顎関節症のエビデンス

顎の違和感や痛み、もしかして「顎関節症」かもしれません。 口の開閉がスムーズにいかない、あくびや食事のときに顎がカクカク鳴る、頬やこめかみに痛みを感じる…。こうした症状に悩む方は少なくありません。これらの不調は、まとめて「顎関節症(がくかんせつしょう)」と呼ばれています。

このページでは、顎関節症に対するカイロプラクティックの有効性や、科学的根拠(エビデンス)に基づいた治療アプローチについてご紹介します。

カイロプラクティックは、筋肉や関節の機能に特化した専門的なケアを提供するヘルスケアの一分野です。顎関節症の多くは、顎の関節やそれを動かす筋肉の機能異常が関係しており、カイロプラクティックの得意分野といえます。

目次

科学的根拠に基づくアプローチを紹介

日本では、顎関節の違和感を感じた際、まず歯科でマウスピースを試すという流れが一般的です。 しかし、こうした方法で十分な改善が得られないケースも少なくありません。 そのような場合には、筋骨格系の機能に着目した、科学的根拠に基づくアプローチを検討する価値があります。

2016年:顎関節症に対する手技療法の有効性(メタ分析・系統的レビュー)

Martinsら(2016)のメタ分析では、300本以上の論文を精査した結果、顎関節症に対する筋骨格系の手技療法が有効であることが示されました。 特に短期的な効果においては、他の保存的治療法と比較して優れていると報告されています。

参考文献: Martins WR, et al. Efficacy of musculoskeletal manual approach in the treatment of temporomandibular joint disorder: A systematic review with meta-analysis. Man Ther. 2016;21:10–17. doi: 10.1016/j.math.2015.06.009 PMID: 26144684  

この研究結果から、カイロプラクティックを含む筋骨格系の手技療法は、顎関節症に対して短期的な改善効果が期待できることがわかります。 ただし、中長期的な改善には、日常的な顎の運動やセルフケアの継続が重要です。

そのまんま

顎まわりの施術って、受けたことがない方がほとんど。 気になる方は、WHO基準のカイロプラクティックに相談してみると安心だよ〜🫧

顎関節症に対する手技療法と運動療法の有効性:系統的レビューとメタ分析(2016)

Armijo-Olivoら(2016)の系統的レビューでは、顎関節症に対する運動療法単独の効果は限定的であり、他の保存的治療と比較して明確な優位性は示されませんでした。 しかし、手技療法を単独で行う場合や、顎・頸部のエクササイズと組み合わせた場合には、有望な効果が報告されています

参考文献: Armijo-Olivo S, et al. Effectiveness of Manual Therapy and Therapeutic Exercise for Temporomandibular Disorders: Systematic Review and Meta-Analysis. Phys Ther. 2016;96(1):9–25. doi: 10.2522/ptj.20140548 PMID: 26294683

実際の施術では、顎関節周囲の筋緊張が強く、整体・鍼灸・整形外科などでは十分にアプローチできていないケースが多く見られます。 特に整形外科では、運動指導が紙で渡されるのみで、実際の運動機能改善に向けた具体的なサポートが不足していることもあります

手技療法が効果的とされる理由は、咬筋などの緊張を緩和し、失われた顎の自然な動きを回復へ導く点にあります。 多くの場合、患者さんが想像するよりもしっかりとした操作が必要で、可動域が広がることで違和感は軽減されます。 ただし、改善した動きを日常生活に定着させるには、一定の時間とセルフケアの継続が重要です

筋肉操作の必要性を示す研究(2013)

Brantinghamら(2013)のシステマティックレビューでは、顎関節症を含む顎まわりの症例に対して、筋肉への操作が必須であることが示されています。

Manipulative and multimodal therapy for upper extremity and temporomandibular disorders: a systematic review – PubMed

このことは、筋由来の顎関節症に対する手技療法の有効性を裏付ける重要な根拠となります。

顎関節の仕組みをわかりやすく解説

顎関節ってどこにあるの?

一般的に「顎関節症」とは、その名のとおり顎(あご)を動かす関節の不調を指します。
この関節は、下あごの骨(下顎骨)の先端にある“下顎頭(かがくとう/Caput mandibulae)”と、頭の骨(側頭骨)にある“下顎窩(かがくか/Fossa mandibularis)”というくぼみで構成されています。

下顎頭

赤丸で囲んだ部分は「下顎頭」です。

痛みの原因は「関節」だけじゃない?

実は、この関節そのものが直接の原因になっているケースは少数派です。 多くの場合、口の開け閉めに関わる筋肉、特に“咬筋(こうきん)”や内外側翼突筋に問題があることで、痛みや違和感が出ています。

顎関節の図
関節円板と咬筋・側頭筋などの位置関係

筋肉・関節の機能異常に焦点を当てたケース

顎関節症と一言で言っても、実際には「改善が期待できるケース」と「改善が難しいケース」に分かれます。 特に、筋肉や関節の機能異常が原因となっている場合は、手技療法による改善が見込めることが多いです。

筋肉のアンバランス、筋が硬くなっている場合

カイロプラクティックで大きな改善が期待できるのは、筋肉が原因となっている顎関節症です。 特に、顎まわりの筋肉のバランスが崩れているケースでは、手技による調整が有効です。




そのまんま

筋肉へのアプローチがないと、顎関節症の改善はなかなか難しいことが多いです。 ぼくが判断の目安にしているのは、「しっかり筋肉を触れているかどうか?」という点です。

「こんな症状、ありませんか?」

ある日突然、顎が開かなくなったり、開きづらくなったり…。 モノを噛むときに違和感がある、口の開け閉めで「カクッ」と音がするなど、顎関節症の症状はさまざまです。

こうした症状の多くは、実は顎まわりの筋肉の緊張やバランスの乱れが原因になっていることが多いです。 このタイプの顎関節症は、筋肉の調整によって改善が見込めます。

ただし、症状が長期間続いている場合は、筋肉に癖がついていることもあり、改善にはある程度の来院回数が必要になることもあります。

関節円板障害や構造的問題など、他の医療が必要なケース

手技療法で大きな改善が見込めない顎関節症には、関節円板(軟骨組織)が損傷・変形しているケースがあります。これは医学的にも「構造的な顎関節症」とされるタイプです。

外傷や、無理な咀嚼によって下顎骨と側頭骨の連結部分にある関節円板が痛んだり変形してしまうと、カイロプラクティックによる回復は難しくなります。

そのまんま

「でも、完全に諦める必要はありませんよ!」

このような場合、関節を動かすと「ジョリジョリ」といった音が鳴ることが多く、関節の根本組織が変形している可能性があります。

手技療法では、期待するような改善は難しいですが、負担がかかっている筋肉や周囲の組織をリリースしたり、関節の動きをサポートすることで、一時的に楽な状態を作ることは可能です。

※このようなケースでは、整形外科などの医療機関での検査や診断が必要になることがあります。
当院では、必要に応じて医療機関との連携も行っていますので、ご安心ください。

選択肢のひとつとしての役割と限界

以前、お世話になっている歯科医の先生に顎関節症について質問させていただいたことがあります。 その先生によると、マウスピースによる対応が一般的ですが、真剣に顎関節症の研究を続けている歯科医師の中には、首のマッサージなど筋骨格系へのアプローチを取り入れている方もいるそうです。

このことからも、筋肉や関節に対する手技療法は、顎関節症の改善において有効な選択肢のひとつであると考えられます。ただし、症状や原因によっては、医療的な対応が必要なケースもあるため、施術の限界を理解したうえで、適切な判断をすることが大切です。

※当院では、必要に応じて歯科医師や医療機関との連携も行っています。 顎関節症の原因は多岐にわたるため、一人ひとりに合った対応が重要です。


歴史的な考え方や哲学的アプローチの紹介

カイロプラクティックには、長い歴史の中で培われてきた独自の視点があります。
そのひとつが、「顎関節の運動起点は第2頸椎にある」という考え方です。

顎の関節の動きは、実は首の骨(特に第2頸椎)と密接に関係しているとされており、
これは顎の動きの延長線上に第2頸椎が位置していることに由来します。

実際に、第2頸椎に軽く触れながら顎の開閉運動をしていただくと、動きがスムーズになる方もいらっしゃいます
このような場合、第2頸椎の機能不全が顎関節の動きに影響している可能性があるため、
アジャストメント(調整)を行うことで改善を図ります。

もちろん、顎関節症においては全身の動きが連動しているため、必要に応じて他の部位の調整も行います。

第2頸椎(C2)の位置を示す脊柱の図。顎関節との関連がある部位に矢印が表示されている。
▼ 顎関節と関係が深い「第2頸椎(C2)」の位置 ※この部分が機能不全を起こすと、顎の開閉運動に影響することがあります。
そのまんま

「顎だけを見ていても、なかなか改善しないことがあります。 首や背骨の動きまで見るのが、カイロプラクティックの面白いところなんです!」

顎関節症で代替医療のセカンドオピニオンを求める方へ

他の療法で効果が得られなかった方や、再発を繰り返している方、癖になってしまっている方など、 「もう一度、別の視点で見てみたい」と感じたら、ぜひお気軽にご相談ください。

カイロプラクティックは、筋肉や関節の動きに着目したアプローチで顎関節症のお悩みの方のお役に立てることも多くあります。

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エビデンスってなに?

このページでは、施術の効果について「エビデンス(科学的根拠)」をもとにご紹介しています。 実はエビデンスにも、信頼度の高いものから低いものまで段階があるのをご存じですか?

そのまんま

「エビデンスって、全部同じじゃないの?」って思うかもしれないけど、 実は“どんな研究か”によって、信頼度がぜんぜん違うんだよ〜🫧

医学的なエビデンスの信頼度を示した図です(上にいくほど信頼性が高い)
コホート研究
エビデンスレベルの図
このページで紹介している研究の多くは、「体系的レビュー(Systematic Review)」や「ランダム化比較試験(RCT)」といった、信頼度の高いエビデンスに基づいています。 もちろん、すべての症状に当てはまるわけではありませんが、科学的に裏付けられた方法を選ぶことは、安心・安全な施術につながります。

参考文献

腰痛や肩こりなど、顎関節症以外の症状についても科学的根拠をまとめています。詳しくは エビデンス総合ページ をご覧ください。

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