睡眠薬や抗不安薬は死亡率があがる
抗不安薬や睡眠薬を処方された、約3万5000人を対象とした7.6年の追跡調査
解析対象群は6万9418人にのぼる薬を処方されていない方々です。もともと他の疾患がある方もおられて、さまざまな交絡因子が調整されているが7.6年間で追跡期間中の累積死亡率は
100人当たり薬使用群26.46人、使ってない群16.82人登録から1年以内の死亡を除いても、7.6年間にわたって100人を追跡すると睡眠薬使用群では約4人が過剰に死亡すると推定。
薬剤の影響で1年以内に死亡することもあるので、複数年単位で追っていくとおそらくもっと多いのでしょう。さまざまな理由で死亡率があがるのでしょうが患者さんにとっては目の前の眠れないことは大きな問題であることも確かです。どの位置でバランスを取っていくかは本人次第となりますが医療者側のスタンスも難しいところでしょう。
この数字が多いか少ないかは判断する人にもよりますが、私は多いと思います。そもそも国際睡眠学会の提案する不眠症の第一選択は認知行動療法です。
認知行動療法は手間がかかりますが、一生の財産を発見できる優れた心理療法の一種です。
睡眠薬の処方のされ方の特徴
薬剤を処方された群は抗不安薬または睡眠薬もしくはこれら両方が初回処方され、この期間内に複数回、同じ薬剤の処方を受けていたそうです。
具体的にはひとそれぞれ処方された回数は違うでしょうが、ずっと飲み続けていた方々ばかりではなさそうですね。
カイロプラクターの立場としては、不安感や不眠傾向も、まずは背骨のケアと認知行動療法で対応することをおススメします。
更年期の睡眠障害は改善しないもの
更年期はつらい症状ですが、こちらも睡眠薬は注意が必要です。
睡眠障害のために処方された睡眠薬を1年以上にわたって慢性的に服用している中年女性では、睡眠問題はほとんど改善していない
閉経は不眠症を引き起こすことがる。多くの女性は、更年期に入る数年前から閉経に至るまでの数年間に睡眠障害を経験する。
中年女性238人(睡眠薬使用群)と、睡眠障害に悩まされているが睡眠薬を使用していない女性447人(対照群)を比較研究。1年後のスコアが有意に変化した睡眠障害は両群ともになく、また睡眠薬使用群で対照群と比べて有意に改善した睡眠障害もなかった。2年後の睡眠障害の改善度についても同様の結果。
年に1回の睡眠障害に関する自己評価に基づいているので不正確であるものの「睡眠薬を使うつもりなら、1週間程度の短期間、または状況に応じて2、3回の使用にとどめるべきだ。長期間使っても、睡眠障害が改善することはないのだから」と助言。
Solomon DH, et al. BMJ Open. 2021 May 11. [Epub ahead of print]
みなさまおひとりおひとりが、安易に抗不安薬や睡眠薬を手にしない心構えが必要でしょうね。
スポーツクラブに毎日通っている女性は更年期障害が殆どないと聞きます。更年期障害が始まってからでは遅いのかもしれませんが個人的には更年期には運動介入が一番良いだろうと私は思います。