自律神経症状の考え方

自律神経の状態が良くないという悩み、訴えは多いです。カイロプラクティックという人の身体を手でケアする仕事をしていると良くわかることがあります。

不眠や冷え、不眠、体調不良で悩んでいる方の参考になれば幸いです。

目次

自律神経は自分で律動している神経

よく自律神経症状がということを訴えるかたが多いです。これを薬で治す、とか何かをして治すという捉え方をしている間はきっと根本的な変化はないでしょう。

自律神経は自分で律動している神経です。

もし入力出力として考えるなら、何かの入力に対しての自律的な反応である反応が起こる。
例えば寒い環境にいくと鳥肌がたつ。これも自律神経の反応です。

自律神経症状がある人は、この寒冷地立毛反応が起こらないのでしょうか?実験したわけではないのでわかりませんがおそらく鳥肌がたつでしょう。

カイロプラクティックでは脳と身体が情報を交換しあっていると説明します。身体からの入力があり、脳が反応して身体に情報を返す。または脳の指令で行動をして、その結果何らかの情報が脳に返されます。つねに情報は中枢神経と身体の組織、細胞を行き来しています
安全ピンのような形に見えるので、安全ピンサイクルと言います。

環境に適応する身体

「冷え」を例にして考えてみましょう

うつ向く少女
いろいろなことはセットになっている

例えば慢性的な「冷え」があってどうしようもないという女性がいるとしましょう。勿論本人は自律神経が不具合を起こしていて冷えていると考えています。

生活習慣をお伺いすると「湯船に浸からない」「運動習慣が無い」「夏はエアコンをつけっぱなし」など基本的に冷え続けるようなライフスタイルをとっている事は珍しくありません。

自律神経は寒いという環境条件にしっかり反応しています。他に例えば冷え症なんです、というのも良く耳にします。手や足を触って確認していみると、すごく硬かったり肌も突っ張っていて潤いが少ない事が多いです。

みんながみんなじゃないですが、デスクワークでこれといって運動もなさっていない。そのような生活環境下で生活をしている自律神経の正常な反応であるとも言えます。

根本的な問いですが、このような状態は失調しているのでしょうか?しっかり自律神経の働きを果たしていると私は考えます。

言い方を変えると適応能力の低下

同じように冷房の効いた部屋で一日デスクワークをする。夜は時間が無いから湯船につからずにシャワーだけと言う方も少なくありません。

当然冷えます。

人間の身体

冷えだけで済めばいいのですが、汗をかかない生活ですと汗腺が働かなくなります。汗が出づらくなりますが、これもしっかり汗をかかなくて良いように冷えた環境に適応しています。

ですから暑い屋外や、エアコンの無い環境にしばらく居るだけで体熱が放散されずノボセたり熱中症になります。

これは自律神経が失調しているのでしょうか?

生活習慣が乱れているのです。

眠れない場合

同じように夜眠れないと言う方がおられます。伺ってみると運動をまったくしていなくて背中の筋肉が驚くほど張っている。

いわゆる交感神経優位になりやすい状態です。まずは1日5分のストレッチをおススメします。

息苦しい場合

息苦しい、胸が苦しいと言う方も来られます。まず呼吸がとても浅い。まちがいなく浅い。

呼吸が浅いということは全身をめぐるハズの酸素が足りていない。自律神経どうのというより酸欠で本当に苦しいのです。都市生活で本来必要な呼吸の深さを忘れてしまっている。これは自律神経が失調した状態なのでしょうか?

いいえ違います。呼吸のしかた、肋骨の使い方が分からないのです。長年の浅い呼吸で身体が当たりまえになっているのだけれど、自分で気づいてないのです。

自律神経自体が単体でおかしくなるわけではない

カイロプラクティックに自律神経の状態を改善させる目的でいらっしゃる相談者がおられます。
よく耳にする自律神経症状というと不眠、多汗や冷え、震え、下痢、のぼせ、多食などでしょうか。

一般的に考えると、つまり西洋医学的に部分的な疾患として捉えると、自律神経の不具合が種々の症状を招くということになりますが、実際は症状は結果であって自律神経がそれを介しているという考え方が現実的だと私は思います。

免疫学の大家である故・阿保徹先生が仰るように、状況に適応した状態が病気や症状ということです。

ある状況、環境、生活スタイルに人体が適応した状態が「症状」や「病気」

このようなライフスタイルの場合「冷え」を感じるのは当然ですよね?実際に冷えている訳ですから。そしてそのような生活習慣が身についているのです。結果として一般的に「自律神経症状」と言われるような症状に悩まされるケースが多いのではないでしょうか。

これを自律神経症の不調と一言で言えるでしょうか?このような状態の方の背骨をバキッとやると冷えが治るのでしょうか?何か薬を飲むと治るのでしょうか?

勿論そのようなことも改善を目指す一つの方法ですが、根本的なライフスタイルを改善していく手立てをとるのが本筋であろうと私は思います。

細かいことは問診をしていき、一つ一つ生活習慣を確認する必要がありますが、何か慢性的に症状がある方は意外とご自身では気づいていない悪しき生活習慣を続けていらっしゃる場合が少なくありません。

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例えば不眠を統合的に考えてみる

2015年 ブラジルでの研究
閉経後の女性の睡眠の質が下がる、閉経後に無呼吸低呼吸指数(AHI)が高く、SaO2(血中酸素濃度)が低いということでした。
調整された分析では、閉経後の初期段階の女性と後期段階の女性の間に差は見られませんでした。
この結果は、閉経自体が年齢に関係なく、特に無呼吸指数と血中酸素濃度と客観的な睡眠パターンに重要な影響を及ぼしていることを示しています。

Hachul H, Frange C, Bezerra AG, Hirotsu C, Pires GN, Andersen ML, Bittencourt L, Tufik S. The effect of menopause on objective sleep parameters: data from an epidemiologic study in São Paulo, Brazil. Maturitas. 2015 Feb;80(2):170-8. doi: 10.1016/j.maturitas.2014.11.002. Epub 2014 Nov 13. PMID: 25481384.

自律神経系とホルモンの関係は直接的に影響しますが、たとえばこの研究では睡眠の質が落ちるのは閉経後に呼吸の悪化が出てくることが原因だと言っています。

そうするとホルモン療法か?となりますが、ご存じの通り長期利用は癌のリスクを高めます。

女性の睡眠障害の統合的アプローチ

不眠症の研究では、2000年に非薬理学的方法、つまり薬でコントロールしない方法が一番安全でしかも治療成績が良いことが言われています。

Perlis ML, Youngstedt SD. The diagnosis of primary insomnia and treatment alternatives. Compr Ther. 2000 Winter;26(4):298-306. doi: 10.1007/s12019-000-0033-6. PMID: 11126102.
そのまんま
そのまんま

これは2021年現在、実際に日本で不眠に苦しんでいる人にとって理解できないかもしれませんが、睡眠障害の第一選択はもう薬ではないのです。

2012年の研究ではマッサージは更年期女性の睡眠の質改善に効果的
マッサージ療法後の睡眠パターンと生活の質の改善を示しています。これらの発見は、閉経後の症状、特に不眠症の治療に対するマッサージ療法の有効性を示している。

Hachul H, Oliveira DS, Bittencourt LR, Andersen ML, Tufik S. The beneficial effects of massage therapy for insomnia in postmenopausal women. Sleep Sci. 2014 Jun;7(2):114-6. doi: 10.1016/j.slsci.2014.09.005. Epub 2014 Sep 16. PMID: 26483913; PMCID: PMC4521661.

研究となると対象を決める必要があるので、「閉経後の女性」ということになりますが、マッサージを受けたことがある人は年齢問わず睡眠の質があがることは知っています。

これは自律神経が調子が悪かったのではなく、筋肉が緊張していたのをほぐしたということです。

2017年の論文です。ブラジルでは統合医療の形で、女性の不眠をケアする施設があり、フラワーエッセンス、姿勢再教育、筋膜リリース、キネシオ療法、手技療法、カイロプティック、針、ヨガ、マインドフルネスなどで女性の不眠をケアし良い結果を得ている。

Frange C, Banzoli CV, Colombo AE, Siegler M, Coelho G, Bezerra AG, Csermak M, Naufel MF, Cesar-Netto C, Andersen ML, Girão MJBC, Tufik S, Hachul H. Women’s Sleep Disorders: Integrative Care. Sleep Sci. 2017 Oct-Dec;10(4):174-180. doi: 10.5935/1984-0063.20170030. PMID: 29410750; PMCID: PMC5760052.

日本の場合は病院で受けられるところは、まだ少ないでしょうが民間サービスでいろいろと安価に提供されています。薬を飲み続けている方は、副作用があることは知っていると思いますので、これらの情報を参考に行動を変えていきましょう。

どんな場合の自律神経症状に脊椎マニピュレーションの効果が高いか

自律神経症状を主訴としてカイロプラクティックによる手あてをする場合、効果がある場合があるのも事実ですが、生活習慣が不健康過ぎる場合は、効果が無い時も勿論あります。

単に筋骨格系が張っていて交感神経系優位の状態が数週間続ている結果、不眠傾向であったり、寝つきが悪い、イライラしやすいという症状はカイロプラクティックによる背骨の矯正は効果的です。

「冷え」でも実際に冷えていないのだけれど冷えを感じている「冷え感」の場合もカイロプラクティックによる背骨、骨盤の矯正は効果的であると言えます。

いわゆる自律神経症状が出て短期的なものなら効果が早期に現れますし、長期となると症状自体が生活習慣になっていますから、ライフスタイルの改善が必要となります。

(そういう意味では不眠傾向がある時に迂闊に睡眠薬を使用すると後々の代償は計り知れないと私は思います)

さていわゆる自律神経症状が長期化している場合、上記の例ですと「湯船に浸かり」「有酸素運動をして」「夜はエアコンを切って」という具合に生活習慣を少しずつ改めていくことが非常に大切になってきます。

次のページは、「自律神経の問題が広がっている場合」「具体的に自律神経のバランスを調べる方法」です。

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