お布団を持ち上げた時、床に落ちたゴミを拾った時、玄関で靴を履こうとかがんだ時に「プチ」っと音がして「プチ」っとなった感触がして、それから腰痛になったという訴えはカイロプラクティックに来た患者さんの訴えとして多いです。
実際に筋肉の一部が微細な断裂をしているのか、たまたまクラック音が腰の関節で鳴るのかは特定しようのないことですが、カイロプラクティックの症例から「回復の青写真」を読み取りましょう。
目次
典型的ぎっくり腰シチュエーション
俗にいうぎっくり腰 は最近では非特異的腰痛(ひとくいてきようつう)という名前で呼ばれます。
非特異的とは「原因がよく判っていない」という言葉なので、現状「プチ」が何を意味しているのか断定することはできませんが、おそらく腰部多裂筋や、回旋筋、棘間筋などの腰深部筋の一線維が軽い肉離れを起こしたのではないかと想像します。
いわゆる非特異的腰痛になる原因、シチュエーション で一番多いのは、「いつもと違う動きをした、朝起きたら何となく腰が痛い、どんどん痛くなった」 というケースが世界的には多いようですが、本症例のように重いものを持った後から痛くなるケースは2番目に多いです。
腰を押さえる男性
この方の実際の状況をみると、
20代男性会社員の症例
休みの日に布団を持ち上げ時に「プチッ」と音がした
以前に軽いぎっくり腰があって慢性的な腰痛もあった…
味わったことの無いとてつもない痛み!!!
何回かぎっくり腰をしていて、その度に違う治療院にいっている
痛くて前屈は不可能
慢性的な腰痛があったという方は、腰の機能に何らかの問題 をもともと抱えていたの可能性が高いです。
カイロプラクティックでよくある間違いは「ボキッ」と骨盤や腰の矯正をすると魔法のように痛みが消えるわけではありません。特にこの方のように「味わったことの無いとてつもない痛み」など、人生最大の痛みの時は一発で腰痛が解消されると考えないほうが賢明です。
カイロプラクティックの腰痛への科学的根拠は以下のようなものがあります。
カイロプラクティック ぎっくり腰に信頼度高いエビデンス
ぎっくり腰はカイロ治療で急速に回復に向かう。ランダム化比較試験によりカイロ治療後は急速に回復にむかうことが証明された。18歳から40歳の54人を対象にした比較試験です。
結果:腰痛発症2週間以内の人でも、2-4週間痛みがある人でも脊椎マニピュレーション後に1週間以内で急速に回復。
Hadler NM, Curtis P, Gillings DB, Stinnett S. A benefit of spinal manipulation as adjunctive therapy for acute low-back pain: a stratified controlled trial. Spine (Phila Pa 1976). 1987 Sep;12(7):702-6. PMID: 2961085.
簡単にいうと腰痛はカイロ治療後に回復スピードが格段に上がります。
歩行が厳しいくらい「痛い」時にできること
ぎっくり腰の痛みが酷い時は、施術としてできることは限られますが、セルフケアでできることは幾つかあります。
先ず患部を温めること
ロキソニン、イブ、バファリンなどの消炎鎮痛薬を利用する
スウェーデン式リラクゼーションエクササイズなどの呼吸法を行う
漸進的筋弛緩法などの筋弛緩法を試みる
ただし注意して欲しいのは、上記の事を行ってもサクッと痛みが引くわけではない ということです。
基本的には約1か月かけて少しずつ回復してくるのがぎっくり腰ですから、どれをとっても貴方が考えているほど痛み(おもに動作時痛)は引いてこないです。
印象としては「動いている時の痛みを若干紛らわすことができる」程度です。
WHO基準カイロプラクターが伝える…
ぎっくり腰 薬情報 | WHO基準カイロプラクターが伝える健康情報
カイロプラクティックなので補助的なアドバイスとしてお伝えすることはあります。ご自身で薬局でゲットできるのは非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)です。NSAIDは抗炎症作…
6割~7割は再発するのが腰痛
実はこの方のように、ぎっくり腰は繰り返している人が多いです。誰か手抜きをしているわけでもないのですが、再発率が高いのがぎっくり腰というもの。
再発率自体はかなり高いすが、少しでも再発率を下げたり、再発した時にも痛みを最小限にとどめたい場合は積極的にリハビリテーションをしていく必要があります。 と言っても初期の段階では「できるだけ日常生活に近づける」「寝たきりにならない」程度の認識で良いと思います。
VIDEO
原因はなんであれ、ぎっくり腰時の一番のポイント
リハビリテーション全体の事に関しては、コクランレビューとデンマークデータべースからのレビューなので信用性はかなり高いです。
2003年ですからちょうどガイドラインが出て数年したくらいでしょうか。積極的なリハビリが行われている現在ではもう少し率は下がっているかもしれませんね。
36研究をレビューした結果、腰痛既往歴のない患者の22%、腰痛既往歴のある患者の56%が1年以内に再発し、全腰痛患者の再発率は60%
(Hestbaek L. et al, Eur Spine J, 2003)
1年以内の再発率を下げるのは最初のぎっくり腰の時の対応が大切のようです。
しかし中期スパンでみると6割の方は再発してしまいます。
この事実はリハビリ提供者側がよく理解できます。痛みが取れてくると必要な運動を時間経過とともに行わなくなる傾向が強いからです。
15研究をレビューした結果、痛みと活動障害は1ヶ月で改善して82%が職場復帰を果たすものの、1年以内に73%が再発
(Pengel LH. et al, BMJ, 2003)
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カイロプラクティック 症例の経過
施術の経過は、初回で半分に痛みが減る
初回の治療後は半分くらい腰の痛みが軽減しました。
説明がわかりやすく、具体的だったので信頼できました。
何回かぎっくり腰をしていて、その度に違う治療院にいっているが、ここは再発防止策までしてくれるので新しいタイプだとおもいました。
不安が多い時には、計画的なケアが必要
この方は2週間で合計3回のカイロケアを行いました。ぎっくり腰は時間とともに痛みが減ってくるのですが、具体的にどれくらいの期間が必要かは、さまざまな要素が絡んできます。
初めての来院時に伝えする呼吸法などをしっかり行ってくださればたいてい2.3日である程度おさまってきます。
この呼吸法が大切です。当院ではスウェーデン式リラクゼーションエクササイズ という方法をお伝えしています。(リンク先はYouTubeチャンネルへ移動)
「腰なのに呼吸??」と思いますが、エビデンスに基づく、とっても大切な要素です。
「スウェーデン式腰痛教室」(修正版)による集団教育は、職業的背景によっては有効な場合がある職業的背景を考慮しない腰痛教室の有効性はまだ実証されていない。
詳細は不明なのですけれども「スウェーデン式腰痛教室」というのは、理学療法士によるリハビリテーションを中心としたプログラムのようです。
当院では、その一部である呼吸法や、脊柱のリハビリを中心とした構成で対応しています。
初期対応でこれらの枠組みを理解しておくことが非常に重要になります
ぎっくり腰は初めての来院の対応が命ですから、迷わず受診されることをお勧めします。ガイドラインにも1回はガイドラインに則った対応をする何らかの医療機関を受診することが薦められています。そのことが将来の腰痛の慢性化、繰り返しの回数に影響してくるものと思われます。