緊張性頭痛へのエビデンス

「カイロプラクティックは怪しい」「エビデンスがない」 そんな声がウェブ上でも見受けられます。 しかし、こうした疑念に対して、緊張性頭痛に対する有効性を示す科学的根拠が存在します。

カイロプラクティック治療は、単なる「骨を鳴らす」ものではありません。 実際の臨床では、筋操作・超音波治療・神経学的アプローチ・運動療法など、 多岐にわたる方法が組み合わされます。

研究では、カイロプラクティックの特徴的手技である脊椎マニピュレーションが 有効性を測る対象として取り上げられることが多くあります。 ただし、実際の臨床では脊椎マニピュレーションだけでなく、複合的なケアが行われています。

ここでは、緊張性頭痛に対するカイロプラクティックの有効性について、 科学的根拠をもとにご紹介していきます。

目次

慢性筋骨格痛患者のカイロプラクティック管理のベストプラクティス:臨床診療ガイドライン

緊張性頭痛

まずカイロプラクティックが出した、ガイドライン論文、めちゃくちゃ情報が詰まってます。 Hawkら(2020)による「慢性筋骨格系疼痛に対するカイロプラクティック管理のベストプラクティス」では、以下のようなポイントがまとめられてる。

緊張性頭痛は背骨の矯正(スパイナルマニピュレーション)と手技療法(マッサージも含みます)がC,心理療法がB(当院では認知行動療法),針治療がC になっています。

筋緊張を物理的にほぐしたり、精神の緊張を心理療法でほぐしていくということです。当院では認知行動療法を行っています。針治療もCでお勧めできます。個人差があるので、ご自身にあった療法や、先生に巡り合えるといいですね。

慢性腰痛chronic low-back pain慢性的な首の痛みchronic neck pain慢性緊張型頭痛chronic tension-type headache変形性膝関節症knee osteoarthritis変形性股関節症hip osteoarthritis線維筋痛症fibromyalgia
脊椎マニピュレーション
/手技療法

CBCBC;BC(手技療法)
C(脊椎マニピュレーション)
経皮的神経刺激/干渉電流BCBC
低レベルレーザー治療CBBB
鍼治療CCCB-C;BC
心身、心理療法、ライフスタイルカウンセリングB-CBC
AHRQ systematic review is in bold italics

皆さん心配事の一つである来院回数や、頻度もはっきりと明記してあります。

週2.3回の来院を2-4週つづけてみましょう。

定義は3か月以上、少なくとも月に15日以上症状

厳密に言えば、緊張型頭痛は3か月以上、月に15日以上頭痛がある状態なので、そこまで痛みが続いている方は少ないのかもしれません。

定義に当てはまらなくても、短期間筋肉が緊張して頭痛になっている方は多いです。

定義上、緊張型頭痛(TTH)は、3か月以上にわたって毎月少なくとも15日存在するもの。それは毎日で絶え間なく続くかもしれず、軽度の吐き気を伴うかもしれません

すべての医療提供者が生物心理社会モデル内の証拠に基づくアプローチに精通することが重要です。

カイロプラクティックや針などによる介入ガイドラインでは、背骨の操作や運動療法的介入をするために週2.3回の来院を2-4週続けることを勧めています

Hawk C, Whalen W, Farabaugh RJ, Daniels CJ, Minkalis AL, Taylor DN, Anderson D, Anderson K, Crivelli LS, Cark M, Barlow E, Paris D, Sarnat R, Weeks J. Best Practices for Chiropractic Management of Patients with Chronic Musculoskeletal Pain: A Clinical Practice Guideline. J Altern Complement Med. 2020 Oct;26(10):884-901. doi: 10.1089/acm.2020.0181. Epub 2020 Jul 30. PMID: 32749874; PMCID: PMC7578188.

筋膜リリース単体より、運動療法+脊椎マニピュレーション

「Corumら(2021)のRCTでは、運動療法と脊椎マニピュレーションの併用が緊張型頭痛に有効と報告されている。」詳細はページ下部

筋膜リリースが流行っていますが、基本的には運動器の機能を上げる方向にいかないと元に戻ります。

上部頚椎のマニピュレーションが緊張性頭痛に効果的であることは以前から言われていたが、筋膜リリースと比較した場合でも、より効果があるようです。運動療法とマニピュレーションの組み合わせが良いみたい。

首の痛みに関連する持続性頭痛の非薬理学的管理

こちらは緊張型、頸性頭痛の非薬理学的管理の為のガイドラインです。あえて、断言せずにさまざまな論文をみていくことで、多角的に皆さんに判断してもらいたいからです。

首の痛みに関連する頭痛の非薬理学的管理については、OPTIMaガイドライン(Côtéら, 2019)も参考になります。このガイドラインでは、緊張型・頸性頭痛に対する運動療法やマルチモデル・ケアが推奨されています。

ここでも運動療法が推奨されています。首の筋肉は運動器ですから、その機能を高めることが重要です。詳細はページ下部にありますので、参考にしてみてください。

後にも触れますが、重要なポイントを挙げます。

  1. 先ず偏頭痛でないことを確認する必要があります。
  2. 治療方針を患者さんと一緒に決めます。
  3. 首や肩甲骨の運動を行います。
  4. マルチモデルのケアとは、下にある背骨の矯正を唯一の治療法としないとあるように、沢山の治療法を組み合わせることが基本になります。
  5. 3か月以上ある頸性頭痛には、頚椎と胸椎にも背骨の矯正を行います。または関節をゆっくり動かします。

マニピュレーションと運動を組み合わせても利点はないとあります。これは私も驚きです。

参考までに2021年に発表された比較対照試験では…

サンプル数は少ないのですが、上記の非薬理学的管理による持続性頭痛のガイドラインと反する結果がでています。

これによると運動療法とマニピュレーションの組み合わせが良いようです。私個人は、この組み合わせは単一のサービスより効果が持続するだろうと、考えています。ご参考までに… 詳しくはページ下部にて説明

📘「慢性筋骨格系疼痛に対するカイロプラクティック管理のベストプラクティス」

目的: 慢性筋骨格系疼痛(MSK pain)患者に対するカイロプラクティック管理のための、エビデンスに基づいた臨床ガイドライン(CPG)を策定すること。

方法:

  • システマティックレビューをもとに、専門家パネルが推奨を作成
  • コンセンサスプロセスを通じて、実践的な推奨を整理

🔍 主な推奨内容(疾患別)

疾患ごとに、脊椎マニピュレーション、鍼治療、レーザー治療、心理療法などの有効性グレード(A〜C)が示されてるよ。たとえば:

  • 慢性腰痛・首の痛み: → 脊椎マニピュレーション、運動療法、鍼治療が推奨(B〜Cグレード)
  • 慢性緊張型頭痛: → 脊椎マニピュレーションはCグレード、心理療法はBグレード
  • 線維筋痛症: → 心理療法、鍼治療、手技療法がCグレードで推奨

    PDF版(Clinical Compass)

首の痛みに関連する持続性頭痛の非薬理学的管理(ガイドライン)

Côtéら(2019)によるOPTIMaプロジェクトの臨床ガイドライン 対象:緊張型頭痛または頸性頭痛(いずれも首の痛みに関連する持続性頭痛)

臨床判断の流れ:

  • (a) 構造的疾患や片頭痛など、他の原因を除外
  • (b) 除外後、緊張型または頸性頭痛として分類
  • (c) 患者と協働し、意思決定に関与させる
  • (d) 構造化された患者教育を含めたケアを提供
  • (i) 来院ごとに再評価し、必要に応じて紹介を検討

推奨される非薬理学的介入:

  • (e) 低負荷の持久力運動(頭頸部・頸肩甲骨)
  • (f) 一般的な運動、マルチモーダルケア(脊椎可動化+運動+姿勢矯正)、慢性緊張型頭痛へのマッサージ
  • (g) 一時的または慢性の緊張型頭痛に対して、頸椎操作のみの治療は推奨されない
  • (h) 3か月を超える頸性頭痛には、頸椎・胸椎への手技療法(動員または操作)を検討。ただし、マニピュレーション+運動の組み合わせによる追加効果は認められない

引用: Côté P, et al. Eur J Pain. 2019;23(6):1051-1070. doi: 10.1002/ejp.1374

緊張性頭痛に関するエビデンス(RCT)

Corumら(2021)によるランダム化比較試験 45人の緊張性頭痛患者を以下の3群にランダムに割り当て、各群に8回の治療を実施:

  • グループ1:脊椎マニピュレーション+運動療法(操作)
  • グループ2:後頭下筋抑制+運動療法(筋膜リリース)
  • グループ3:運動療法のみ(コントロール)

評価項目:

  • 頭痛の頻度
  • 頭痛・首の痛みの重症度(VAS)
  • 頭痛と首の障害(HIT-6、NDI)
  • 圧痛閾値スコア ※ベースライン、治療後、3か月後の3時点で評価

結果:

  • グループ1は、グループ2よりも頭痛頻度・重症度・圧痛閾値で統計的に有意な改善
  • グループ3(運動のみ)と比較しても、すべての評価項目で有意な改善運動療法+マニピュレーションの併用が最も効果的と示唆される

引用: Corum M, Aydin T, Medin Ceylan C, Kesiktas FN. Complement Ther Clin Pract. 2021;43:101319. doi: 10.1016/j.ctcp.2021.101319


Corumら(2021)によるランダム化比較試験


Corumら(2021)によるランダム化比較試験では、緊張型頭痛と首の痛みを持つ45名の患者を3群に分け、以下の介入を実施:

  • グループ1:脊椎マニピュレーション+運動療法
  • グループ2:筋膜リリース+運動療法
  • グループ3:運動療法のみ(コントロール)

各群は8回の治療を受け、頭痛の頻度、重症度(VAS)、障害指標(HIT-6、NDI)、圧痛閾値をベースライン・治療後・3か月後に評価。

結果として、グループ1は他の2群よりも統計的に有意な改善を示し、特に筋膜リリース群よりも頭痛頻度・重症度・圧痛閾値で優れていた。

このことから、運動療法と脊椎マニピュレーションの併用が、緊張型頭痛に対して最も効果的な介入の一つである可能性が示唆されている。
Corum et al. (2021)

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