日本人の約3割は何らかの慢性痛を持っていると言われています。
最近の研究で判ってきたのは、痛みを抱えたままの生活は後々の各種疾患の発病率が高くなるということです。
例えば癌に罹ってしまった時というのは桁違いのコストになることは周知の事実です。
慢性疼痛は少ないほうが良いに決まっていますが、慢性疼痛になるとどれくらい影響があるのか、どんな環境の方が慢性疼痛を起こしやすいのかを考えていきましょう。


慢性疼痛は家族で発生することが多い
慢性疼痛患者を親にもつティーンエイジャーは、自身も慢性疼痛リスクが高い。
ノルウェー在住の5,300人強のティーン(13~18歳)およびその親を追跡した。
5300人を対象 2012年慢性疼痛研究
遺伝要因?それとも生活習慣?
片方または両方の親に慢性疼痛がある子は、慢性疼痛および慢性の多発性疼痛の比率が高いことが判明。両親ともに慢性疼痛のある場合は、ティーンの慢性疼痛リスクがさらに高かった。
特に母親と生活している10代は注意が必要主に母親と生活しているティーンは、母親に慢性疼痛がある場合、本人の慢性疼痛リスクも高かったが、
主に父親と生活しているティーンにはこのような関連は認められなかった。環境的因子を共有していることが、成人とその子どもに慢性疼痛が生じる重要な因子となっている可能性があると結論
https://consumer.healthday.com/kids-health-information-23/child-development-news-124/chronic-pain-is-often-a-family-affair-study-finds-670807.html?AID=670807


私も両親が肩凝りや腰痛を昔から持っていたので、10代から軽い肩凝りがありました。そして今でも少しだけ慢性の肩凝りがあり疲労すると感じます。
私なりに考察
カイロプラクティックを勉強している過程でいろいろと考察してきました。動きや生き方も真似しますし、経済的状況や生活習慣、生活環境も影響します。
親御さんとの関係性はとても大きな影響を受けます。
長く臨床に携わっていると、身体のケアをしてこなかった親御さんのお子さんも、メンテナンス治療を続けて行うという習慣はなかなか身につかないことも見えてきます。
おそらくですが、遺伝的なことよりも関係性において、コミュニケーションの取り方において影響が出るのであろうと思います。これらのことはR・D・レインが研究で精神疾患について述べているようですので、慢性痛と精神的なこと、社会的な事との関係は確かですから予測できます。
さて肝心の慢性痛への影響をみていきましょう。
慢性痛があると発がん率や死亡率20~30%up
表題どおり慢性痛がある方は発がん率と死亡率が2割~3割あがります。もちろん慢性痛があっても発癌しない方もおられますが、気をつけておきたいポイントになります。
慢性痛の背景にはさまざまな問題があるのですが、冒頭ご紹介した論文にあるように、親の影響や、社会的な影響などもあるため根は深いのですが、取り組んでいくと人生の大きな課題、世代、時代の課題の解決に向かうのだろうと、カイロプラクティック臨床を通じて感じるようになりました。
単純に腰痛や肩こりを扱っているのではなく、もっと大きな問題と対峙しているという印象になってきました。
青年期、壮年期での早めの疼痛治療をお勧めします
ノース·ウェスト·イングランドでの慢性痛の調査英国での8年間の追跡調査によると、慢性疼痛および広範囲の疼痛を持つ被験者は、疼痛のない被験者より死亡率が20~30%高かった。
約6500名を対象とした2001年の研究です。対象は18~75歳の一般住民6,569名。
15%の人に身体の広範囲にわたる痛みがあり
48%には部分的な痛みがあり、
36%には痛みがありませんでした。慢性痛による早期死亡の主な原因は乳癌と前立腺癌。広範囲の痛みを持つ人々の間では、病気以外の原因(事故、自殺、暴力など)による死亡も多かった。
その死亡率上昇は、喫煙、睡眠障害、身体活動低下と関連していた。
Macfarlane GJ, McBeth J, Silman AJ. Widespread body pain and mortality: prospective population based study. BMJ. 2001 Sep 22;323(7314):662-5. doi: 10.1136/bmj.323.7314.662. PMID: 11566829; PMCID: PMC55925.
とくに身体の広範囲にわたる痛みがある人々は癌による死亡は有意に高い確率になるそうです。
あちこち痛い人はそれらを治療(コントローラブルな状態を作る)していくことが大切です。カイロプラクティックを通じてみえてきたのは、一つづつ、一か所ずつ痛みを軽減させていく姿勢が大切です。
よく初診時にここもここもここも痛いです、と次々に要望を伝えてくる患者さんがおられます。便宜上、すべての箇所に触れますが、魔法は存在しません。実際には一つずつ痛みを減らしていくことが賢明です。
癌による入院や闘病のことを考えれば、カイロプラクティックケアを早めに取り入れておくことは、健康投資の意味で得策だと思います。



ポイントは痛みがある人は活動量が減る傾向が強いことです。お気持ちは解りますが、活動量が減ると悪循環に陥ります。
慢性疼痛がある人は殆どの方が運動習慣がないとお答えになります。
痛いし気分も晴れませんから当然運動なんてする気になれませんよね。最初は公園まで歩いたり、お使いに出たり、何でもいいのです。少しずつ少しずつ運動習慣をつけていきましょう。急にやると怪我しますしね。
少しずつでもお身体を動かせば、自然と睡眠の質も上がってきます。おタバコも辞めれる時が来たら辞めるとおもいます。好循環に入れば生活の質も変わってきます。
慢性疼痛の人は高齢期の死亡率と発がん率が高い
88,000例以上を対象としたコホート研究(集団追跡研究)により、筋骨格系疾患を持つ患者の死亡率と発がん率の高いことが判明。
腰痛や股関節痛はいずれもトップ2の原因
Jordan KP, Croft P. Mortality and cancer in patients with new musculoskeletal episodes: a cohort study. Br J Gen Pract. 2010 Mar;60(572):e105-11. doi: 10.3399/bjgp10X483526. PMID: 20202352; PMCID: PMC2828857.
死亡率が高いのは ①股関節痛 ②腰痛 ③肩関節痛の順で
発がん率が高いのは ①腰痛 ②股関節痛 ③頚部痛の順だった。
しかしその理由は不明
時代が進めばさらに詳しいことが解ってくるのでしょうが、何しろ腰痛や股関節痛は死亡率・発癌率が上がるようです。この2つがあると、とても普段から有酸素運動をしようなんて気持ちにはならないでしょうからね。
かなり痛くなってからでは遅い場合もありますし、長期間痛みを持っている方はそれだけ痛みをとっていくのに時間がかかります。人間は機械ではないから少しずつしか良くなっていかないですよ。実際にカイロプラクティックケアで感じるのは、現状維持くらいでも、かなり価値があります。
何もしていないと痛みは悪化する一方ですから。
幼少期のトラウマ体験も慢性疼痛発生に影響
格差社会になってしまった日本。何らかのトラウマ体験が発生しやすい環境であるとも言えます。社会全体で痛みの少ない方向に向かうことを願っています。


壮年期25~44歳の慢性疼痛に関係がある幼少期トラウマ体験
小児期に体験した不幸な出来事(交通事故による入院・親の死亡・両親の離婚・親のアルコール依存・貧困家庭)が壮年期における広範囲な慢性疼痛の予測因子であることが判明。トラウマとなるような体験は慢性疼痛の発症と重症度に関連しています。
Jones GT, Power C, Macfarlane GJ. Adverse events in childhood and chronic widespread pain in adult life: Results from the 1958 British Birth Cohort Study. Pain. 2009 May;143(1-2):92-6. doi: 10.1016/j.pain.2009.02.003. Epub 2009 Mar 21. PMID: 19304391.
言い方を変えると、ある程度社会的に「痛い」環境で発育しているので、「痛い」状況でないと脳が安定しないのかもしれません。脳科学で言えば、慢性疼痛は身体の痛みを感じる脳の部位と、社会的痛みを感じる脳の部位が連結して密接に関係しているそうです。
私の父親もお酒大好きでしたから。なんだかんだ言って、身体の痛みはアチコチにあります。少しずつ痛みと向きあい、克服する工夫を続けています。このような情報発信もその一つと言っても良いかもしれません。










