著名人にTVでゴールデンタイムに語らせたオーストラリア政府
医療費の削減。これは先進国にとってどこも悩みの種です。不思議の国日本は2012年末に日本腰痛学会と整形外科学会が診療指針を変更したそうですが、これが臨床現場に活かされる日は当分先だそうです。
オーストラリアでは政府がメディアを使って1997年に大々的に腰痛対策を行っています。芸能人やスポーツ選手にゴールデンタイムのCMで腰痛の新概念について語ってもらうというものであったらしいです。
結果は腰痛部門だけでも医療費を大幅に削減できたそうです。たしかビクトリア州だけで500万豪ドル削減だと記憶しています。日本では2019年現在、未だにレントゲンの画像にビビっている患者さんが可哀そうになる時もあります。
善悪両方でありますが、映像、画像の力は大きいようです。
■「腰痛に屈するな」キャンペーンでは『The Back Book』から抜粋した、
The+Back+Book.pdf
①酷い腰痛でも長期間の安静はとらない
②腰痛でも普段どおりの活動的な生活を継続し
③腰痛で仕事を休まないようにという明確なアドバイスが強調された。
キャンペーンの主要なメッセージ
- ゴールデンアワーのテレビコマーシャル(腰痛には日常生活が一番など日本でいうと公共広告機構のようなCM)
- 新聞や雑誌の広告(腰痛は安心してください、2.3日が痛みのピークです等)
- 屋外看板広告
- ポスター
- 腰痛セミナー
- 職場訪問で伝えられ、さらに『The Back Book』を16言語に翻訳して広く配布し、ビクトリア州内のすべての医師にエビデンスに基づく腰痛診療ガイドラインを提供する
という徹底したものでした。これらのキャンペーンは一流スポーツ選手やセレブなど著名人を起用して腰痛は怖くなく自然寛解するものと訴え続けたようです。
何事も中道をいく日本の姿勢も絶対悪ではありませんが、医療関係者の為の中道は患者さんにとっては少し迷惑かもしれませんし、ひいては医療費の爆増にも繋がっていると思われます。
面白い、メディア報道が症状を引き起こす可能性
面白い。メディアの情報が病気を増やしているであろう、という研究です。(プラシーボ効果とは逆のノセボ効果といいます))
スポンサーからの収入の割合が大きいメディアでは、宣伝の為にありもしない病気への効果をお伝えすることも良くあります。
その情報が症状を作り出している可能性があるという統計調査です。
昨年くらいから良くいわれる携帯電話やWi-Fiデヴァイスからの電磁波の健康リスクについての『情報研究』です。
情報自体が症状を引き起こす不思議
【方法】147人に電磁波が身体に悪いというBBCのドキュメンタリーテレビを観てもらったグループと(身体に悪いと言う根拠は今のところ無い)インターネットや携帯電話のセキュリティーについてのテレビを観たグループにわけました。そしてニセのWi-fi電波環境下に置いてそのことを伝えました。
The nocebo effect: Media reports may trigger symptoms of a disease
【結果】被験者の54%が、自分の指、腕、脚、足中の濃度やうずきの損失を動揺や不安を経験し報告したらしいです。そのなかでも高い不安を持っていた人達の中で最も症状が厳しかったことが明らかになったとしている。
6-May-2013
メディアへの正確なデータ提供を確認する必要
最近ではネットの発達で、すこし情報が間違っていたり不十分だと市民が機関を叩きます。
この論文のように不必要なお薬や、情報が人間をコントロールしてしまうことが多々ありますから、いかに正確な情報が大切であるかが解かります。2020年からはワクチン接種に関する情報が混乱を極めています。
プラシーボ効果は有名な言葉ですがノーシーボ効果(ノセボ効果)は聞いたことがある人は少ないかもしれません。グーグル先生に聞いてみると『全く効果のない薬でも思い込みによって副作用が出てしまう効果のこと』とあります。
なんでもかんでも副作用の危険のことばかり考えているとそうなってしまうのでしょう。良くも悪くも人間は情報で動く、情報の通りに動くとも言えます。
上記の実験でノーシーボ効果が現れた方はある意味素直な方なんでしょうね。いろんな部分で正確な情報の重要性が指摘されています。ある意味暗示にかかりやすい方に症状がでるのではないかと考えられています。
健康情報を得る時の基本を学ぶには、医療ジャーナリストの朽木誠一郎氏の本がおススメです。