肩こりは筋膜は勿論、関節組織からも出る感覚
巷で言われている「筋膜」は「筋筋膜」のことですが、実際の筋膜は筋筋膜にとどまらずさまざまな組織と連結していて、関節組織とも繋がりがあります。
ですから肩回りの構造全てからコリ感というのは出るわけで、それぞれの組織を柔らかくして今よりも動く状況つまり血流を回復させていく必要があります。
肩凝りが出てから3-6ヶ月以内にはケアをしよう
肩凝りの感覚は突然やってくるものです。それは肉体的な要素もありますが、社会的な要素、心理的要素も加味されて出てくる感覚です。
ある程度たまってから感覚として出てきます。肩こりの出始めはそこまで深刻ではないと思いますが、早めに対応するのが一番よいです。
なぜ早めがいいかというと、慢性的に肩こりを感じる状態になると脳が記憶し、組織が変わっていってしまうからです。
常に肩に力が入る生活になりますから、筋肉が分厚くなります。よく中年以降の女性で肩の後ろが盛り上がっているような方を見かけますが、上部僧帽筋が分厚くなってしまっているのです。
姿勢、動かさないなど物理的要因、外傷の後などで炎症するのですが、慢性的な炎症の結果は筋膜など結合組織に変化をもたらします。
線維芽細胞増殖を伴う慢性炎症の結果は、筋や関節包の線維がカプセル状になったり、靭帯の萎縮、と筋肉のバランス消失がおこります。
Katthagen JC, Jensen G, Voigt C, Lill H. Schultersteife [Shoulder stiffness]. Unfallchirurg. 2012 Jun;115(6):527-38; quiz 539-40. German. doi: 10.1007/s00113-012-2234-8. PMID: 22674486.
何しろ肩こりはパッシブケアとアクティブケアで肩の運動を促すことが何よりの治療法です。肩こりの段階と凝りがどれくらいあったかによって期間などがことなります。
医学的には物理的および理学療法続い経口ステロイドなどで、最近は生理的食塩水を注射して肥厚した筋膜を剥がす方法が流行っているようですが、Easy come easy goのような感があります。
西洋医学ではステロイド
肩こりは他の病気との同時発生のために、ホルモンの影響を伴う全身性の起源が議論されている。線維芽細胞の増殖を伴う慢性炎症の結果は、線維性被膜、靭帯の萎縮、および筋肉の不均衡がおきます。
主な症状は、痛みを伴う制限された受動的および能動的な肩の動きの制限です。治療法は、肩こりの段階と期間によって異なります。選択される一次治療は経口ステロイド療法であり、その後に理学療法と理学療法が続きます。
ステロイドを関節内に塗布することもできます。6か月後に保存的治療が失敗した場合は関節鏡による関節溶解が適応となります。
Katthagen JC, Jensen G, Voigt C, Lill H. Schultersteife [Shoulder stiffness]. Unfallchirurg. 2012 Jun;115(6):527-38; quiz 539-40. German. doi: 10.1007/s00113-012-2234-8. PMID: 22674486.
上記の研究はショルダスティフネスでも重症なもを対象にしたのだと思われます。日本ではステロイド治療は余程でない限り利用は無いと思います。
肩・首まわりの関節のアジャスト+深層筋の筋膜リリース
最近メディアでも取り上げられている「筋膜リリース」。筋肉を覆っている膜組織の柔軟性を回復させるものです。皮膚と脂肪層や脂肪層と筋膜(浅筋膜)の癒着をとっていくことで、凝りや痛み、痺れを取っていきます。
図のように各組織の間にファシア(筋筋膜、結合組織)があるのですが、それらが硬くなってたり、癒着して遊びが少なくなってくるとさまざまな症状がでてくることが近年の研究で明らかになってきています。
ご自身で筋膜をリリースする道具も市場に沢山あります。そのようなアクティブケアで納得いくとろこまでリリースできれば、それが一番コストパフォーマンスが良いのではないかと思います。
この筋膜リースは皮膚をこすります。その方の健康状態、筋肉の状態にもよりますが、青いアザのようになることもあります。そしてその状態からの回復も年齢、状態によって違います。60歳代以降ですと半年以上青アザが残ることもありますので施術者と相談をして擦る強さを決めてください。
ご自身でスタートを切るのが難しい場合や、取り切れない部分があればお近くの施術者にご相談ください。
マイオバイブを使用して筋膜にアプローチ
いままでどんな治療法を受けても満足できなかったコリ、指が入らいないと言われた肩、首の付け根でも深部まで到達することができます。振動療法は創造を絶する効果です。期待していいですよ。
肩こりでマッサージを受けても直ぐにもとに戻るのは、筋肉だけが原因ではないことが多いからです。人間の感覚はさまざまな器官から発生します。
意識状態を診ていく事も
コリ感や痛みは『意識』が感じます。好きなことをやっているとコリを感じないように、ある程度生活習慣を見直す必要もあります。意識は記憶、言語、知覚と密接に関係していることが近年の研究で解かってきています。
認知行動療法も有効
現在ある視点を変化させていくような試みも認知行動療法によって行う場合もあります。肩こりの無かった頃の感覚を取り戻していきましょう。
肩こりは日本にしかない??
世界のどの言語にも、肩こりの直訳は無いといいます。英語で近いニュアンスのものはshoulder-stiffness というものがありますが、これは肩が強張っている、突っ張っていると日本語には直訳します。
ですから「肩こり」は「肩が強張っている」とは違う感覚なのかもしれません。そもそも外国映画やドラマで肩たたきや、肩を揉むシーンなど観たことがありません。
アジア圏にも 『katakori』 の直訳はない
よくモンゴリアンと、アングロサクソンは筋骨格系の形が違うから日本人は肩こりになる などとまことしやかに言われていますが、中国にも近隣の国にも『肩こり』はないのです(※韓国にはあるそうです)
中国語を勉強された方が、辞書で調べたら『肩酸-jian-suan』と辞書に載っていた。中国旅行に行ったとき、現地でこのような表現をして、塗り薬を購入したことがあるとわざわざ教えて下さった方がおりました。
たしかに中国語の『酸』には『スッパイ』という意味のほかに、『重だるい』や『だるい感じ』という感覚表現の意味があります。 日本語にも 『肩が重だるい』や『肩がだるい感じがする』という表現がありますから、『肩こり』とは違う表現であるとおもいます。
また以前職場の同僚であった中国人達も皆、口をそろえて「中国には肩こりはないです」と言っておりましたから、無いのでしょうホントですか?と良く聞かれますが、本当です。(私が騙されているだけかもしれません)