肩甲骨と肩甲骨回りの痛みの原因解説

「肩甲骨が痛い」と訴える方もも少なくありません。

感覚的には肩甲骨自体が痛い、肩甲骨の内側、外側など肩甲骨周囲の痛みだと感じます。

多くの場合、医療機関では原因が見つかりません。厄介ですよね。

1.2週間経過しても取れない肩甲骨の痛みは、悪化してくれば寝返りできないほど痛みますし、息を吸うだけで痛むように悪化することも珍しくはありませんので早めに対処することをおススメします。

このページは筋骨格系のスペシャリストであるカイロプラクティックから見た肩甲骨の痛みの解説をしていきます。

セルフケアできる範囲、できない範囲を理解して、判断にお役立てください。

肩甲骨、周囲の痛みにはいくつも原因がある

痛みを感じている部位は肩甲骨あたりですが、原因はいくつもありますので順番に見ていきましょう。

背中の画像
肩甲骨に感じる痛みを周囲の筋肉や背骨の関節から見てみる

肩甲骨やその周囲には実にさまざまな筋肉が付着していますし、首の関節からの関連痛で肩甲骨周辺に痛みを出していることもあります。

この場合いくら肩甲骨回りを触ってみても原因に直接触れることはできません。

ネット上では大きな病気のサインではないかと考えさせるページが多いですが、実際病的な状態であることは極めて稀です。

多くの方が必要な情報は少ないように思われます。病気ではないことが解かったら肩甲骨周囲の痛みは筋骨格系の症状であることが多いです。

多くの場合は筋膜や腱、骨膜といった膜組織の痛みか、首の関節、肋横突関節や胸椎の関節などからの関連痛として肩甲骨に痛みを感じていることが多いです。

関節を動かすのは訓練を受けた施術者でないと危険ですが、筋肉由来の症状であればある程度ご自身でケアすることも可能だと思います。

最後に動画による解説(ページ下部へとびます)もありますので、良かったらご覧ください。

肩甲骨に実際に付着する筋肉をみていきましょう

肩甲骨周囲には沢山の筋肉が付着してます

肩甲骨や腕は360度さまざまな方向に動きますので、自由度の高い関節といいます。
当然多くの筋肉が付着して多彩な動きをします。

それだけ多くの筋肉が付着していますので障害を起きやすい部位です。

また自由度の高い関節は固定して使う時に、自由度の低い関節に比べるとエネルギーを多く使います。現代のデスクワークに代表されるように同じ位置で使い続けていると、特定の筋肉が固まりやすいです。

それぞれの筋肉をマッサージしてけば痛みの原因が見つかるかもしれません。一先ずは痛みを回避できるかもしれませんので、ご参考いただきくれぐれも無理の無い範囲でセルフケアしてみてください。

セルフマッサージする場所1. 広背筋

例えば広背筋のトリガーポイントが肩甲骨の外側に痛みを出すこともあります。

写真ですと判りづらいですが、左の背中と左腕が映っています。左脇の下のあたりにマークがあります。ここが痛むと周囲、腕、肩甲骨の下あたりに痛みが広がります。

肩甲骨外側下に放散する痛みがある、広背筋のトリガーポイント
左背中です。肩甲骨の輪郭を白く描きました。

セルフマッサージする場所2. 棘下筋

棘下筋のトリガーポイントはこのようになります。腕に出る事もあれば、肩甲骨の内側にでることもあります。写真は途切れていますが、右肩から腕の外、手の甲と症状を出すことも…

棘下筋のトリガーポイント
右背中です。腕の痺れや痛みの時にも疑われる棘下筋(きょっかきん)

セルフマッサージする場所3. 菱形筋

これも多いのですが、菱形筋(りょうけいきん)といって肩甲骨の内側と背骨を結んでいる筋肉が疲労して硬くなり、トリガーポイントになっている時にも肩甲骨内側あたりに痛みがでます。

この筋肉は図では肩甲骨の上への関連痛ではないのですが、問診上「肩甲骨のあたり」という言い方をする方が多いのが特徴です。

ちょうど菱形筋の下に第5胸椎あたりが見えると思いますが、被害が関節まで及んでいる時は、関節の操作が当然必要になります。(ページ下部 へ移動)

セルフマッサージする場所4. 棘上筋

棘上筋(きょくじょうきん)といって肩甲骨の上面にある筋肉が痛んでも肩甲骨上、肩甲骨の背骨側から腕にかけて痛みが出ます。

菱形筋トリガーポイント
菱形筋のトリガーポイントです。菱形筋棘上筋になります。

ご説明したトリガーポイントのトリガーはtrigger で「銃の引き金」って意味になります。何でか解りますか?
これ押されると「飛び上がる程痛い」んですよ(笑)

注意して優しく押してるだけじゃ変化ないですから、慣れてきたらある程度覚悟を決めて押すか、他の人に押してもらってください。

斜角筋のトリガーポイント  ※セルフマッサージは無理かも…

斜角筋トリガーポイント
首の深い所にある斜角筋から肩甲骨や胸、時には腕にかけて痛みがでることも

後に記す下部頸椎とも大きく関連するのですが、首から1.2肋骨にかけて走っている筋肉があります。

斜角筋(しゃかくきん)といいます。これらの筋肉に硬いところが出来てくると、肩甲骨周囲や腕に症状が出るとされています。

この斜角筋のトリガーポイントも比較的多いです。

この場合は単体というより、付着している下部頸椎の可動性も減ってということが多いと思います。筋肉が硬ければ関節も動きませんから…(筋骨格系の簡単な解説、別ページへ飛びます)

これらを鑑別していくには手技での確認や可動域検査などをする必要があります。

頚椎の機能不全からの関連痛が原因で肩甲骨周囲に痛みやコリ感がでることも少なくありません。

これは関連痛と呼ばれるもので頸椎の関節や関節包などの結合組織の不具合で痛みを肩甲骨に出します。

その昔背骨の関節に食塩水注射をすることで、どこに痛みを感じられるのかという実験で解って来たことです。危険ですから絶対真似はしないでくださいね。

この場合は頸椎の機能を回復させていかないと症状はとれてこないです。WHO基準のカイロプラクターや、オステオパス、マニピュレーションのできる理学療法士さんに相談しましょう。

肋間筋の硬結(コリ) これもセルフは無理かも…

肋骨と肋骨の間には肋間筋という呼吸時に使う筋肉があります。

胸郭の動きが悪くなっている、つまり呼吸が浅くなっていたり、かつての外傷などにより肋間筋に筋硬結ができていると肩甲骨周囲に痛みを感じます。

しっかりと勉強をしたマッサージや指圧の先生なら押せるとおもいますが、そうでないと難しいかも知れません。


これらの筋肉は骨を引っ張って、関節を動かします。どこからどこまでが機能低下してるのは、ひとそれぞれです。

ここからは、関節が主な原因の場合を書いていきます。関節はセルフで動かそうとすることは危ないですから、誰かに相談しましょう。

関節からの関連痛で肩甲骨が痛く感じる

肩甲骨の内側の症状に対して、マッサージに行ったけど良くならなかったという方も多いです。これは症状の原因が筋肉ではないことを示しています。

背骨と肋骨
肋横突関節(指のところ)
肋間筋(赤い所)

関節の機能不全が原因の事も多いです。

比較的多い、肋横突関節(ろくおうとつかんせつ)の不具合

解剖学的にもっと深い組織、例えば背骨と肋骨(ろっこつ)が構成する胸肋関節の機能不全が原因をおこしている場合もよく遭遇します。

写真の指を指しているところが関節です。呼吸するとき等に動くのですが、部分的に硬くて動かなくなることもあります。

先述のとおり、関節が固まっていれば、そこを動かそうとしている筋肉が頑張り、疲弊します。つまり肋間筋も硬くなっていることが多いです。

頸椎の関節のさしさわりが、肩甲骨周囲に痛を出す

頚椎の関節が機能低下して、関節包靭帯や関節軟骨への無理がかかると、関連痛として肩甲骨周りに痛みを出すことがカリエという人の実験から分かっています。

これもピンポイントで、しっかり関節をきっちり動かしてあげることで、回復していきます。頚椎は先述の斜角筋の付着部でもあります。斜角筋も関連痛に関わっている場合もあります。

頸椎から肩甲骨への痛みの図
第6/7頸椎関節からの痛み(紫)
第5/6頸椎関節からの痛み(オレンジ)

第3-4頸椎間関節、4-5間関節同じく5-6間関節6-7間関節からも飛んで痛みが出ます。

動画でサラッと解説

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回復のポイントは何週間も放置しないこと

3~7日経過しても痛みに変化がないならその時点で考える

3日~1週間ほど経っても回復に向かいそうにないなら、その時点が1つ目の来院ポイントです。
さまざまな事情で来院できないのであれば、2つ目のポイントは1か月の時点です。1か月経過して完全に回復していなければ、この時点で絶対に来院することを強くお勧めします

1~3か月の間は亜急性期と呼ばれる時期です。この間に「私は肩甲骨が痛い」という状況を脳が覚えます。多くの場合は社会的な痛みを感じたときに肩甲骨の痛みとして自己表現するようなライフスタイルになっていきます。

この脳が痛みを覚えている「生活」というのは皆さんが思っているよりも大きな問題に’’将来的に’’発展していきます。詳細は’’社会的な痛み’’で調べてみてください。

このような状況になってくると多かれ少なかれ認知行動療法のような心理療法を併用する必要があります。

痛みは3ヶ月以上になると慢性痛というカテゴリーになります。記憶の回路に埋め込まれてその状態が当たり前になってしまいますので、早めに来院されることをお勧めします。
(日経メディカル2015.02.09)

骨自体が痛む時は骨折や癌の時

通常骨転移は肩甲骨付近には起こらないと思いますが、一応情報としては記載しておきます。

肩甲骨だけではありませんが、骨の痛覚神経は骨を包んでいいる膜(骨膜)にしかありません。骨折した時や癌細胞が骨に転移した時にしか直接骨が痛むことはありません。

また癌の痛みの場合種類も「疼くような」「しくしくした」「夜間疼いて目が覚める痛み」と、特徴的な痛み方をしますので問診で直ぐにわかります。

癌の骨転移が肩甲骨にいったという話は聞いたことがないので、ほぼ無いと考えていただいて構いません。ただし背骨への転移は稀にありますので、その場合は直ぐに病院を受診してください。

肩甲骨周囲の痛みはレントゲンには映らない

画像診断の盲点

筋骨格系の機能、筋肉の硬結等の状態は、言うまでもなくレントゲンには映りません。勿論MRIにも映りませんから原因が不明ということになってしまいます。一部胸椎の椎間板ヘルニアからの影響もあるでしょうが、確率としては非常に低いです。

胸椎の椎間板ヘルニア自体が下部腰椎、下部頚椎にくらべて極端に少ないからです。

手技で確認すれば明らかになることが多い

一度カイロプラクターの手技での確認を受けると実感できるとおもいますが、多くの場合は細かい筋肉が痛んでいたり、背骨や肋骨の関節機能不全が原因であると認識できるでしょう。

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