首から肩甲骨までつながって痛い痛みを、専門的には軸性疼痛(軸性疼痛=axial pain)と言います。この軸性疼痛は医学的には手術という選択肢があります。
しかし手術はなるべくなら避けたいとうい方もいらっしゃいます。
首の可動域の低下と関連していることが分かっている
富山医科薬科大学整形外科の頚椎後方手術後において発生する軸性疼痛の研究では、頚部の可動域低下と関連していることが報告せれています。
(Kawaguchi Y/Matsui H/Ishihara H/Gejo R/Yoshino O: J Spinal Disord/ 12巻, 5号, 392-5頁/ 発行年 1999年)
もともと首から肩甲骨に繋がった痛みがある場合は、頚椎の関節の可動域が低下しているという可能性があります。
このページはカイロプラクティック・アジャストメント(背骨の矯正)により、軸性疼痛と考えられる症状が軽減していったという報告になります。
お医者さまでは原因不明といわれた症例
- 30代女性 出版業
- 1ヶ月ほど前から首の痛みが再びでてきた
- もともと慢性的な肩こりもある
- 2カ月おきくらいで首が痛むのでどうにかしたくて来院
- お医者様では原因不明
繰り返し起こる首痛は人生を憂鬱にさせるものです。なんとかしたいものですよね。
カイロプラクティック初めての来院時 痛みと状態
- 朝起きた時に首が全く動かなくなることがある
- 悪化すると 肩甲骨のほうまで痛みが出る
- 首を反らすと痛みが肩甲骨まで走る
- レントゲンも撮影したが病院では原因がわからないという
- 10年前から同じような症状を繰り返し今回で4回目
このような症例の場合一般的な医師の治療は効果が低いです。

1992年のレベル3の比較対象試験によると
頚部痛と腰痛患者256例を対象に、医師の標準的な治療群、脊椎マニピュレーション群(背骨の矯正)、理学療法群、シャムトリートメント群(偽治療)に割り付けたRCTによると 最も成績が悪かったのは医師の標準的な治療群とシャムトリートメント群(偽治療)だった。
簡単にいうとレントゲンとってお薬を飲むより、理学療法か首の関節矯正をするカイロ治療の方が治療成績が良いということです。
検査と施術
首の関節の機能低下による硬節痛(こうせつつう)
- 検査の結果、第5頚椎の機能不全から出る痛み(硬節痛)が疑われる。当然頚部の筋肉群も硬化している
- 斜角筋群のトリガーポイントがあるのでストレッチ&プレッシャー(伸ばして押すこと)
- 位置感覚認識異常の疑い(どれだけ首が動いているか認識できていない状態)
- 充分な緩和操作とカイロプラクティックによる手あて
- 頚部の位置感覚の補正
- マッケンジー体操などの頚部のリハビリテーション
カイロプラクティックは硬節痛という考え方をよくします。これはカリエという学者が関節に食塩水を注射してどこの領域に痛みが出るかを調べた研究に遡ります。
今回は首から腕へということですが、腰から腿へなど様々な関節関連痛が確認されています。
このように首の関節から肩甲骨周囲に痛みが関連して出ることは良くあります。title下の軸性疼痛という言い方も同じ現象だと私は考えています。
最近はインターネットでも同じような自己ストレッチ方法などが良く見られます。まず自分で試してみて、それでも納得できるレベルまで回復しないようならカイロプラクティックによる手あてに行ってみましょう。
施術を受けた感想は「回復していくのが解かる」
- 数回の施術で随分楽になりました
- 運動不足も原因と指摘していただいたので、時間を作って運動していきたい
院長のコメント「痛みが出てから遅くても3ヶ月以内にはご来院、再発予防には運動と健康的な生活を」




肩甲骨まで走る痛みは、頚椎の関節からの関連痛やそれに付随する筋肉症状の疑いが強いです。首の構造は非常に複雑ですから異常を感じた時は速やかに受診されると良いでしょう。
頸椎は専門家でないと矯正した時の力加減が強すぎて大きな事故につながりますから間違っても素人にやってもらわないことです。
慢性化すると(3ヶ月以上になると)健康面、経済面にも大きく響きます。早めに来院した方が絶対に有利ですから、1.2週しても変化が無い時は受診時です。少なくとも3か月以内にお近くのカイロプラクティックや、オステオパシーをご受診いただければと思います。
病院の理学療法士の方でも稀に脊椎マニピュレーションを行う方がおられますが、大きな病院の責任者レベルになることが多いと思います。リスキーですから。
慢性の痛み(3か月以上)の管理は生物学的な原因だけではなくなるので、痛みをなくすというより「痛みを管理する」という姿勢で臨む必要がある
いいですか、3か月を超えると、脳が痛みを覚えてしまうので、それも含めて管理が必要になるということです。
運動だけが有効という2001年のレベル1の研究
頚部痛と腰痛の予防をテーマにした27件の比較試験を分析した体系的レビューによると
教育的介入(腰痛首痛教室)、コルセット、人間工学的介入、危険因子の修正に予防効果は確認できなかったものの、運動だけがその有効性を証明できた。




2017年の比較研究では「健康的な生活」も首痛再発予防を後押し
コホート研究ですからレベル4の研究になります。これによると
約22000人に対する調査で
身体活動、アルコール摂取、喫煙、および食事は、腰痛(LBP)と首の痛み(NP)のリスクと関連があるようで
健康的なライフスタイルであるほど、男性では長期にわたる慢性的な腰痛、女性では慢性的な首の痛みに対して保護的(予防的でありアクティブケア的)であるようです。(Skillgate E, Pico-Espinosa OJ, Hallqvist J, Bohman T, Holm LW.Public Health Cohort. Clin Epidemiol. 2017;9:491‐500. Published 2017 Oct 11.)




多くのカイロプラクティック治療院は現在は簡単なリハビリテーションも行っていると思います。再発防止や回復した機能を維持することも大切ですから治療院選びの一つのポイントにしてみてください。
またリハビリテーションが無い治療院は、再発予防まで視野がないと判断してもよいと思います。
しかし運動習慣が無かった方にとっては耳が痛いところで、習慣作りが一番の難関でもあります。
焦らずに、できなくても気長に取り組む姿勢を作っていく必要があります。
また女性は関節構造が男性にくらべて比較的柔軟にできているので、回復は早いことが多いですよ。