欧州で承認が見送りになっているサインバルタ(デュロキセチン)という抗うつ薬(SNRI)が慢性腰痛の治療に厚生労働省が承認をしたようです。
サインバルタ(抗うつ薬)が慢性腰痛に処方される時代
本薬剤(サインバルタ)は欧州では承認が見送られています。理由はサインバルタの服用により自殺衝動のリスク(アクティベーデョンシンドローム)が高まる懸念があるからです。

この記事を読まれた方または周囲にずっと、抗うつ薬を飲んでいる方はいませんか?
創造的状態を喪失している慢性腰痛が鬱と関連しているのは確かなのですが、サインバルタのような抗うつ薬で全ての腰痛が良くなるわけではないというのが私の意見です。
サインバルタのような抗うつ薬は飲んでもせいぜい2週間。効果が無ければストップ。それ以上は意味がないという研究もあります。
厚労省部会では賛成多数で決定
厚生労働省の部会では、もともと抗精神病薬として発売されたサインバルタを、整形外科医が疼痛治療薬として処方することについて否定的な意見も出たという。
海外ではサインバルタの服用による自殺衝動(アクティベーションシンドローム)リスクも指摘されており、サインバルタを腰痛への承認適応や、絞り込みも提案されたが、部会では賛成多数で腰痛の適応追加を了承した。
もちろん重度の鬱患者を含んだ数字ですので腰痛患者さんはサインバルタの服用を躊躇する必要はないだろうという意見もあります。
欧州では見送られている腰痛へのサンバルタ処方
忘れてはならないのは、慢性腰痛の方は鬱病患者さんと同じような部分の脳活性が低下しているということです。
米国など海外29カ国ではサインバルタは腰痛適応が承認されているが、危険性を考えて欧州では2011年に腰痛への適応承認が見送られている。
サインバルタを考えてみる
慢性腰痛にサインバルタに限らず抗うつ薬はガイドラン上は有りの時代ですが、ガイドラインでは服用は2週間までとしてあります。
ですから2週間服用しても変化がなさそうな時は別の方法を考えた方が無難なのではないかと思います。死んでしまったら元も子もない。
慢性痛の方はうつ状態でもありますから、前向きになれない方へは

「どうしたら前向きになれるのか?」「ささいなことでもいいので面白かった出来事はあった?」という質問をしています。
ただ現実的に解らなくもないのは、病院の先生のような短時間の診療で物凄くお忙しいと、そんな流暢なお話をしている時間はないはず。少しでも気持ちを和らげてあげる為にサインバルタのような薬物の処方は仕方ないのかなあ…という部分です。
腰痛が心理社会的因子で起こることは良くも悪くも一般認知されたのですが、脳の勘違いではなく身体自体も痛みが出るような使い方をしています。脳だけの問題ではないのです。


脳が腰の痛みを拡大解釈している
痛くなる動きをし続けている、そして脳が痛みの拡大解釈をしている状態ということです。サインバルタのような抗うつ薬は拡大解釈している脳をボカスようなイメージでしょうか。
腰が壊れている訳でもなく、脳だけの問題でもなく、ただ痛い動きをし続けていると私は見ています。新しい動きを作っていく必要があります。新しい動きを作るということは前頭葉を活性化させて創造していくということです。


腰が壊れている訳でもなく、脳だけの問題でもなく、ただ痛い動きをし続けています。
リハビリテーションの立場で新しい動きを作っていく必要があります。新しい動きを作るということは前頭葉を活性化させて創造していくということです。
私自身は慢性腰痛にサインバルタは服用しない方が良い、との立場です。なぜなら抗鬱薬が効き始めるのに時間がかかりますし、多くの場合は2週間以上の服用を余技なくされます。
サインバルタのような抗うつ薬は中枢神経作用がある訳ですから、数か月や数年単位で服用してしまうと離脱する時に一苦労する可能性が出てきます。サインバルタに限らず向精神薬とはそのういうものです。
プラセボ剤でも慢性腰痛には効果がある
2016年の研究ですが、薬物の入っていない偽薬(プラセボ)でもキチンとした説明を受けて処方されれば効果があることが解かってきました。別にサインバルタでなくていいのです。
サインバルタのような薬で脳機能や精神、体の動きが良くなるとおもいますか?薬で良くなるなら何も精神性を高めるためのお稽古や練習をする必要がなくなりますよね。
肉体の鍛錬や研究、所作を通して、初めて精神性が実生活の中で養われいくのです。
鬱や腰痛が改善しないのは、社会的な問題を多く含んでいます。おそらく欧州から始まる大きな運動でそのことが明らかになってくると私は考えています。

