じっとしてると足の指が痺れ痛む女性

「歩いている時は何ともないのに、じっと座ったり横になったりすると、足の指が疼いて痛む……」
「病院で検査しても原因がよく分からず、たくさんの薬を服用しているのにすっきりしない」

安静時に起こる足の不調やむずむずするような痛みは、周囲になかなか理解されにくく、大きな不安を抱えてしまう方が少なくありません。

今回は、向精神薬などの多剤服薬(ポリファーマシー)や線維性筋痛症という背景を持ちながらも、脊柱の硬さや足部の機能にアプローチすることで改善に向かった50代女性の事例を通じて、慢性的な不調と身体全体のつながりについて解説します。

目次

じっとしている時だけ足の指が痛む50代女性の症例

女性の足
足指だけの症状

歩行時や起床時に足が痛い方は多いですが、じっとしている時だけ痛いのは珍しいです。むずむず脚症候群のような状態です。

施術を重ねるとお互いにお話ししやすくなるのですが、線維性筋痛症などさまざまな事が要因であるのが解ってきました。

来院時の痛みと状態:多剤服薬

歩行時や起床時に足が痛む方は多いですが、「じっとしている時だけ足の指が痛む」というのは臨床上も比較的珍しいケースです。むずむず症候群のような不快感を伴っており、問診の中でさまざまな背景が解ってきました。

来院時の主な訴えと状態:

  • 寝ていたり、座っていたりすると両足の1〜5指が疼き痛む
  • 歩いていると逆に楽になる、冬場は特に症状が顕著
  • 向精神薬や睡眠導入剤など、12種類の多剤服薬(ポリファーマシー)がある
  • 以前は歩き回れたが、現在は易疲労性が強い
  • 線維性筋痛症の診断が出されている

5種類以上の薬剤を服用している状態は「ポリファーマシー」と呼ばれ、薬同士の相互作用による影響や新たな症状の誘発が懸念されます。多角的な視点を持って身体全体の機能を評価していくことが重要になります。

検査で見えてきた脊柱の硬さと足指の状態

検査を進めると、脊柱は全体的に弾力性に欠け、特に腰椎の動きが乏しい状態でした。また、主訴である足の指は動きが鈍く、組織の張りが乏しい(ふやふやしている)所見が確認されました。

  • 脊柱は全体的に弾力性に欠け、腰椎は動きに欠ける
  • 計4回の治療の中でストレス要因を特定
  • 足の指は動きが鈍く、張りがすくない。

足の関節、足指の柔軟性は普段意識しない方が多いですが関節受容器も多く複雑な動きをしています。動きが鈍い場合は動きが鈍いという情報が常に脳に上がっています。

足部を中心としたアプローチと自宅でのケア

足部を中心にモビリゼーション(関節モビリゼーション)と緩和操作を行いつつ、自宅での足指運動を指導。4回の施術を重ねる中で、主訴であった左足の痛みは残るものの、ペインスケール(痛みの評価)では半減するという変化が見られました。

足指の運動はヨガを行っている方では日常生活の中にありますが、意識したことない方にとっては新鮮かもしれません。

ご感想

女性

「医学では原因不明と言われていましたが、施術を通じて自分の身体の癖や緊張の抜け方が少しずつ分かり、安心しました」

院長コメント:慢性的な不調と身体全体のつながり

この方のように種々のお薬を長年服用されている方も少なくありません。痛みは過去の経験や脳が覚えているという要もあるので、なかなか全快というところまではお時間がかかります。

簡単なフィジカルケアと会話の中で、少しお気持ちの整理ができたのではないかと思います。

そのまんま

私にも経験があるのですが、なかなか人に話しづらいことを話してみると気持ちが晴れるものです。

大変な想いをされている、過去にされた方の背中を少しでも押してあげられればいいのかなと思っています。

慢性的な痛み: 体と脳が出会う場所
慢性的な筋骨格痛は、臨床医が直面する最も手に負えない臨床問題の 1 つであり、患者にとって壊滅的な影響を与える可能性がある。

脳による痛みの増幅は未だ完全に説明できない知覚痛であり、痛みの伝達または下行性疼痛調節経路の生理学的変化によるものです。

誰にでも脳による増幅は、痛みそのもの、または神経障害による痛みを複雑にする可能性がある。さらに、身体表現性障害(心の痛みが身体の痛みとして表れる)患者は、痛みへの心理的問題または行動的問題があり、それが臨床症状に大きく関わっている可能性があります。

脳による痛みの増幅に関連する遺伝的、生理学的、心理的要因が理解され始めています。

慢性痛の 1 つの重要な要因は、知覚ストレスとストレス応答システムです。
私たちや他の研究者は、生理学的ストレス反応と慢性痛の症状との間に複雑な関係があることを示してきました。

残念なことに、慢性痛の治療は今のところとても不十分で、しばしば臨床結果を悪化させます。慢性疼痛患者のための新しい治療戦略を開発することは、非常に緊急の課題です。
この論文は慢性的な痛みについて考え、新しい治療法を開発するための枠組みを提供します。

Crofford LJ. Chronic Pain: Where the Body Meets the Brain. Trans Am Clin Climatol Assoc. 2015;126:167-83. PMID: 26330672; PMCID: PMC4530716.

慢性痛は複雑で、体験や心理学、遺伝的なことも関わっていて、各個人もしかすると原因が違う可能性も秘めています。

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