長時間のお車のドライブは楽しい反面、身体の使い方が一定になり筋骨格系の機能が著しく制限をうける姿勢です。
このページではカイロプラクティックの症例を通じて、回復へ向けて注意したいポイントと方向性を提示していきます。
目次
医療機関で「状況次第では手術が必要」告げられた右脚痺れ
カイロプラクティックを最初にご利用になる方の多くは整形外科でレントゲンやMRIによる診断を受けています。
この40代男性もヘルニアの症状が改善しなければ手術が必要と迫られてのセカンドオピニオンを求めての受診になりました。
セカンドオピニオンを求めて
早期に回復した症例になります。まず状況を見ていきましょう。
いつから症状がありますか?
10カ月前からです。
長距離ドライブがきっかけで腰痛と脚に痺れがでるようになりました。MRIの後、腰部椎間板ヘルニアの診断が出て、症状が改善しなければ手術が必要だと言われています。
そうですか… 先ずは 知っておかなければならない、ヘルニアへの手術成績に関する研究をお伝えしますね。
椎間板ヘルニアに対する手術に関する論文81件を厳密に検討した
結果:椎間板ヘルニアの手術成績は短期的に見れば良好だが長期的に見れば保存療法とほとんど変わりがなく、回復には心理社会的因子の影響を強く受けていることが確認された。
椎間板ヘルニアの手術自体は長期的にはメリットがなく、回復に必要なのは心理的、社会的な因子の改善です。
認知行動療法を行っているのは心理社会的側面を大切に考えているからです。
なので病院でストレスチェックや仕事や家庭など社会的な質問はされましたか?
痛みと状態:手術はやはり怖い
できれば手術は避けたいですが、病因で牽引治療、投薬治療を2週間行ったけど全く変化が無く…
とにかく不安が強いです…
疼痛スケールで8/10の強さの痛み
まずは不安を取り除くのが医療の仕事。
病気というのは英語でdiseaseといいますが、dis+easyが語源といいます。安心感が欠如した状態だということです。病院で不安を取り除く試みがなされていない。
それでは簡単な検査をしていきましょう。先ずは神経学のベースラインという検査。ここに座ってください。
検査:神経圧迫?神経学的所見は限定的
右大腿部外側、皮膚の感覚鈍磨が確認できるものの運動系統は問題ないようです。
ブラガードサイン、ボネットサインはともに陽性で神経根症状の所見…ふむ
SLRテストは20度ですかあ… たしかにこの所見とMRIですとヘルニアの診断が出されますなあ。
ちなみに何か大きなストレスを抱えていますか
職場で人並のストレスはありますが、これくらいは誰でもあるのではないかなあ…
カイロプラクティックで椎間板ヘルニアは相対性禁忌になります。基本的には保存療法で対応するというエビデンスからカイロケアを行う決断をします。4週間以内は専門医への紹介は不要、そもそも専門医を経て代替医療に相談に来ている、発症後から積極的保存療法は受けていない理由です。
この決断を支持する国際疼痛学会の論文
2017年の論文
国際疼痛学会(IASP)はによると「下肢の痛みは、具体的には関連痛または神経根痛として説明する必要があります。しかしそれが疑わしい場合は、痛みは別で作られ、痛みは下肢の痛みとして説明されるべきです。」
脚の痛みを伴う腰痛の診断は依然として困難な場合があります。患者は神経根痛症候群を患っているように見えますが、神経学的障害はなく、筋筋膜性病変の兆候を示します。
Vulfsons S, Bar N, Eisenberg E. Back Pain with Leg Pain. Curr Pain Headache Rep. 2017 Jul;21(7):32. doi: 10.1007/s11916-017-0632-x. PMID: 28551736.
- 初回はオーソドックスなカイロ治療と下肢のストレッチで様子をみる
- 初回ケア後にはかなり症状の回復が見られたので継続治療を勧め、先ずは手術の必要はないのではないかというアドバイスを行った
計6回のカイロプラクティックを受けて手術は回避
ご感想
代替医療は初めてだけど初回施術後から痛みが随分減ったから期待できました。
手術しなくて済みそうなので本当に嬉しいです。ありがとうございます。
自分の身体がかなり硬くなってきているのが良くわかりました。
院長コメント:短期的に楽になって良かった
早期に回復傾向があったのが幸いしました。カイロプラクティックは脚の痛みを伴った腰痛にもエビデンスがあります。ただし短中期的に効果ががあって、1年以上のスパンでみると差がなくなります。
所見では神経根症状の可能性が高いが、結果的にカイロケアで短期で楽になったと考えるべきかもしれません。
2009年下肢痛へも短・中期的なエビデンス RCT
腰下肢痛患者192名を対象に2グループに分けて追跡調査
①脊椎マニピュレーション群+自宅 運動+健康助言グループ
②健康助言のみのグループ
をブラインド比較試験をした
結果:2週の時点で①脊椎マニピュレーション+自宅運動、健康助言グループが
どのような観点からも臨床的有意有益性を示した。重篤な事故はない。このテストでは54週目に両グループの臨床的差はない。
ですから、この症例でも脊椎マニピュレーション+自宅でのエクササイズ、健康助言を行っています。
カイロプラクティックの考え方では、痛みがあると身体をかばう動きをします。そうするとバランスが崩れて他の部位にも機能障害が生じると考えます。その結果QOLが下がることになり、生活の他の部分で影響がでると考えます。
ヘルニアに手術は第一選択ではない
痺れ症状も基本的には2.3か月はカイロプラクティックや針、運動療法、理学療法、薬物管理などいわゆる保存療法で管理するのが学問的、臨床的な結論。
Woods BI, Hilibrand AS. Cervical radiculopathy: epidemiology, etiology, diagnosis, and treatment. J Spinal Disord Tech. 2015 Jun;28(5):E251-9. doi: 10.1097/BSD.0000000000000284. PMID: 25985461.
比較的短期間で回復したのを強調しておかなければいけませんが、ヘルニアによる手術の選択は第一選択にすべきでないことは最新の情報からもあきらかで、欧州の腰痛診療ガイドラインにも明記してあります。
手術は2年後に検討すべき手段の一つ「痺れも含めたすべての慢性的な腰痛に対する外科的な手術は、適切な保存療法を行っても2年間行って変化が無かった場合に、幾つかある方法の選択肢の一つとして行うものです」
European Cost2004
腰痛のガイドラインにも薦められてはいません
ヘルニアの手術は腰部の最新のレーザー治療では1回週十万円と聞きます。本症例のように芳しい結果ばかりではないが、カイロプラクティックは圧倒的に費用対効果に優れている場合があります。
2回目以降 週に2回の施術を2週間行い、症状は回復した(計6回の通院)自宅で行う体操を行ってもらい、様子をみています。