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伊藤孝英
院長
ロイヤルメルボルン工科大学健康科学部カイロプラクティック学科日本校卒業。B.C.Sc(カイロプラクティック学士), B.App.Sc.(応用理学士)。従来の筋骨格系障害としての腰背部痛から生物社会心理的要因としての腰背部痛へとシフトチェンジ。鬱や不安障害にも着目したマルチモデルでヒューマンケアしています。

妊婦の腰痛

妊婦さんはお身体の変化、生活の変化、ホルモンバランスの変化、体調の変化、心境の変化等、大きな変化があります。

このページでは妊婦さんの腰痛の原因と対処法を、医学的な見地、統計情報をもとに考えていきます。1部分でも参考になり安心感が生まれれば幸いです。

目次

妊婦の腰痛、骨盤帯痛は一般的

女性医師

女性が出産を迎える時に、肉体的精神的な変化がおき腰痛になるようです。
お尻回りが比較的多く痛みを訴える場所です。

いろいろな説がありますが、どうも骨盤周囲の関節靭帯が’’敏感になりすぎる’’人が痛みを経験するようです。

ネットでよく見かける骨盤のズレ、靭帯が緩むことで痛みが出るというのは俗説です。

靭帯はレラキシンというホルモンで確かに緩むのですが、靭帯の緩みというよりは靭帯が敏感になることが原因です

Prof. Peter O’Sullivan教授による解説です

ピーター教授のインタビューの内容

妊娠中にある腰痛は一般的だが、7-10%の女性は出産後も腰痛が持続する。大多数の人は自然と腰痛から回復するのですが少数が持続的な腰痛になります。

残念だが妊娠にまつわる腰痛で根拠のない情報が信じられていることです。それは「妊娠中に靭帯が緩んで腰痛になる」「骨盤の関節が上、下、などあらゆる方向に歪んで腰痛になる」という強い信念です。

問題なのはこのような考え方になる腰痛患者は恐怖を感じてしまい「自分の体が信じられなくなり」普通に動けなくなってしまうことです。それによって身体は緊張し、うまく動かすことができなくなり、身体に障害をきたします。

骨盤帯痛はきわめて一般的な訴えだが、慢性化して動作が制限されても、それは骨盤がズレたり不安定になっている訳ではないことが研究で判っていることです。実際には骨盤の組織が非常に敏感になっています。

そして敏感になった組織は・社会的ストレス・睡眠不足・身体位置が変化することによって、痛みに敏感になった組織にさらに物理的負荷がかかること、妊娠中や出産後に周囲の人々との関係性を維持することのプレッシャー、さらに育児のプレッシャー、といったことによる影響をうけることがあります。

これらの全ての因子は育児と仕事の間で相互に働き、非常に大きなストレスによって妊娠という大きな時期に神経系を緊張させ、骨盤の組織を敏感にさせます。現在巷で信じられていること「骨盤の緩み、ズレが痛みの原因」の問題点は、患者に恐怖を与えてしまうことです。

実際には問題の本当のメカニズムは判っているため、そういった恐怖は無くしていくべきです。

妊婦の腰痛に最上のマネージメントは何か?

研究では「出産後も上手くやっていけると強く思っている女性は実際に上手くやっていくということ」がわかっています。それは慢性腰痛にならない女性の最も強い予測因子の一つです。

現在社会と健康関連職種の両方において妊娠中は身体が脅威にさらされ、関節がゆるくなって大きな負荷を受け脆弱になってしまうという非常に強いネガティブな考え方があります。

妊婦の骨盤帯痛が一般的なことであることを考えると、最も重要なことは、骨盤帯痛が慢性的、持続的になってしまうことを予防することです。

そのためには人々に良い考えを伝える必要があります。

例えば身体への負荷を上手く管理、コントロールする方法を教えたり、姿勢を上手く調整する方法を教えたり、身体活動を持続したり、妊娠中もリラックスできるような方法を教えることで支援することです。

それによって神経系の緊張を緩和させ、慢性になりやすく、痛みを引き起こしやすい防御行動を起こさないように予防策を講じことができます。

すでに慢性痛になっている場合、それはまた違う話になります。

慢性骨盤帯の方達は「骨盤が脆い組織である」と考えていて、股関節や背部、骨盤といった組織について恐怖を感じ、防御的な運動パターンによって、これらの組織にさらに負担がかかっていることが多い。

そういった機械的負荷、恐怖心、不安、そして自身の身体が信用できないことによって神経系が緊張します。そして痛みを感じると患者は’’最悪の事態’’を考え始めます。

それによって精神的緊張を招き、ひどい状況に陥るわけです。患者は自分の考えと、痛みに対する反応によって痛みがさらに助長されるということの間に陥るわけです。

ですから我々はそのプロセスを絶ち、患者に対して痛みの本当のメカニズムの理解を促し、自信や自己効力感、自身の身体に対する信頼感を取り戻し、力を抜いて普通に動けるような方法を教え、身体を信頼できるような考え方に変え、散歩したり子供と遊ぶといった‘’患者の人生に意味を与えている動作‘’を再び行うようにしてもらいます。

意味あるプラスの活動に注目し、患者にこれまでと違う方法を教えます。

骨盤の関節の軸が13軸もあるとか、異常な状態になる可能性があるといった評価、治療体系が骨盤に関する神秘性を生みました。

骨盤は信頼できないという考え方は患者に大きな影響を与えますが、実際に痛みを引き起こしているメカニズムは比較的シンプルです。

ですから我々は骨盤についてかなり複雑に考えすぎていると思っています。エビデンスによると一般的に強く信じられている骨盤を元に戻そうとすることや、骨盤を安定させようとすることには効果がありません

実際には自身の身体への自信を取り戻し、普通に力を抜き、強くて丈夫で信頼できる部位であると考えを改めるほうが効果的です。

現在の複雑に考え過ぎる医療体系に至った原因はいくつかあると思いますが、先ず思い浮かぶのは「骨盤帯痛の大多数は画像所見などによって診断することができません。

それによって空白状態を生まれ、その空白は問題の背後に意味を見出そうとする様々なグループによって満たされてきたことです」。原因を同定できるひとがいない骨盤の変化の評価体系が意図せずして生まれましたが、それらの評価には妥当性や信頼性がない。

しかし患者が「なぜ骨盤が痛いのか?」を理解する必要があるため、そのような考え方はなくなりません。問題なのは、患者に対する説明の多くの場合患者の不安や恐怖感、自身の体への不信感を助長するだけだということです。

これまでの医療従事者の問題を解決するにあたって伝えたいのは「靭帯の弛緩性は妊娠に伴って起こるが、弛緩性の程度と痛みや機能障害の程度には関係が無い」ということが研究で判っているということ。

ですから妊娠中に弛緩性が起こっても、それは痛みや機能障害の予測因子ではありません。予測因子になるのは「組織がどの程度敏感になっているか?」ということです。現在進行中の研究では、組織の過敏性や痛みの閾値は強い予測因子ですが、靭帯の弛緩性はそうでないことが分かっている。

ですから研究エビデンスをしっかり吟味して、科学的根拠に基づいていない考え方はやめなければなりません。骨盤帯痛のある女性と無い女性の可動性を非常に正確な方法で調査した幾つかの研究によると、両者の可動性に差はありません。ですから我々はそういった考え方を捨てたほうが良い。

なぜなら誤った考え方だし、行われている検査には信頼性も妥当性もないからです。何度も言いますが最も重要なのは、そういった考え方は患者に恐怖心や自分の体への不信感を与え、痛みのプロセスを助長していしまうことです。

我々の行っているcognitive function therapyについては有用だと思います。多くの社会的ストレスを抱えた女性を診た時、彼女は自分の身体に不信感をもっていて、動くことが怖くて、非常に防御的で力を抜くことができませんでした。

リラックスして横になることすらできませんでした。ですから我々は彼女の痛みの要因を明らかにするために話し合いました。つまり力を抜いて自分の身体に対する新しい考え方をもち、怖いと思うことや彼女自身で立ち向かってできることを理解するということです。

そしてこのアプローチの素晴らしいところは、私の力ではなくて患者の力によって、患者が自身の体の痛みを管理、コントロールできると感じることができ、人生において意義のある活動を行うことができるようになるということです。そしてそれが痛みのサイクルを絶つ方法です。きっといい方法だと思います。

もし医療従事者、特に医師に1つだけメッセージ、患者にもメッセージがあるとすれば、「どちらに対してもそうですが、誤った考え方を捨てましょう」ということです。「骨盤の組織は強くて丈夫で、信頼すべきです」「骨盤帯痛は組織がもろくなっているのではなく、組織が敏感になっている」ということです。自己効力感や自信、そして希望を患者に取り戻さなければなりません。

つまり痛みがあったとしてもシンプルな方法で効果的に管理することができますし、この疾患の自然経過は非常に良好ですから、我々は患者が子供を産むという非常にストレスの多い時期に感じる恐怖や脅威を減らせるよう患者をサポートしなければなりません。もしそれができればこの疾患が慢性化するケースを大きく減らすことができると思います。

中等度の障害を持つ妊娠関連の腰骨盤痛の患者には、身体知覚、睡眠、および運動恐怖症の上昇の障害が見られました。

Beales D, Lutz A, Thompson J, Wand BM, O’Sullivan P. Disturbed body perception, reduced sleep, and kinesiophobia in subjects with pregnancy-related persistent lumbopelvic pain and moderate levels of disability: An exploratory study. Man Ther. 2016 Feb;21:69-75. doi: 10.1016/j.math.2015.04.016. Epub 2015 May 1. PMID: 25997987.
そのまんま

ピーターサリバン先生のお話は判りやすいです。認知行動療法は当院でも行っていますので、ご活用ください。これまで臨床で感じてきたことが科学的に明らかになると、施術者側も自信が持てます。骨盤はズレてないですし、緩んでるのが原因でもないです。先ずはリラックスしに来てください。

このエビデンスに基づく考えをベースに以下に述べることを考えていきます。

出産前後から慢性的に骨盤周りに起こる腰痛は世界的にも問題になっており、痛みの由来が筋筋膜性、内臓、腱や靭帯、骨格構造からなど、どこの組織に由来するものかを判断するのが難しい。

そして関連痛として腰回り、骨盤まわりにも痛みが出ていることを見逃していけない。

Torstensson T, Butler S, Lindgren A, Peterson M, Eriksson M, Kristiansson P. Referred pain patterns provoked on intra-pelvic structures among women with and without chronic pelvic pain: a descriptive study. PLoS One. 2015 Mar 20;10(3):e0119542. doi: 10.1371/journal.pone.0119542. PMID: 25793999; PMCID: PMC4368679.

妊娠により組織が引き延ばされます。上記の組織どれか一つということも考えづらいですしケースバイケースですので、どこの組織が痛んでいるのかを同定するのが困難です。というよりは「骨盤帯の痛みを感じている方は身体全体が過敏になっている」と言えそうです。そしてそれは生活状況、情緒的健康度と関連しているというのです。

ピータ―先生の論文を引用してみましょう。

妊娠中のグループは、対照群と比較して、ほとんどの評価部位で圧迫痛の閾値が有意に低い(痛みを感じやすい)ことを示した。そして妊娠中の参加者の自己申告による動きの障害と痛みは、痛みの感じやすさと相関していませんでした。痛みの強いグループは対照群よりも情緒的健康状態が悪く、睡眠の質が悪いと報告しました。

Palsson TS, Beales D, Slater H, O’Sullivan P, Graven-Nielsen T. Pregnancy is characterized by widespread deep-tissue hypersensitivity independent of lumbopelvic pain intensity, a facilitated response to manual orthopedic tests, and poorer self-reported health. J Pain. 2015 Mar;16(3):270-82. doi: 10.1016/j.jpain.2014.12.002. Epub 2014 Dec 23. PMID: 25540938.

いたみの分布においては、仙骨部、臀部、鼠径部および恥骨結合部に頻繁にみられ、比較的多いのが背中や腰といった背部、下部腹部ならびに脚部(腿、腿裏、フクラハギ、脚の裏)にも見られます。

出産前後 妊婦の腰痛管理 ポイント5つ

まずは妊婦さんの腰痛の、重症度と部位をしっかりと評価します。

以下の5項目を中心に考えていきます。

①どこが痛い?
→ 一般的には腰骨盤周りから股関節(多くは左)の痛みを訴える妊婦が多い。

②どのよう動作が制限を受けているのか?(腰痛のため日常生活でできなくなっていること)
→RDQというチェックシートで評価します。

(クリックで拡大、RDQ質問表)この日常生活動作でできることを増やしていきます。

③脚や股関節を含め、感覚が鈍くなったり痺れ、力が入りづらいといった神経の弱化や変化はあるか?→腰痛がひどいと、他の部位にも影響がでてきます

④ガイドラインの推奨は(あくまでも医師が作ったもの)主には理学療法による管理(カイロプラクティックも含む)、運動療法、人間工学、痛みの緩和、骨盤ベルト、骨盤ガードル、松葉づえ、車椅子が含まれます。
→ 人によって効果が違うので、どれか一つに頼るのではなく、いろいろと試してみるという理解が大切です。

⑤お医者さんでは、甲状腺ホルモンや、カルシウムレベル、マグネシウム、リン酸塩、骨アルカリホスフォターゼ、ビタミンDなどなど代謝テストを実行することも… 
→私はカイロプラクターなので代謝テストはできませんが、必要な方は医療機関でしらべサプリなりホルモン剤などで改善することも

腰痛のケアは安全

女性

骨盤や背骨の矯正は危険だという噂もあるけど

そのまんま

腰痛の緩和に関して、硬膜外注射、背骨の調整(カイロプラクティック)、局所麻酔が危険だという証拠はありませんのでご安心ください。

運動 カイロ治療 針治療が有効

妊婦のお腹
骨盤の調整や局所麻酔の危険性は指摘されていない

2015年のシステマティックレビューになりますので、質の高い研究です。

運動(陸上または水中でのあらゆる運動)が妊娠関連の腰痛を軽減する可能性があるという質の低いエビデンスがある。

あらゆる運動が機能障害を改善し、通常の出生前よりも病気の休暇を減らすことを示唆する中程度から低品質のエビデンスがある。

単一の研究からの証拠は、鍼治療または頭蓋仙骨療法が妊娠関連の骨盤痛を改善することを示唆しており、脊椎マニピュレーションまたはマルモデル介入(手技療法、運動および教育)も有益である可能性がある。

Liddle SD, Pennick V. Interventions for preventing and treating low-back and pelvic pain during pregnancy. Cochrane Database Syst Rev. 2015 Sep 30;2015(9):CD001139. doi: 10.1002/14651858.CD001139.pub4. PMID: 26422811; PMCID: PMC7053516.
そのまんま

妊娠後期にはどんどん動くことを勧められますので、体調管理をするという方向と同じです。先ずはプールに行ったり歩いたりしてみてください。

エビデンス三角

三角形の赤い部分の超信頼性の高い研究ですから厳密に表現しているといます。

妊婦の腰痛の原因と対策

お腹を支える妊婦

ホルモンバランス、体型、ライフスタイルまで全部変化がある訳ですので、腰痛になりやすい状況といえます。

さまざまな妊婦さん、産後の方の背骨を拝見すると出産前後で体力全体の低下がある中で、筋力の低下、筋の張りが無くなるといいましょうか、支える力が弱っているという印象です。

しっかりとした研究は始まったばかりという印象で、柔軟性や外腹斜筋がポイントになるようです。

0.リラキシンが腰痛の原因ではない

以前はこのリラキシンが妊婦の腰痛の原因と考えられてきましたが、2000年以降の研究で否定されています。

ただし身体が緩むという意味ではリラックスするという意味でリラキシンが原因と言ってもいいかもしれません。

リラキシンは構造的にはインスリンに類似した、ポリペプチドホルモンで黄体から分泌され子宮収縮の抑制、恥骨間靭帯の伸長、子宮頸管の軟化という3つの生理学的作用がある。
ここで関係しているのは恥骨間靭帯の伸張であるが、出産の直前までは影響がない可能性がある。

これまでリラキシンは妊婦の関節弛緩の原因だと考えれられ来たがいくつかの研究で否定されている

リラキシンは妊娠中の恥骨結合の拡張や骨盤の痛みとも関連性が無かった

(blecher and Richemond 1998. Samuel 1996)(Bjorklund er al.2000)

妊婦の腰痛対策1. ストレッチや背骨安定化運動

妊婦さんの腰痛へのストレッチや背骨の安定化運動に効果があると科学的に言えるようになってきたのはごく最近です。

パイロット無作為化臨床試験ではコントロール感が増えて、痛みが少し減り、日常生活動作が楽になるようです。

※【パイロット試験】単回実行試験で得られた結果に基づき、適正な用法・用量を推定するため、被験者数を増やして安全性・有効性を確認しながら実施する試験の事

妊婦さんを2グループに無作為化で分け、50分のセッションを週2回、6週間行った。

日常生活活動障害、痛みがストレッチや背骨安定化運動を週二回6週間取り入れたグループは活動障害が少なく、痛みが減った。

同時に筋電図を計測していて、多裂筋、腸腰筋、腰直筋および外腹斜筋(筋電図)の筋活性化レベルが計測された。
1)腰部安定化運動プロトコル
2)ストレッチ運動プロトコル

1)2)の いずれの介入でも腰痛の有意な減少(p = 0.03)(VASで1.68)がありました。

日常生活動作の活動障害は変化はない。さらに、両方の介入は姿勢安定性の平均改善に匹敵し、介入後の外腹斜筋の活性化(p> 0.05)が大幅に増加していた。

Fontana Carvalho AP, Dufresne SS, Rogerio de Oliveira M, Couto Furlanetto K, Dubois M, Dallaire M, Ngomo S, da Silva RA. Effects of lumbar stabilization and muscular stretching on pain, disabilities, postural control and muscle activation in pregnant woman with low back pain. Eur J Phys Rehabil Med. 2020 Jun;56(3):297-306. doi: 10.23736/S1973-9087.20.06086-4. Epub 2020 Feb 18. PMID: 32072792.
女性医師

これは痛みは1.6/10減ったということなので、たとえば6/10くらいの腰痛を訴えていた方は4.5/10くらいになったということです。
最初に書いたように腰痛を完全になくそうなんて考えていると、失敗しますから、少しでも楽になるものをどんどん取り入れると考えてね。

使えてない筋肉は主に外腹斜筋のようです。この辺りは腰を前からコントロールするという意識が出てくると意味が分かってきます。

外腹斜筋はお腹の筋肉ですが、脇腹の筋肉と言ってもいいでしょう。斜めに走っている筋肉の一つです。ボクシングのボディーブローを打たれた時に、ガードする筋肉

そのまんま

臨床上、臀部や太ももの筋肉の張りが弱い気がしますが、この研究によるとお腹横の筋肉が使えなくなるようです。

妊婦の腰痛対策2. 水中体操

すこし古い論文になります。

妊婦の腰痛に関して2009年のレビューで解ってきたことは理学療法に確固たる効果はなく、見えて来たのは「水中での体操」が一番妊婦の腰痛に効果がありそうだ。

(オスロ大学健康科学課のブリット・スチュージ 、ガンバー・ヒルデ&ニーナ・ヴォレスタッド) https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/j.1600-0412.2003.00125.x?src=recsys

妊婦へのアクアビクスのような取り組みは、都内であれば区でも実施されているようですし、検索して参加するのが一番費用対効果に優れているのかもしれません。

女性医師

また単純な水泳が可能ならば、先述の外腹斜筋も鍛えられますし、全身運動になりますので体力維持にもつながると思いますので、泳いでみるのも選択肢の一つです。

妊婦の腰痛には負担の少ないアクアビクスが科学的に最も効果があるようです

やる気がでない時はカイロケア マッサージを受ける

1997年の「妊婦へのマッサージとリラクゼーション療法を比較」した研究によると2回20分ずつのマッサージを受けたグループで腰痛の現象、睡眠の改善、不安の軽減、気分の改善が報告された

(T. Field,  M Hemandez-reif  et al,1997) https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.3109/01674829909075574?src=recsys

カイロテーブルはうつ伏せも可能です

お腹がおおきくなってきている妊婦さんでもうつ伏せになりたいときはありあます。カイロプラクティック専用のテーブルはお腹の部分をくぼませることができますから妊婦さんも安心です。

カイロプラクティックテーブルのアブドミナルセクション
カイロプラクティック専用テーブルですので、お腹の部分に空間をつくります

リハビリが失敗した場合のみ整形外科的な意見を求めるべき

妊婦の腰痛の重症例では医療検査が必要になります。歩けないくらいの腰痛の時は、MRI,超音波スキャン、などで病的な骨折の有無を判断します。

骨粗しょう症の評価。骨壊死による股関節骨折を注意したいところです。股関節骨頭壊死は、抗うつ薬を服用されて、なおかつアルコールを飲んでいると発生リスクが高まります。妊婦さんでそのような方は少ないとおもいますが、中には止められない方もいるとおもいます。

快適な出産姿勢を維持できない重度の腰痛妊婦では産科医による徹底的な検討と評価、帝王切開が代替選択肢として上がるようです。

そうなる前にカイロプラクティックケアでなんとかしましょう。

理学療法に反応しない場合は、その時入院も検討します。

妊婦の腰部椎間板ヘルニアは心配無用

妊娠すると腰のカーブが強くなり、体重も増えて椎間板に負荷がかかりそうなものです。妊婦さんで腰痛があると、もしかしたらヘルニアがあるのでは?昔のヘルニアが悪さしているのでは?と心配になるものです。

統計的にはどうか?世界的な問題であるため、毎年質の高い研究が積み上げられてきています。まずは10年以上前の研究から基本をおさらいします。

妊婦54名と非妊婦41名の腰部椎間板をMRIで比較

結果:椎間板異常は妊婦群で53%、非妊婦群で54%、椎間板ヘルニアは妊婦群で9%、非妊婦群で10%、椎間板膨隆は両群とも44%と差がなかったことから、妊娠は腰にとって安全。

つまり椎間板ヘルニアがある割合は、妊婦であろうが、非妊婦であろうが同じ割合でいるという事です。

赤ちゃんの成長でお腹が出てくると腰に負担がかかってヘルニアが増えるのならば、妊婦の方がヘルニアの割合が多いはずですが、そうではありません。つまり体重増加や前彎過剰は椎間板に影響を与えません。

2017年のレビュー 保存療法を推奨

2017年の文献レビュー
MRIは、脊椎の問題に冒された妊婦のための最初のレベルで最も安全な診断ツールです。脊椎の安全な放射線検査を可能にします。椎間板ヘルニアの影響を受けた妊婦の初期管理は保守的であり、主に疼痛治療を目的としています。
神経根痛(痺れ)および医学的管理に反応しない足の症状の進行悪化が続くときはいつでも、手術を考慮すべきです

Di Martino A, Russo F, Denaro L, Denaro V. How to treat lumbar disc herniation in pregnancy? A systematic review on current standards. Eur Spine J. 2017 Oct;26(Suppl 4):496-504. doi: 10.1007/s00586-017-5040-8. Epub 2017 Apr 20. PMID: 28429143.

腰痛が悪化して、足の痺れが悪化してきている場合は手術を検討してみる。ただし手術が優れているかどうかの研究がその後検討されます。次の論文を見てみましょう。

2020年のレビューでも非手術の方が結果が良い

2020年のレビューです。症状のある妊婦の椎間板ヘルニアについて

腰椎椎間板ヘルニア(LDH)は、1万人に1人の妊婦に影響を与えることが報告されています。妊娠中の患者におけるLDHの最適な管理に関して利用できる証拠は限られています。利用可能な文献の批判的な評価と分析を通じて、妊娠中の症候性LDHの管理に関する現在のエビデンスをレビューすることが目的。

方法:検索をMedline、Embase、PubMed、Science Direct、およびCochrane Libraryで、最初から所定の検索用語を使用して実行され高品質デザインの研究30,52人の症例について吟味された。

結果:52人の患者を含む30の研究が特定されました。外科的に管理された患者と比較して、保守的に管理された患者は、完全回復率が高く(61.54%対56.41%)、持続症状の発生率が低かった(30.77%対38.54%)。
馬尾症候群の外科的治療を受けた患者と比較して、坐骨神経痛の外科的治療を受けた患者は、完全回復率が高く(80.95%対27.78%)、持続症状の発生率が低かった(14.29%対66.67%)。

結論:妊娠中の症状の有る椎間板ヘルニア患者の管理を導くための手術しない限られたエビデンスが既にあります。手術しない管理が既に提案されているにもかかわらず、手術へ導くバイアスがあるのは問題です。信頼できる結論を引き出すことを妨げています。この患者グループの意思決定は、学際的な設定の中で行われるべきです。

Whiles E, Shafafy R, Valsamis EM, Horton C, Morassi GL, Stokes O, Elsayed S. The Management of Symptomatic Lumbar Disc Herniation in Pregnancy: A Systematic Review. Global Spine J. 2020 Oct;10(7):908-918. doi: 10.1177/2192568219886264. Epub 2019 Dec 26. PMID: 32905728; PMCID: PMC7485082.

馬尾症候群は、股間の麻痺や排尿排便障害でる状態で10時間以内の手術が必要なものです。それと坐骨神経痛の手術を比べています。腰痛と比べているわけではありません。

つまり馬尾障害以外は手術をしてもしなくても再発したり、症状が持続する人が一定割合いますが手術をしないほうが、そういったことは少ないと言えます。

それでも手術をする医療の目的は何なのでしょうか?手術を選択するにしても病院側からこれらの数値を知らされているでしょうか?

産後の腰痛管理のポイント10個

アメリカ整形外科学会による新米ママへの腰痛予防法10ヒント

【新米母のための腰痛予防 10のヒント】

  1. 医師の許可が出次第、産後の運動を始めて腹筋や背筋の筋力を回復させる。子どもが寝ている間に毎日10分間、ストレッチや筋力トレーニングをすることで、腰や背中の柔軟性と筋力回復につながる。
  2. 産後6カ月で元の体重に戻ることを目標にする。健康的な食習慣は直ちに始める。
  3. 子どもを抱き上げる時は腕を伸ばさず、胸に引きつけてから持ち上げる。体をひねらないこと。
  4. 床から子どもを抱き上げる時は、腰を折らずに膝を曲げ、床にしゃがんでから腹筋を緊張させ、脚を伸ばして持ち上げる。
  5. ベビー用のハイチェアへの上げ下ろし時は、テーブル部分を取り外す。
  6. 子どもをベビーベッドから抱き上げる時は、膝を軽く曲げながら子どもを自分の体の近くに引き寄せると、腰への負担が少なくなる。ベビーベッドを新調する時は、自分の身長を考慮して、子どもを楽に抱き上げられるサイズのものを選ぶ。
  7. 子どもを連れて歩くときは、「フロントバック」を使用する。
  8. 子どもを片方の腰の脇に抱えるのは、背中の筋肉に負荷がかかりすぎるので避ける。どうしても脇に抱える必要がある時は、抱く側を時々変える。
  9. 授乳時の上背部痛を予防するために、自分の体を曲げるのではなく、枕や専用の授乳用枕などで子どもを乳房に近づける。
  10. 子どもを車の座席に乗せる時は、車外に立ったままではなく、片足を車に乗せて行う。4ドア車の方が便利。
女性医師

人工工学的な文章が多く上記と矛盾するようですが、「ママは別」ということで考えましょうか。家の仕事もあるし体力低下してるし、やることばかりだし… 眠る時間もこま切れになるしね。

  1. 血栓予防を検討する必要があります。これは運動したり、必要ならワーファリンを処方してもらってください。
  2. 理学療法を継続し、治療に対する反応を評価する必要があります。
  3. 定期的な鎮痛を行い、NSAID(バファリンとかイブとか市販のでもOK)の使用を検討します。
  4. 女性が激しい痛みを抱えている場合は、骨盤へのX線および整形外科医への紹介を検討します。
  5. 自宅での授乳と追加サポートを奨励する。
  6. 出生後のうつ病の徴候に注意してください。
  7. 性交のさまざまな立場について助言する。
  8. 一部の女性は、出産後しばらくして腰痛症状が再発する場合があります。ほとんどの女性は2か月後に自然に解消しますが、一部の女性はサイクルごとに持続する場合があります。強度はかなり異なりますが、通常は深刻ではありません。
  9. 症状が大幅に改善するまで、重い物を持ち上げたり、スーパーマーケットのトロリーや乳母車を押したりしないでください。
  10. 症状が再発する場合は再評価され、理学療法士に紹介されるべきです。

以上カイロプラクターがエビデンスベースで妊婦の腰痛管理についてお伝えしました。不必要に整体やマッサージに通う必要はないですが、お気持ちの面も含めて支えになると思います。トコちゃんベルトなども試してみて、選択肢の一つとしてカイロプラクティックケアがあれば心強いのではないでしょうか。

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