50肩で夜寝返りをうつと痛みで目が覚めてしまうくらい痛い50代女性(ヒアルロン酸注射5回)の症例です。
今回は同時期に50肩で来院された50代男性(ヒアルロン酸注射なし)マイオセラピーと運動療法、認知行動療法のマルチモデルとの比較を掲載します。
目次
ヒアルロン酸注射併用 ある程度の日常生活8カ月(カイロケアから2カ月)
先ず50代女性の状況と回復過程からご紹介します。
当院は50肩は得意としている分野なので、早期の回復を望むのであればマイオセラピーでの積極的な介入を提案。
お勧めはしていたんですけれどもインフォームドコンセントで「どうしても痛い施術が許容できない」ということで手技による標準的なカイロプラクティックを選択。
当初は肩を直接施術すると「痛い」ということで、肩甲骨周りや背骨にかかっている負担を減らす施術から始めました。(寝返りをうてない程の痛みです)
もともとお体のメンテナンス(特に肩こりと腰回り)ということで2ヶ月に1回来院されていました。その中でどうも少しずつ肩が痛くなってきてるので、服の着脱時や物を持ち上げる時などに右肩に痛みが出るということで相談をされていました。
2カ月毎の来院ですと、慢性的にある首、肩の凝り、腰痛など背骨周りのケアに時間を割かざるを得ないので(そちらの訴えが大きいしアクティブが必要だが身体をほぐしてゆっくりしたい気持ちが大きい)、毎回「肩を本格的に施術するならば、もう少し来院スパンを狭めた方が良い」ことをお伝えしていましたが聞き入れられず半年ほど経過して肩の状態が悪化。
文字にすると周りくどい表現になりますが美辞麗句を並べ立てても大事なことが伝わらないので細かく書いています。
最初の訴えから5カ月後には、「寝返りを打つと痛いために夜眠れなくなってきてしまった」というので整形外科を受診したそうです。(その間カイロケアは2度)
結局整形外科でアジャストメント!
整形外科の先生がすごいなと思うんですけど、ヒアルロン酸注射を肩関節に打ち込み、患者さんがちょっと油断をしている時に「肩をポキッとアジャストした」と言います。それが痛いのなんのって、「気持ちが悪くなった」というくうらい痛いらしいです。「痛いけどこれをやると数か月は早く良くなる」とのこと。
逆に私にはできません。
その数日後にカイロプラクティックに来られて、赤くなった肩の状態にびっくりしました。かるく炎症をしていました。触診で確認すると肩関節、筋肉群が炎症しつつも標的の肩関節周囲筋は弛緩傾向でした。
「肩アジャストメントは怖かったでしょうが、良い状態です、整形外科と並行してカイロプラクティック治療をしていきましょう」とお伝えしました。
整形外科へは「週に3回ぐらいリハビリに来て下さい」とのこと。
ただ保険の関係上あまり長い時間手技による施術も受けられないということで、ほんの1.2分さする程度の理学療法を行うそうです。
患者さん本人としては納得のいく理学療法は受けておらず、どうしても足が遠のいてしまっているという状況で二回目のヒアルロン酸注射後、再びカイロプラクティックに来院。
この時点で夜寝返りで起きるのは”一晩に1回くらい”までに痛みは治まってきている。
3週後にカイロプラクティックに来院した時までに計5回のヒアルロン酸注射を注入しており、整形外科のリハビリテーションには行っていない。
この時までに結帯動作以外では洗濯物干し時に時よりズキッとするくらいまで回復。
自宅では当院で聞いた肩のリハビリテーション運動に加え、ご自身で工夫してとにかく頻繁に肩を動かすようにしているとのこと。
カイロプラクティック的評価では、痛みは減っているが肩甲上腕関節の動きの回復がなく、肩甲骨と胸郭の動きで腕を上げる動きの代償運動が目立つ。
私が訴えを初めて聞いてから8カ月以上が経過している。
私の場合は整形外科とカイロプラクティックを併用して、整形外科でできないことをカイロプラクティックで施術してもらうという選択肢にしました。
カイロプラクティックの治療頻度がガイドラインに示されている回数より少ないので、治療頻度をあげればもう少し早く回復します
マイオセラピーで、ほぼ痛みない生活まで7カ月(来院から2カ月)
50代男性の方は、痛みが激化して1か月の時点でカイロプラクティックに来院再来されました。
正確には過去に反対の肩で50肩になっており、2年ぶりに来院。マイオセラピーでの施術を最初から希望。
今回痛みが悪化したのが4月で、「去年から」徐々に痛くなってきたようで、痛みを意識して4か月かそれ以上経過して「寝返りをうつと激痛」になったそうです。
2週間毎に来院し、4回の来院で徐々に回復。その後3週後に来院した時に少し悪化したが、順次体操の確認、体操の頻度の確認をしていき5回の来院でほぼ日常生活に支障なく動けている。
その間、簡単な認知行動療法をメールで行い、どのような条件で悪化するかを常に確認している。
例えば上記の3週間来院スパンが空いた時の悪化は「仕事で週に1回もジムトレーニングに行けなかった」という理由であった。
このように結果だけを文章かすると「あたりまえのこと」と思うでしょうが、当人にとっては盲点になっているのです。
ストレスが重なっているのが特徴的
この方はお勤め先の部署内で4月にストレスフルな出来事があり、痛みが激化した原因の一つはその出来事である可能性があります。
それでも2年ぶりの再来時に確認できておらず、数回の施術の中で判明したことです。
このように人によって出来る施術、回復への道のりは随分違います。
自分の場合は以前の経験からマイオセラピーを受けるために連絡しました。他の治療を受けたことがある方なら、断然回復が早いのが実感できると思います。
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40.50肩治療の科学的根拠を列挙してあります。
選択肢はいろいろある
今回症例を比べてみて期間としては同じくらいで回復していますが、施術方法の選択において本人の希望がかなっている点も大切なことだと思います。
整形外科でも固まった肩のアジャストメントが行われていたことも回復期間が同じであることと大いに関係しています。おそらくヒアルロン酸注射だけでは、もっと時間が必要であったでしょう。