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伊藤孝英
院長
ロイヤルメルボルン工科大学健康科学部カイロプラクティック学科日本校卒業。B.C.Sc(カイロプラクティック学士), B.App.Sc.(応用理学士)。従来の筋骨格系障害としての腰背部痛から生物社会心理的要因としての腰背部痛へとシフトチェンジ。鬱や不安障害にも着目したマルチモデルでヒューマンケアしています。
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双極性障害で痛みを伴う方の症例

1か月後の復職に不安と痛みがある双極性障害の方のカイロプラクティックケアの症例です。

目次

鬱から?体の不具合? 痛みの原因と改善を求め来院

二つの顔、イメージ
双極性障害(イメージ)

来院時の痛みと状態:躁と鬱を繰り返し今は鬱状態

  • 認知行動療法は復職センターで受けたが懐疑的
  • 1ヶ月後に復職するが自信がない
  • 右肩が痛すぎて上がらない。股関節もシャワー椅子に座れないほど痛い。
  • 鬱と関連があるかもしれないと思い原因をはっきりさせたくて来院

検査:BS-POP陽性

BS-POP
身体の痛みが精神的なものから来ているのかを検査する簡易検査表
  • Bs-Popは陽性
  • 肩の可動域減少。三角筋の緊張。
  • 下肢筋力の低下(全体的)
  • 認知行動療法面では具体的な筋力運動をホームワークにしていただく
  • 職場での対人関係や、時間調整などを来院毎に行っていただく。
  • 便秘気味な時は基本的な食生活を見直し栄養バランスを考えてもらう。

具体的に行動してくださったのが良かった

BS-POPは陽性で、ご本人や奥さまのおっしゃるとおり心理的な要因もかなり大きく痛みに関与しているご様子でした。

初めての来院時に双極性障害の診断を受けたことがあること、もともと鬱状態からの痛みである可能性を感じていたことを問診上打ち明けてくださっていたので、問診もそのように進められ積極的に認知行動療法も併用して行っていきました。

関節可動域も痛みがともなうせいか、全体的に減少。

前屈ひとつとっても床まで指がとどかない状態。肩関節も挙上が150度ほどと狭い。

ここで大事だと思われるのは下半身の筋力低下です。古来より足腰は基本と言われます。足腰が弱っていては何事もおぼつきません。

3ヶ月の間に計12回の来院で順調に復職

さまざまな調整を行いながら約1週間に1回の来院で無事に復職されていきました。朝起きた時の腕の痛みだけは残ったものの、股関節の痛みや腰の痛みも殆どなくなりました。

もともと優秀な方なので真面目にホームワークにとりくんでくださり、仕事への不安感や健康不安をご自身で払拭されていくお姿は頼もしかったです。

ご感想

男性

初めての来院で身体の痛みと気持ちの落ち込みの両面が診てもらえて安心感があった。
復職センターでグループによる認知行動療法は行っていたが、その時とは随分違う印象です。ただ話を聞いてもらうだけでも楽ですね。

自分としては仕事復帰にむけてすごく不安が強かっただけに、とても心強かったです。

院長コメント:痛みが先か不安が先かはどうでもいい

痛みと抑うつや不安感は確実に併存します。特にアジア人ではその傾向が強いそうです。

心身の両面からのアプローチがより効果的であると私は考えています。

どれくらいのバランスで診ていくかはまさに人それぞれ。その時々で随分お身体のご様子も変化します。

お仕事が始まる前と、実際にお仕事が始まって肉体的な負荷がふえて筋肉が硬直しやすいですよね。

当たり前のことなのですが、精神か肉体かに分けて考えてしまうとついつい偏りがちな対応になってしまします。中道が一番です。

実際に相談者の背中は刻一刻と変化していきます。日によって見せる表情も変化します。適宜最適な対応をさせて頂いています。

ご本人は身体的な問題とおもっていても、精神的な負担が多い場合や、社会的な支援に乏しい時などは突っ込んだ質問をしています。認知行動療法は形式ばらずに、ざっくばらんにお話しが展開されていきます。

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