2017年の論文になります。10-19歳という範囲で腰部椎間板ヘルニアの診断と経過についてレビューされた。
青年期に絞った椎間板ヘルニアの研究は少ないと思いますので、多いに参考になります。
腰部椎間板ヘルニア青年 70例の追跡調査
腰部椎間板ヘルニアの診断を受けた青年70症例のうち殆どは保存療法で経過観察された。
うち手術に至ったのは6人の患者。進行性の神経学的欠損と持続的な腰痛を患っており、外科的処置で治療されました。
17か月フォローされ、痛みや日常困難動作が追跡調査されている。

強調したいのは9割以上の青年は保存療法を受けていて1年以上続けられています。保存療法は手術でない方法です。


(ちなみにこの論文では休息と投薬にもかかわらず、6週間以上続いた無力な持続性腰痛または神経根痛の患者に対する外科的治療を提案している。)
神経根痛とは足への痛みがある場合に使う表現です。
手術の提案も論文やガイドラインによって時期はマチマチで世界共通の時期はありません。ヨーロッパガイドラインでは2年続く場合に選択する方法の一つとあります。
この2年や6週間が早いか遅いかは、その方の状況にもよりますしお医者さんの考え方の違いにもよってきます。いずれにせよ社会全体での認識がどのあたりにあるかにもよります。
日本の場合はどちらかというと短期的に手術に踏み切る傾向が強い国だとおもいます。理由は初診時に患者さんに向けて「長くて2年くらいはこのままかもしれません」と伝える医療機関が少ないからです。
痛みの減り具合と必要期間
肝心の痛みの減り具合ですが、この論文の中で言われているのは
症状の平均期間は7.21±1.69ヶ月でした。(基本的に半年前後は症状あるものと考えてね)
治療前のVAS(痛みのスケジュール?/10で表す)は
6.05±0.83でしたが
治療後6か月では3.1±0.6でした。
間違えないでほしいのは、半年保存療法をしても痛みが0になるわけではないということです。
もちろんやり方にもよりますが、一般的に言って痛みが半分くらいになる→これでも治療成功していますから、安心してください。
そして1年後はVASは2.17±0.76でした。
1年経過しても痛みが少し残っているのが普通
1年たてば1/3くらいの痛みに一般的になっています。1/3の残っていても普通です。繰り返しになりますが、施術のやり方にもよります。
日常できないことを表す(ODS)は、
治療前に42.03±3.75 →
6か月は25.01±2.75
ここでも半年後に少し支障が残っていることは一般的なことです。運動療法など保存療法をしっかり行っていけば、判りやすく回復していく時期ですので、この時点で「そろそろ手術を考えますか?」という提案をされることがあっても、いろいろな角度から「手術の意味」の質問をして納得できるまで考えてください。
何を質問していいのか判らない学生さん達に「チュージング・ワイズリー 賢い選択」の動画を上げておきますので参考にしてください。このことは椎間板ヘルニアに限らず、医療全般で世界的に必要なアクションだと考えられております。
医師には言いにくいこともありますが、理解あるお医者様は聞いてくれるはずです。そうでなければ医師との関係を無理に続けなくても良いのではないかと私は思います。
医療の現場で患者さんが医師に問うてみる5つの質問を解説していきます。
- この検査が本当に必要ですか?
- どんなリスクや副作用がありますか?
- よりシンプルで、より安全な選択肢はありますか?
- もし、何もしなければどうなりますか?
- いくらかかりますか?保険は効きますか?
ということで、腰痛を気にしてやれないことはどんどん減ります。何かわからないことがあれば、いつでもご相談してください。学生諸君の判断材料になればと思います。