「いろいろな治療を受けても頭痛が一向に良くならない」「歯科に通っているのに『歯には異常がない』と言われてしまう……」
原因の分からない片頭痛や歯の痛みに何年も悩まされ、大学病院やペインクリニックを回って不安な気持ちを抱えていませんか?
当院に訪れた50代女性のケースを通して、画像や数値に現れにくい「膜組織(ファシア)の緊張」や「咀嚼筋のトリガーポイント、中枢性感作」に着目したカイロプラクティックのアプローチが、どのように改善の糸口となったのかを解説します。
事務職 50代女性 片頭痛と歯の痛みの対処法を求めて…
「虫歯や歯肉炎、歯槽膿漏はない」ことが明確なケース
右 頭頂部の頭痛が8年くらい前から始まっている。 今年に入り左上の歯茎の痛みがあり歯科に通っているが特に異常が見つからない。
つまり歯茎の炎症などはない、歯槽膿漏、虫歯もない。
原因がわからないということで、現在大学病院、歯科、ペインクリニックに通って検査をしている。
左側の頭頂部も鈍痛が起こり始めている。 (色付けは後のイメージ図と合わせてあります)
頭痛の状況
女性ふだんから頭頂部の痛みを感じていて、自分で頭をおさえたり、こすっているのですが変化がなく…



どれくらい続いてますか?
- 症状の期間:5〜6年ほど長く続いている
- 発生頻度と治まり方:ひどい頭痛は月に1回程度。以前は2日ほどで治まっていたが、最近は2日半〜3日とかかる傾向にある
- 精神面・生活への影響:右側の頭痛が起きる恐怖感から気分が鬱っぽくなり、QOL(生活の質)が低下して仕事が手につかなくなる



いつも首が痛くなってから頭痛が出る夕方から頭痛が出ることが多く、目が辛くなって 次の日には頭頂部の頭痛が顕著になって仕事に差し支えがでます。ここ2ヶ月は左奥歯上の歯が痛くなる。
歯茎の症状の出る前に左の肩こりもあって、いつも肩を揉んでいます
頭蓋仙骨療法を数回、マウスピース治療は受けている
側頭骨が膨張しているという説明を受けているようですが、とても迷惑な説明だと思います。骨が膨張することはありません。



カイロプラクティック自体は10年以上前に腰痛で受けたことがありす。 先月歯科医でマウスピースを作ってもらって1ヶ月間夜寝る時に装着しているが、特に効果は感じられない。 何とかしてほしい。
初診時の備考
備考としては、 睡眠時間が6時間ぐらいで浅い眠りになっている。これは以前は気にならなかった周囲の音とかが気になって目が覚めてしまったり、眠れなくなってしまうような状態 が数か月つづいている。
簡単なストレッチやヨガを1日に5分ぐらい動画を参考にして行なっている。
カイロプラクティックの「見立て」
お話をお伺いしているご本人が訴えている偏頭痛というものではないように思いました。つまり拍動性の頭痛ではありません。



触って確認すると「頭皮全体がつっぱったような張り感」がありましたので、膜組織のあそびの低下が原因で膜組織に存在する自由神経終末が発動して痛みをだしているのではないかと考えました。
このあたりは最近の筋膜の研究でわかってきていることです。最近ではファシアと言うメディアも多いです。レントゲンにも映りませんし、数値で判るような炎症反応もでません。また重くなるような頭痛ということなので、首からの筋肉性の頭痛も関連しているように考えました。
痛みに敏感になっているので多要因で誘発される
触って検査をしたところ、頭頂部を触ると歯茎に向けて関連痛が出る。
これは歯科でも歯茎を押さえた時にも痛みが出ていることから何らかの関連性が考えられるが、中枢性の感作がおきていると判断し、どこを押しても痛いという状態だったと考えられます。
側頭部を押しても若干弱めではあるが関連痛が出ている。後頭下筋群においても頭全体の痛みが誘発されるような状態です。
いずれにせよ初回のときは痛みに敏感になっているのでさまざまな部分で痛みを誘発しました。 頭痛によくある頚椎からの関節性の頭痛なのか疑いましたが、検査からは確認できませんでした。
簡単に触診や動的触診のスクリーニングを行った際にもかなり痛みを強く訴えられるので(通常なら心地よい検査)かなり痛みに敏感になっている状態であることが予測されました。


- 初回施術内容:骨盤、左第1肋骨、胸椎右3番のアジャストメント、丁寧な筋肉操作、および頸椎右6番・左3番の操作を実施
- 患者さんの感想:施術後は「かなり体が軽くなって血液が回り始めた」という感覚を実感
- 主な所見(皮膚のつっぱり感):皮膚と脂肪・頭頂部の軟部組織に癒着が考えられ、軽くこするだけでも強い痛みを訴えられた
- セルフケア指導(宿題):4方向のストレッチを1日最低3回行うよう指導(大学病院ではプリント配布のみで具体的なやり方が伝わっていなかった現状を踏まえる)
2回目の施術で判ったこと
12日後のご予約で、肩こり、頭頂部の痛み、歯茎の痛み全体的な症状が和らぎ安心したご様子でした。首を回すと肩まで痛かった状態がなくなっており、頭頂部の痛みもいくぶんラクになったとおっしゃいました。
改善した状態であらためて触診をしていくと、頭頂部の1点に痛みの中心があるのと、歯茎の痛みは咬筋のトリガーポイントが関係していることが有力になりました。


カイロプラクティックの大学教育では、初回に仮設診断をたててそれに沿って計画的にカイロプラクティックケアを行うのが通例となっているものの、わたしが10年以上臨床をおこないみえてきたことは、さわっている筋より深いところをに次の問題や、新たな問題が潜んでいたり、見ていたものが、2次的なもの、3次的なもので起きている可能性が高いということです。
身体の状態は刻一刻と変化するものだと考えますので、あらたな原因と思われる部位や状態が施術を重ねるうえで見えてくることはよくあると私は思います。
自己判断による管理のむつかしさ
この方は費用の面から週に1度の来院が難しいということで、2.3週に一度の来院スパンをとったため、後半や月経時に症状がいったんぶり返すという状態でした。
歯の痛みはなく、頭痛を感じたということでしたが、全体的な「痛み体験」は低下しており、生活に支障が出るほどの痛みは感じていないとのことで確認がとれています。
実質所得が下がり続ける社会的状況もあって週に1度の来院も困難な方が増えています。自己管理ができるようにストレッチやセルフケアの方法を丁寧にご指導して差し上げるのですが、何事も限界があります。
大学病院で判らないことが、なぜカイロプラクティックで判るのか?
しっかり触るからわかる
ポイントとしては大学病院でも原因不明であって病院側の説明では「原因不明の痛みがあることが多い」ことです。


なぜ分からないのか?
- 痛みというのは複雑で、特に慢性痛は「脳」が感じていたら、それで痛いのです。
- ファシア(支持組織≒膜組織≒筋膜)は身体のどこにでも存在しますし、触って確認していかないとわからない。
エコーを使えばある程度の筋硬結は分かるようですが、エコーを使って丹念に調べあげてくれる病院はまだまだ少ないのだと思います。
カイロプラクティックのような代替医療の世界で言われるのは「最近のお医者さんは触診をしなくなった」です。エコーがなければ触って触って触りまくって探し出す。


このような患者さんの状態は代替医療の側からすると、単純にそこの機能が低下していたり、膜組織が硬くなってるのが原因だと考えます。
患者さんのその後
最後まで残っていた歯の痛みは、実際にもっとも痛みが出る「歯ブラシ」を持参してもらい、痛みを再現してもらいました。おそらく歯茎の部分の知覚が一部過敏な状態であるので、カイロプラクティックではこれ以上の改善はしないことをお伝えしました。
緊張感がもともと強いことから、ヨガ教室への参加をおススメしていました。行動的な方でおススメしていたヨガ教室(楽しいヨーガ西大井)に自ら足を運んでもらい、いろいろな気づきを得ているようです。
病院では原因不明な頭痛も、このようにホリスティックな見方をしていくことで解決に向かうケースもあります。
ホリスティック医学自体を否定する意見もあるとおもいますが、なぜホリスティック医学という観点が生まれたのか、無くならないのかということを考えると、ケースによっては適切であると私は考えています。
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