「カイロプラクティックは不妊に効果があるの?」「病院の治療と並行しても大丈夫?」 なかなか授からない焦りや、SNSなどで見かける情報に、どう向き合えばいいのか悩んでいませんか?
不妊に対するカイロプラクティックについては、まだ大規模な臨床試験の段階ではなく、あくまでケースレポート(症例報告)が中心というのが現代のEBM(科学的根拠に基づいた医療)における現状です。しかし、医療の不確実性やホリスティックな(全体的な)身体づくりの視点から、西洋医学の補完的な選択肢として関心を持つ方が増えているのも事実です。
この記事では、実際の文献やスコーピングレビューをもとに、カイロプラクティックケアが不妊にどのようにアプローチすると考えられているのか、そのメカニズムや限界、そして注意すべきポイントを分かりやすく解説します。
カイロプラクティックで妊娠は、ケースレポートどまり

不妊症の影響を受けた女性患者は、彼らの苦情に対して補完的かつ代替的な(非医療的)治療を求めることは珍しくありません。西側諸国で最も人気のある補完代替医療の形態の1つはカイロプラクティックであり、カイロプラクティック治療の開始後に妊娠が成功したという報告は多数あります。
私も先輩方から「施術をしているとおめでたいお話をよく聞く」と聞かされてきました。
【補助的】に6カ月ほどは考えてみても良いかも

決して質の高いエビデンスではありませんが、ケースレポートを集約してレビューされています。脊椎マニピュレーションや仙骨頭蓋療法、補助的な療法がメインのようです。

当然ですが断言はできませんが、不妊治療自体が絶対的ではないですし、医学の不確実性を考慮すると代替選択肢としてカイロプラクティックを半年ほど考えてもいいかもしれません。エビデンスを見ていきましょう。
不妊ケアのエビデンス
不妊治療におけるカイロプラクティック介入の理論的枠組みは、脊髄神経の整合性を改善するための脊椎サブラクセーション(亜脱臼)複合体の軽減に焦点を当てています [5]。施術者らは、脊椎サブラクセーションの存在が自律神経失調や運動失調(ディスポネシス)などの生理学的機能不全を引き起こし、それが全体的な健康や生殖機能に悪影響を及ぼしている可能性があると指摘しています [2, 5]。
文献で提唱されている具体的なメカニズムには以下のようなものがあります。
- 神経系の調整: カイロプラクティックケアは、女性の神経系に対するストレスの影響を軽減することを目指しており、これが生殖健康の変化に関連している可能性があります [3]。
- 生理学的適応: サブラクセーションを矯正することで、身体がより高水準の健康状態を発揮できるようになり、結果としてより優れた生理学的適応が促進されると仮説立てられています [5]。
- 機能の回復: 脊髄の干渉を取り除くことで通常の身体機能が回復すると理論づけられており、これには無排卵患者における月経周期や排卵周期の正常化が含まれる場合があります [2, 3]。
主な手法(テクニック)
カイロプラクティックの施術者は、不妊を訴える患者を管理する際に、さまざまな評価および矯正プロトコルを用いています。最も頻繁に引用される手法には、ゴンステッド・システム やトルク・リリース・テクニック(TRT) が含まれます。TRTを使用する場合、調整は通常「インテグレーター」と呼ばれる器具を用いて行われます (当院では使用していません)。
脊椎の矯正に加えて、臨床医はより広いケアプランの一環として補助的な療法を採用することもあります。これには以下が含まれます。
- 理学療法: 頭蓋仙骨療法(クラニオセイクラル・セラピー)、ストレッチ、リラクセーション技法 。
- ライフスタイルの介入: 食生活の改善や、ストレス軽減のための音声テープの使用 。
- その他のアプローチ: 管理戦略の一部としてディレクテッド・ノン・フォース・テクニック(DNFT)を利用する施術者もいます 。
現在の文献の限界
不妊症に対するカイロプラクティック管理に関するエビデンスは、重大な方法論的限界を抱えています。現在文献で利用可能なすべての一次データはケーススタディ(エビデンスレベル9)に由来しており、決定的な臨床的証明ではなく、あくまでも状況証拠(アネクドート)レベルのエビデンスを提供するにとどまります 。これらの介入の有効性、安全性、または費用対効果を検証するための、頑健な臨床試験や大規模データは完全に欠如しています 。
さらに、既存の報告には、腰痛、頭痛、潰瘍性大腸炎、月経不順など、複数の健康上の悩みを同時に抱えている患者が含まれていることが多く、カイロプラクティックケアが、妊娠しやすさに与えた影響を単独で切り分けることが難しくなっています 。
強力なエビデンスベースが不足しているため、女性の不妊管理に対する脊椎マニュピレーション(手技療法)の適用には慎重であるべきだと文献では強調されています 。研究者らは、脊椎の健康と生殖結果との関係をより深く理解するため、さらなる調査の必要性を一貫して求めています 。
とても現実的な解説です
実際私も不妊ケアを病院や鍼灸院でなさっていて、その上で腰痛患者として来院された女性がご懐妊されたケースは幾つかあります。
まったく上記のエビデンスと同じような内容で、それ以上でも以下でもないのがカイロプラクティックによる不妊ケアになります。
注意すべきポイントは、高い質のエビデンスは存在しないので、カイロプラクターに強く勧められてもエビデンスはケーススタディしかない、ということです。
色々試した後カイロプラクティックを利用するケースも
何年も不妊外来に通院していた方が、カイロプラクティックも受診するようになってから身籠ったなどの話は割と多いです。
なぜそんな事が起きるのか?はヘルスケアという立場で人間を診ているからです。
西洋医学は機械論的に物事を考えますが、カイロプラクティックではホリスティックに物事を考えます。ライフスタイルや人間性など、全体的にヒューマンケアを行う結果、おめでたい話に繋がりやすいのではないかと思います。
カイロプラクティックは健康を向上させるヘルス・ケア
カイロプラクティックはヘルスケアです。不妊治療というと何やら特別な治療をするように考えがちですが、方向性は腰痛や首の痛みの方と同じです。
皆さまの健康をケアしていくことで、健康をアップさせます。
母体となる女性が健康でないと、つまり身籠る準備ができていないお身体では赤ちゃんを授かるのが難しいのではないかと私は考えます。
背骨と骨盤
安心して身体を成長させられる母体づくりが先決ではないでしょうか。緊張した背中や肩のままですと交感神経が高ぶった状態が常態化しています。
背中の余分な緊張をなくして、尚且つ足腰の適度な筋の張りがあるのも重要です。
これらの事は、幾ら年収がある、お休みがある、社会的地位とは関係がありません。まずは健康的な身体づくりが重要だとカイロプラクティックでは考えます。
つぎに赤ちゃんの寝床になる「骨盤」の状態を考えます。
要石と呼ばれる仙骨と子宮を結ぶ仙骨子宮靭帯や、骨盤周りと取り巻く靭帯のバランスを整えていきます。場合によっては適度な運動も勿論必要です。
また骨盤や腰の骨のスムースな動きは腹部の血流やリンパ液循環の基本になります。
腰回りの柔らかさはあらゆる動作の基本になる部分です。
子宮の前屈

内臓の下垂や骨盤の前傾、膀胱の可動性の低下や後屈が子宮全体を前屈した状態にさせると言われています。お腹だけドテッと出ているかた、下腹部の緊張が強い方などはお腹の下部にある子宮をより前屈させて血流を悪くしてしまいます。
カイロプラクティックではそのような内臓状態ですと不妊を招くという、内臓マニピュレーションの考え方があります。これは腰痛やヘルニアのページにあるようなRCT,システマティック・レビューなどの超一級のエビデンスがあるわけではありませんが、複数の症例報告という形で経験論的に語り継がれていることの一つです。
頭蓋の問題

カイロプラクティック、正確にはオステオパシーの考え方になるのですが頭蓋治療という考え方があります。
24枚の骨でできている頭蓋骨の内、蝶形骨という蝶の形をした骨の動きが悪くなると健康上さまざまな問題が現れます。
その一つが不妊に繋がるという考え方があります。我々の世界で「1日講習で不妊治療」などというタイトルのセミナーがあると、この蝶形骨の治療を教えてもらえるそうです。
ですから蝶形骨の問題もクリアーにする必要もあります。勿論私自身は、この蝶形骨だけでどうということは考えておりません。

上記にあるような不妊に関わるような事柄を丁寧にケアをしていきます。運動不足の方にはもちろん運動もして頂き健康な状態を作っていくことで受胎可能なお身体づくりをサポートします。セカンド、サードオピニオンとしてもお気軽にご活用いただければと思っています。
参考文献
[1] B. Budgell and B. Yee, “A scoping review of chiropractic management of female patients with infertility.,” Journal of the Canadian Chiropractic Association, vol. 62, no. 2, pp. 117–124, Aug. 2018.
[2]D. D. Lyons, “Response to Gonstead Chiropractic Care in a 27 year old Athletic Female with a 5 year history of Infertility,” Jan. 2003.
[3]L. Bedell, “Successful Pregnancy Following Diagnosis of Infertility And Miscarriage: A Chiropractic Case Report,” Jan. 2003.
[4]R. Vilan and D. DC, “The role of chiropractic care in the resolution of migraine headaches and infertility”, [Online]. Available: https://chiro.org/Graphics_Box_RESEARCH/GRAPHICS_20/CHIROPRACTIC_EVALUATION/Vallone.pdf#page=13
[5]E. Anderson-Peacock, “Reduction of Vertebral Subluxation using Torque Release Technique with Changes in Fertility: Two Case Reports,” Jan. 2003.
[6]J. Edwards and J. Alcantara, “The care of a pregnant patient with triplets: A chiropractor’s experience”, [Online]. Available: https://search.informit.org/doi/abs/10.3316/informit.903656172050840
[7]A. DC and J. DC, “Successful conception following reduction of vertebral subluxation in a 31 year old woman: a case report & selective review of the literature”, [Online]. Available: https://www.princetonchiropractic.com/wp-content/uploads/2023/04/Chiropractic-Princeton-NJ-Published-Infertility-Study.pdf
[8]J. W. Schwanz and J. T. Schwanz, “Female Infertility and Subluxation -Based Gonstead Chiropractic Care: A Case Study and Selective Review of the Literature,” Jan. 2012.
[9]J. Murphy and D. DC, “A review of complementary and alternative care for infertility issues”, [Online]. Available: https://jccponline.com/jccp_v11_n2.pdf#page=43
[10]C. Stuart, “The Role of the Spinal Cord in Maintaining Fertility”, [Online]. Available: https://www.logan.edu/mm/files/LRC/Senior-Research/1996-Aug-25.pdf
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