このページはカイロプラクティック治療を解説しながら両足にある痺れの対応方法を考えるページです。西洋医学とは違うアプローチを考えている方の参考になれば幸いです。
目次
両脚の痺れ カイロプラクティック症例
両足の症状 イメージ
腰痛や脚への痺れは排尿障害などが無ければ基本的には2.3か月間は保存療法を行うことが世界的な基準になります。
保存療法は薬物療法や、鍼灸、マッサージ、カイロプラクティックなどの非手術的なアプローチです。
2011年に出されたアメリカ医師会の「腰痛への画像診断も含めたアドバイス」
多くの場合、(8割前後)保存療法で痺れ症状も改善することが判っています。
Imaging for Low Back Pain: Advice for High-Value Health Care From the American College of Physicians (2011) https://www.acpjournals.org/doi/pdf/10.7326/0003-4819-154-3-201102010-00008
本症例は40代男性で、過去に3回動けなくなるような腰痛の経験がある方でした。
ハムストリングから脹脛部への痺れも有しています。このような状況の場合、腰椎の問題や、ヘルニアの問題を心配されている方も少なくないです。
このページでは状態を解説し、エビデンスを基に対応できるように書いてあります。症状がキツイ方も、あまり心配なさらずにご一読ください。
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脚に痺れというと、MRIやレントゲンによる検査を考えがちですが、実際に画像診断が必要なケースはすくないです。これは長年の統計学的な調査で画像診断は必要性が少ないことが判っているからです。
逆にカイロプラクティックのような保存療法による神経根症状への検査も精度は高くありません。すべてに完璧なことは無いですが、今わかる範囲で保存療法のできることを模索していきます。
おでこから、つま先まで繋がっている筋膜、バックライン が緊張している人は、QOLが低下してさまざまな症状が出やすい
保存療法の中では有名な著書、「アナトミートレイン」は筋膜のつながりを考えて施術するための概念です。
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この筋膜の繋がりで症状を考えることが大切。解剖学的には筋膜は自動収縮をすることが判ってきています。
これらの筋膜の収縮は中長期的に関節や筋肉といった人体組織の拘縮を促すと考えられています。バックラインの緊張をとってあげることで、腰部から下肢への症状へも影響がおよぶことも十分に考えられます。
筋膜の自動収縮は数日から数か月で組織の拘縮や運動神経の協調に影響を与える可能性がある。
Schleip R, Klingler W. Active contractile properties of fascia. Clin Anat. 2019 Oct;32(7):891-895. doi: 10.1002/ca.23391. Epub 2019 May 2. PMID: 31012158.
ご感想
施術後に前屈をしたら問題なく前屈できた。 恐怖心もとれました。 そして、じわっとした両脚の痺れ感もなくなった。 また頃合いをみて電話します 。
院長コメント:バックライン緊張は多い
カイロプラクティックは背骨を中心に人間を診る専門家です。専用のテーブル(台)を使うので、床や椅子では動かせない関節も動くように施術します。
最後に前屈をしてもらった時に「あれ?なくなっちゃった」というコメントが印象的でした。この方のように過去に1度腰痛になると、統計上は8割以上の方、殆どの方が腰痛の再発を経験します。
これは仕方のないことですが、誰しもがそういうものだということで悲観的にならないことが重要です。臨床経験上は再発防止の自己運動を辞めてしまい、数年すると再発している印象です。
この方には再発防止には運動が不可欠だと伝えて、また必要な場合はカイロプラクティックをご利用くださいということで納得してもらいました。
バックラインの緊張と記しましたが、バックラインは足先から背中を通って額まで繋がっている筋膜のラインです。単に痛みをとるだけというようりは、将来的なことも考慮して、前屈系のストレッチは行っておいて損はないとおもいます。
腰痛を起こした人の大半は2年以内に再発するかもしれない。しかしこれは腰痛が深刻な病気であるという意味ではない。再発のない時期には、ほとんどの人が通常の日常生活を送ることができるし、症状もほとんどない。
この方がカイロプラクティックでの初回で症状が取れたのは、さほどストレスフルな状況ではないことと、運動習慣がしっかりあったこと(週に180分のrun)、痛みの程度が大きくなかったことです。
急性あるいは亜急性腰痛に対する脊椎マニピュレーションは、他の治療法に比べて短期間で疼痛および活動障害の改善、ならびに患者の満足度という点でより高い効果が得られる(★★★)。http://amzn.to/Hk8veA
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2017年のアメリカの論文でも「背骨の矯正、アドバイス、家での運動療法」の組み合わせは高めの評価で腰痛治療の評価が出ています。(Noninvasive Treatments for Low Back Pain,2017 Sep)
(Noninvasive Treatments for Low Back Pain,2017 Sep) https://www.aafp.org/afp/2017/0901/p324.html
この中で、薬物療法にも評価が出ていますので、どの腰痛治療を選択するかはいろいろな方と話あって決めればよいと思います。カイロプラクティックは日本では保険適応にならないので薬物療法で効果が無かった方からのご相談も多いです。
リハビリテーションも含めますので、再発防止も含めて、腰痛と前向きに向き合っていきたい方はご連絡ください。
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