カイロプラクティックは、腰痛や肩こりをケアするだけの場所と思われがちですが、実は「健康をケアする専門職」です。
何かの故障をただ修理するのではなく、「健康のバケツ」から水が少しずつ減っていくように、健康が損なわれることで様々な症状や病気が現れ、やがて枯渇してしまう――私たちはそんな捉え方で人間を診ています。
『健康とは病気のないこと』ではない
想像してみてください。「健康のバケツ」には水が満たされており、これが健康な状態です。

しかし残念ながら、バケツには穴が空いています。その穴は加齢とともに大きくなり数も増え、日々の疲労や病気によってさらに水が減っていきます。
- 「健康のバケツの水」が減ると、コリや痛みなどの症状が出ます
- さらに水が減ると、病気になります
- そして水が枯渇すると、死を迎えます
だからこそ、日頃から「健康のバケツの水」をしっかり満たしておくことが大切なのです。では、そもそも「健康」とは一体どのような状態を言うのでしょうか? 世界保健機関(WHO)の定義を参考に見ていきましょう。
肉体的にも、精神的にも、社会的にも満たされた状態

長年腰痛や肩こりに悩まされているときにWHOの健康の定義を読むと、「そんな状態あるわけない」と思われるかもしれません。何を隠そう、私も以前はそのように感じていました。
“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”
「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。」(日本WHO協会訳)
しかし、カイロプラクティックの臨床や学びを通して、私自身も徐々に肉体的・社会的・精神的に満たされた状態へと近づいていきました。
もちろん、時に疲労し、落ち込み、迷うこともあります。だからこそ、1998年にWHO内で提案された「ダイナミックな状態」という書き方に集約されていると感じています。
1998年の提案:スピリチュリティー(死生観)の追加
“Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”
「健康とは完全な肉体的、心理的、精神的及び社会的福祉のDynamicな状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」(厚生労働省)
この変更案には「死生観」が含まれています。アフリカ諸国が加盟した際、「健康の概念にスピリチュアリティーが無いのは変だ」という意見から追加されたと言われています。損得勘定ばかりで生きている人と比べると、やはりどこか人間的な深みがあるほうが豊かですよね。
また、ここで「ダイナミック(動的)な状態」と表現されているのも非常に面白い点です。いつもフルタンクで完璧な健康状態というのも不自然な話で、体内環境も含めて私たちの心身は絶えず揺れ動き、変動しています。
スピリチュアル(死生観)に関して私の考え
昨今の神社ブーム、御朱印集めや占いなどのブームは、人間にとって見えない世界や死生観がいかに必要な要素であるかを物語っています。
宗教というよりも、マックス・ウェーバーが指摘するように、明文化された教義そのものというよりは、日本古来の初詣やお盆のお墓参りのように、私たちの生活様式や日々の行動に溶り込んだ「命に対する感性」や「死生観」こそが大切です。
人類学の視点でも、ネアンデルタール人が猿人と決定的に違ったのは「埋葬(死者を弔うこと)」を始めた点だと言われています。あの世があるかどうかは別として、そうした感性を持つこと自体がお金をどれだけ持っていても得られない「真の健康」に繋がっているのではないでしょうか。
WHOの健康観は「慢性痛からの解放」に直結する
最新の疼痛研究でも、特に慢性痛は以下の4つの要素から成り立っていると言われています。つまり、本当の意味で痛みや不調から回復するには、これら全てを満たす視点が必要です。
- Physical(肉体的要素):構造や機能の不全
- Social(社会的要素):人間関係や労働環境など
- Mental(心理的な要素):ストレスや不安など
- Spiritual(精神的な要素):生きがいや死生観、価値観
健康の社会的な因子(Social)について
特に社会的要素について、WHO欧州地域事務局は明確な根拠のもとで「健康の社会的決定要因」として「社会格差」「ストレス」「幼少期」「社会的排除」「労働」「失業」「社会的支援」「薬物依存」「食品」「交通」などを挙げています。
これは人間関係だけでなく、ブラック企業のような労働環境や孤立した生活など、社会的な背景がいかにダイレクトに身体の痛みや不調に影を落としているかを示しています。
当院のカイロプラクティックケアが、単に背骨や筋肉を整えるだけでなく、患者さんの生活や心身の背景に寄り添う理由がここにあります。
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※お身体の状態についての個別のご相談や詳細なカウンセリングは、対面での施術時にしっかりお時間を取ってお伺いします。まずはご予約の上、安心していらしてくださいね。

