応している自律神経」について詳しく解説し、冷えや不眠などの症状との関係を見ていきましょう。
環境に適応している自律神経
以上の事を踏まえて、人間の自律神経の反応を幾つか例を出して考えていきましょう。
1.「冷え」を例にして考える自律神経

慢性的な冷えに悩む女性は、「自律神経の不具合が原因」と考えることがあります。
しかし生活習慣を確認すると、湯船に浸からずシャワーだけの生活が長年続いていることが多く見られます。
また、運動習慣がほとんどなく、血流や代謝が低下しやすい状態になっています。
さらに、夏でもエアコンをつけっぱなしにするなど、体を冷やし続ける環境が慢性的な冷えを助長しています。
このような生活習慣の積み重ねが、冷え症状を慢性化させる大きな要因となります。
具体的な原因
冷え続けるライフスタイルをとっている人は珍しくありません。具体的に原因を見ていきましょう。
湯船に浸からずシャワーだけの生活が続くと、毛細血管が十分に開かず血流が悪化します。その結果、酸素や栄養が末端まで届かず、熱を生み出す働きが低下します。
運動不足も冷えの原因です。筋肉を使わないとミトコンドリアが減り、体内で熱を作る力が弱まります。逆に運動習慣があるとミトコンドリアが増え、冷えにくい体になります。
夏でもエアコンをつけっぱなしにすると、末端まで血液が行き届かず、冷えが慢性化します。
自律神経(植物性神経)が冷えにどう作用するか
このような環境やライフスタイルの方では、自律神経は次のように作用します。
末端まで血液を運ばなくてもよいと判断します。
汗腺を開かなくてもよいと判断します。
筋運動がないため血流を上げる必要がなく、熱産生を担うミトコンドリアも減少します。
夏でも体温が上がらず、外気温との差(ストレス)に反応しなくてもよい状態になります。
人間生活に適した条件に戻すための改善策
このような植物的反応を、人間生活に適した条件に戻すには、逆の生活習慣を取り入れることが大切です。
30秒~数分でもよいので湯舟につかる習慣を持つ。
週に数回、数十分の運動を取り入れる。
夏でも比較的涼しい時間帯にはエアコンを切る時間をつくる。
デスクワークやテレワークでも、こまめに体を動かすように心がける。
環境の変化に反応しない、適応力の低下
同じような生活をしていても、筋トレを定期的に行っている人は、そうでない人より冷えを感じにくいでしょう。
頭では分かっていても、条件を整えられない方は必ず何らかの理由をつけます。言い換えると「やらない理由を考えている」と言えます。
広辞苑では、これを神経症の身体的表現と説明しています。
では、いったいどのような神経症が関わっているのでしょうか。
神経症とは?
冷えと心理的背景
背景には仕事や将来への不安、〇〇しなければならないという強迫観念があるかもしれません。
さらに、離人症的状態(自己・他人・外部世界の具体的な存在感や生命感が失われ、対象は知覚できても有機的なつながりを実感できない精神状態。人格感喪失・有情感喪失)も関わる可能性があります。
これらの心理的要因は、大なり小なり現代都市生活では誰しも持っている性質だと考えられます。
今風の言葉で言えば「スペクトラム」として捉えることができるでしょう。
2.「眠れない」を例にして考える自律神経
同じように夜眠れないと言う方がおられます。最近では多いのが次のような生活習慣です。
- スマホを眠ろうとする直前まで眺めている
- 夕方以降までカフェインを取っている
- 夕食を21時以降に摂ることが多い
- 朝ごはん抜を抜いている、または朝食でたんぱく質を摂っていない
- 湯船で身体を温める意識がない
このような方の自律神経の反応は以下のようになります。
- 網膜がブルーライトの光刺激を受け、交感神経が優位に働き筋緊張が起こる
- 覚醒作用のあるカフェインが血中に残っており覚醒しようとしている
- 消化のために胃が活動している(胃の運動=平滑筋の働きも自律神経によるもの)
- 睡眠導入ホルモンであるメラトニンの材料が不足し、生成が抑えられる
- 深部体温が下がらないので眠気が起きない
つまり、植物性神経はその人の生活習慣に合わせて自然な反応をしているのです。
説明しておきますと、不眠は単なる「眠れない」ではなく、自律神経が環境や習慣に適応した結果として起きている現象だと理解できます。
眠れない原因と自律神経の仕組み
- 交感神経は活動時に働き、副交感神経は眠る・休む時に働く
- カフェインは血中で半減するまで約7時間かかり、夕方以降の摂取は睡眠を妨げる
- 夜10時~2時は成長ホルモンが最も分泌される時間帯。胃が消化活動中だと休まりにくい
- 深部体温が下がるとメラトニンが放出される。湯舟で温めると熱放散が促され眠気が起きやすい
眠れるための生活習慣
眠れない原因は自律神経の自然な反応によるものですが、生活習慣を整えることで改善が期待できます。次のような習慣を意識してみましょう。
- スマホやパソコンは就寝1時間前までにやめ、ブルーライトを避ける
- カフェインは午後以降は控える(コーヒー・紅茶・エナジードリンクなど)
- 夕食はできるだけ21時前に済ませ、消化活動を睡眠に持ち込まない
- 朝食でたんぱく質を摂り、体内時計をリセットする
- 湯舟に浸かり、深部体温を下げて眠気を促す
- 就寝・起床時間を一定にして生活リズムを整える
これらの習慣を取り入れることで、副交感神経が優位になり、自然な眠気が訪れやすくなります。結果として睡眠の質が高まり、翌日の活動もスムーズになります。
くどくなりますが、このような条件下にもっていけない方は必ず何等かの理由をつけたがります。
植物性神経が人間らしい生活になるような条件を整えてあげれば多くの問題は解決します。
しかし心理的要因が背景にある場合はそれは何か、そのように考えてしまうスキーマ(こころの癖)、癖がついてしまった歴史的背景は何かというところまで探る必要があります。
このスキーマについては掘り下げれば社会構造や時代の価値観にも言及する必要があります。
『現代人の神経症的傾向』という表現があるように、現代生活は多かれ少なかれ神経症的になるものだと私は思います。
睡眠と自律神経のまとめ
眠れない原因は、生活習慣によって自律神経が自然に反応している結果です。スマホのブルーライト、夕方以降のカフェイン、遅い夕食、朝食の欠如、湯舟に浸からない習慣などが積み重なると、交感神経が優位になり眠りにくくなります。
逆に、生活習慣を整えることで副交感神経が働きやすくなり、自然な眠気が訪れます。ブルーライトを避ける、カフェインを控える、夕食を早めに済ませる、朝食でたんぱく質を摂る、湯舟に浸かるなどの工夫が効果的です。
睡眠は「心身の修復の時間」であり、自律神経のバランスを整える大切な要素です。日々の習慣を少しずつ改善することで、眠りの質が高まり、翌日の活動もスムーズになります。
つまり、不眠は単なる「眠れない」ではなく、自律神経が環境や習慣に適応した結果として起きている現象です。だからこそ、生活習慣を見直すことが最も有効な改善策となります。
3.「息苦しい」を例にして考える自律神経
3.「息苦しい」を例にして考える自律神経
息苦しい、胸が苦しいと言う方はどうでしょうか。生活習慣や身体の使い方に次のような特徴が見られることがあります。
- 運動をしていない
- 姿勢が悪い
- 腹式呼吸や胸式呼吸を意識できない
これらの要因が積み重なると、呼吸が浅くなり交感神経が優位に働きやすくなります。その結果、胸の圧迫感や息苦しさを感じることにつながります。
もうお判りですね。実際に呼吸が浅いだけことが多いのです。
このようなライフスタイルの方の外界からの刺激に対する自律神経の反応としては次のようなものが挙げられます。
- 有酸素運動、無酸素運動が少ないので呼吸中枢に刺激が入らない
- 姿勢が悪く胸郭が潰れてしまうことで肺活量が減り、その範囲で呼吸する習慣が定着する
- 呼吸がどんどん浅くなり、酸欠状態に近づいていく
解決法は次のようになります。
- 軽い運動からでよいので日常より深い呼吸になるシーンを増やす
- 姿勢をよくして、胸郭、横隔膜の使い方をリハビリテーションする
- 呼吸を深める時間を意識的に作っていく
思想家の内田樹先生は「人間は意識しないと深い呼吸をしない」と言います。
つまり、深い呼吸は自然に身につくものではなく、生活習慣の中で意識的に取り入れる必要があるのです。
呼吸の浅さと酸欠の関係
呼吸が浅いということは酸素の取り込みが少ないため、全身に行きわたるはずの酸素が足りません。自律神経どうのというより酸欠で本当に苦しいのです。豊かで便利な都市生活で、人間が生きていく上で本来必要な呼吸の深さを忘れてしまっている。
いいえ違います。呼吸のしかた、横隔膜の使い方、肋骨の使い方を忘れてしまっているのです。時間をかけて浅い呼吸が身に付き、本人にとっては当たりまえになっているので盲点になっており、気づけないのです。
呼吸と自律神経のまとめ
呼吸が浅いということは、酸素の取り込みが少なく全身に十分な酸素が行き渡らない状態です。これは自律神経の問題というより、酸欠による本質的な苦しさにつながります。
豊かで便利な都市生活の中で、人間が本来必要とする呼吸の深さを忘れてしまい、横隔膜や肋骨の使い方を意識できなくなっていることが多いのです。時間をかけて浅い呼吸が習慣化し、本人にとっては当たり前になっているため盲点となり、気づけないのです。
しかし、軽い運動や姿勢改善、呼吸法の意識を取り入れることで副交感神経が働きやすくなり、呼吸は深まり、酸素が全身に行き渡ります。結果として息苦しさは改善し、自律神経のバランスも整いやすくなります。
つまり「息苦しい」という症状は、自律神経が環境や習慣に適応した結果として起きている現象です。だからこそ、生活習慣を見直し、呼吸の深さを取り戻すことが最も有効な改善策となります。
統合的に考える自律神経症状 科学的根拠
一般的に考えると、西洋医学では部分的な疾患として自律神経の不具合を捉え、種々の症状を招くと説明されます。しかし実際には、症状は結果であり、自律神経がそれを介しているという考え方の方が現実的だと私は思います。
カイロプラクティックの最大の特徴の一つは「全体性」です。人間全体を診ることで、部分的な症状の背後にある生活習慣や心理的要因、身体の使い方の癖などが見えてきます。部分ではなく全体を捉えることで、より根本的な理解と改善につながるのです。
(神経系の詳細解説へ移動)どのような自律神経症状に脊椎マニピュレーションが効果的か
どのような自律神経症状に脊椎マニピュレーションが効果的か
自律神経症状を主訴としてカイロプラクティックケアを受ける場合、筋緩和操作や脊椎マニピュレーションは双方とも効果的であると考えられます。
最近の研究では、筋膜内に存在する細胞が自律神経や免疫系にも直接影響を与えていることが明らかになってきました。つまり、脊椎や筋膜へのアプローチは単なる筋骨格系の調整にとどまらず、自律神経系のバランスや免疫機能にも関与する可能性があるのです。
首への手技療法で自律神経症状の改善
首の筋肉の異常が自律神経症状に発展するという日本人による研究報告があります。カイロプラクティック治療では首の筋肉や関節にも施術を行いますので、充分に効果が期待できるわけです。
頸部の筋肉の異常が自律神経失調症を引き起こす
頸部の筋肉の異常が頭痛、慢性疲労症候群、めまいを引き起こすことが判っている。
このグループの疾患を頸部神経筋症候群と名付けた。2002年4月1日から2004年3月31日までの2年間で治療を受けた患者は、頭痛が83.8%、めまいが88.4%、慢性疲労症候群が84.5%、自律神経失調症が88.0%で良好な転帰を報告。
むち打ち症関連障害の場合、多数の外来患者が一般的な倦怠感を示しており、原因を特定できない多くの一般的な身体的愁訴が含まれています。頸部の筋肉の治療が全身倦怠感に効果的である。
Matsui T, Ii K, Hojo S, Sano K. Cervical neuro-muscular syndrome: discovery of a new disease group caused by abnormalities in the cervical muscles. Neurol Med Chir (Tokyo). 2012;52(2):75-80. doi: 10.2176/nmc.52.75. PMID: 22362287.
この研究は、首の筋肉の異常が全身症状に波及することを示しており、カイロプラクティックの首への施術が自律神経症状の改善に有効である可能性を裏付けています。
(世界カイロプラクティック連合のカイロプラクティックの定義へ移動)不眠を統合的に考えてみる
2015年にブラジルで行われた研究では、閉経後の女性の睡眠の質が低下し、無呼吸低呼吸指数(AHI)が高く、SaO2(血中酸素濃度)が低いことが報告されました。調整された分析では、閉経後の初期段階と後期段階の女性の間に差は見られませんでした。
この結果は、閉経そのものが年齢に関係なく、特に無呼吸指数と血中酸素濃度、そして客観的な睡眠パターンに重要な影響を及ぼしていることを示しています。
Hachul H, Frange C, Bezerra AG, Hirotsu C, Pires GN, Andersen ML, Bittencourt L, Tufik S. The effect of menopause on objective sleep parameters: data from an epidemiologic study in São Paulo, Brazil. Maturitas. 2015 Feb;80(2):170-8. doi: 10.1016/j.maturitas.2014.11.002. Epub 2014 Nov 13. PMID: 25481384.
まとめると、この研究は閉経そのものが女性の睡眠に大きな影響を与えることを示しています。年齢や閉経の段階に関係なく、無呼吸指数の上昇や血中酸素濃度の低下が見られ、客観的な睡眠パターンの質が低下するのです。
つまり、不眠や睡眠障害は単なる生活習慣の問題ではなく、閉経という生理的変化に深く関わっていることが科学的に裏付けられています。したがって、閉経後の女性における睡眠の質の低下は自律神経症状の一部として捉えることが現実的であり、統合的なケアが必要だと考えられます。
自律神経系とホルモンの関係は直接的に影響しあいます。
たとえばこの研究では睡眠の質が落ちるのは閉経後に呼吸の悪化が出てくることが原因だと言っています。
そうするとホルモン療法か?となりますが、ご存じの通り長期利用は癌のリスクを高めます。

女性の睡眠障害の統合的アプローチ
不眠症の研究では、2000年に非薬理学的方法、つまり薬でコントロールしない方法が最も安全で、しかも治療成績が良いことが報告されています。これは、生活習慣の改善や認知行動療法など、統合的なアプローチの有効性を示すものです。
Perlis ML, Youngstedt SD. The diagnosis of primary insomnia and treatment alternatives. Compr Ther. 2000 Winter;26(4):298-306. doi: 10.1007/s12019-000-0033-6. PMID: 11126102.
2012年研究 マッサージは更年期女性の睡眠の質改善に効果的
The beneficial effects of massage therapy for insomnia in postmenopausal women.
マッサージ療法後の睡眠パターンと生活の質の改善を示しています。これらの発見は、閉経後の症状、特に不眠症の治療に対するマッサージ療法の有効性を示している。
Sleep Sci. 2014 Jun;7(2):114-6. doi: 10.1016/j.slsci.2014.09.005. PMID: 26483913; PMCID: PMC4521661.
PubMedリンク
研究となると対象を決める必要があるので、「閉経後の女性」ということになりますが、マッサージを受けたことがある人は年齢問わず睡眠の質が上がるのを臨床経験上知っています。
2017年の論文です。ブラジルでは統合医療の形で、女性の不眠をケアする施設があり、フラワーエッセンス、姿勢再教育、筋膜リリース、キネシオ療法、手技療法、カイロプティック、針、ヨガ、マインドフルネスなどで女性の不眠をケアし良い結果を得ています。
Frange C, Banzoli CV, Colombo AE, Siegler M, Coelho G, Bezerra AG, Csermak M, Naufel MF, Cesar-Netto C, Andersen ML, Girão MJBC, Tufik S, Hachul H.
Women’s Sleep Disorders: Integrative Care.
Sleep Sci. 2017 Oct-Dec;10(4):174-180. doi: 10.5935/1984-0063.20170030. PMID: 29410750; PMCID: PMC5760052.
PubMedリンク
日本の場合は病院で受けられるところは、まだ少ないでしょうが民間サービスでいろいろと安価に提供されています。薬を飲み続けている方は、副作用があり何等かの影響があります。これらの情報を参考に行動を変えていきましょう。
臨床経験から言えること
単に筋骨格系が張っていて交感神経系優位の状態が数週間続いている結果、不眠傾向であったり、寝つきが悪い、イライラしやすいという症状はカイロプラクティックによる背骨の矯正がとても効果的です。
「冷え」でも実際に冷えていないのだけれど冷えを感じている「冷え感」の場合も、カイロプラクティックによる背骨や骨盤の矯正は効果的であると言えます。
いわゆる自律神経症状が短期的に出ている場合には効果が早期に現れますが、長期となると症状自体が習慣化しているため、ライフスタイルの改善が必要となります。
しかし質の高い研究結果は未だありません。経験上言えることは、筋肉や関節が硬い時ほど、さまざまな自律神経症状を強く感じやすいということです。
自律神経症状が長期化している場合には、例えば「湯船に浸かる」「有酸素運動をする」「夜はエアコンを切る」といった生活習慣を少しずつ改めていくことが非常に大切です。
総合まとめ
これまで見てきたように、不眠や冷え感、息苦しさといった自律神経症状は、単なる生活習慣の問題ではなく、閉経や筋骨格系の緊張など生理的・構造的な要因とも深く関わっています。研究では閉経後の女性に睡眠障害が顕著に現れることが示され、臨床経験からも背骨や骨盤の矯正が症状改善に有効であることが確認されています。
さらに、薬に頼らない非薬理学的アプローチが安全で効果的であることは複数の研究で示されており、認知行動療法やマッサージ療法、統合医療的なケア(ヨガ、マインドフルネス、鍼など)も不眠改善に役立つことが報告されています。これらは「薬だけに依存しない選択肢」が確かに存在することを示しています。
臨床的には、短期的な自律神経症状にはカイロプラクティックなどの施術で早期改善が期待できますが、長期化した場合には生活習慣の見直しが不可欠です。湯船に浸かる、有酸素運動を取り入れる、夜はエアコンを切るなど、日常の小さな工夫が自律神経の安定につながります。
総じて、自律神経症状や不眠への対応は「研究による科学的根拠」「臨床経験」「生活習慣改善」「統合医療の実践」を組み合わせた統合的なアプローチが最も現実的であり、安心して取り組める方法だと言えます。薬だけに頼るのではなく、多面的なケアを選択することが、長期的な健康維持につながります。
参考文献
Matsui T, Ii K, Hojo S, Sano K. Cervical neuro-muscular syndrome: discovery of a new disease group caused by abnormalities in the cervical muscles. Neurol Med Chir (Tokyo). 2012;52(2):75-80. doi: 10.2176/nmc.52.75. PMID: 22362287. PubMedリンク
Hachul H, Frange C, Bezerra AG, Hirotsu C, Pires GN, Andersen ML, Bittencourt L, Tufik S. The effect of menopause on objective sleep parameters: data from an epidemiologic study in São Paulo, Brazil. Maturitas. 2015 Feb;80(2):170-8. doi: 10.1016/j.maturitas.2014.11.002. PMID: 25481384. PubMedリンク
Perlis ML, Youngstedt SD. The diagnosis of primary insomnia and treatment alternatives. Compr Ther. 2000 Winter;26(4):298-306. doi: 10.1007/s12019-000-0033-6. PMID: 11126102. PubMedリンク
Hachul H, Oliveira DS, Bittencourt LR, Andersen ML, Tufik S. The beneficial effects of massage therapy for insomnia in postmenopausal women. Sleep Sci. 2014 Jun;7(2):114-6. doi: 10.1016/j.slsci.2014.09.005. PMID: 26483913; PMCID: PMC4521661. PubMedリンク
Frange C, Banzoli CV, Colombo AE, Siegler M, Coelho G, Bezerra AG, Csermak M, Naufel MF, Cesar-Netto C, Andersen ML, Girão MJBC, Tufik S, Hachul H. Women’s Sleep Disorders: Integrative Care. Sleep Sci. 2017 Oct-Dec;10(4):174-180. doi: 10.5935/1984-0063.20170030. PMID: 29410750; PMCID: PMC5760052. PubMedリンク
