ヨガの慢性腰痛への痛み軽減効果は数年前から言われていますが、不安や鬱病への効果はどれくらいか?
意外と知られていないのが、慢性痛があると、不安や抑鬱が存在するのが普通であるという事実。
これは脳の中で、痛みと不安を司る領域がリンクしてしまい、グルグルとお互いの脳の領域を刺激しあっている状態になってしまうからです。
カイロプラクター、理学療法、ヨガプラクティショナーの希望的観測では、身体の機能を上げることで鬱や不安自体を取り除けると考えたいのですが、実際にはどうなのか?
そこで今回ご紹介する研究は、慢性腰痛がある人へのヨガ介入、理学療法が、どれくらい鬱、不安に効果があるのかを無作為抽出して比較した試験です。
合計320 名の慢性腰痛の成人(低所得層)を教育群、ヨガ群、理学療法群に分けて、検査開始時、12 週時、52 週時に抑鬱と不安へアンケート調査を行った。
Joyce C, Roseen EJ, Keysor JJ, Gross KD, Culpepper L, Saper RB. Can Yoga or Physical Therapy for Chronic Low Back Pain Improve Depression and Anxiety Among Adults From a Racially Diverse, Low-Income Community? A Secondary Analysis of a Randomized Controlled Trial. Arch Phys Med Rehabil. 2021 Jun;102(6):1049-1058. doi: 10.1016/j.apmr.2021.01.072. Epub 2021 Feb 5. PMID: 33556352; PMCID: PMC8184573.
慢性腰痛の十分なサービスを受けていない成人のサンプルに共通するうつ病と不安が、理学療法とヨガでわずかに改善する可能性があることがわかりました。
しかし、その効果は教育に勝るものではありませんでした。痛みと機能の改善は、抑うつ症状の減少と関連しています。理学療法とヨガにおける身体的および心理的幸福の統合を最適化するには、さらなる研究が必要です.
原因を一つに求めない
私もカイロプラクターになりたての頃は、背骨の矯正でミラクルを起こせるのかもと考えた時期がありました。そのような幻想がカイロプラクターにはあると思います。
勿論、奇跡的な回復をみせるケースも無くはないですが、それを謳ってしまうと嘘になります。
慢性腰痛があって落ち込んでいる方は、ヨガをやってみることを当院でもおススメしています。よくヨガさえやっていれば万全だと思うかたもいらっしゃいますが、これも行き過ぎた考え方になりやすいです。
さまざまな代替療法を試みて、ご自身にあった対応をしていくことで痛みが減り、抑鬱気分、不安気分をコントロールできるようになってくるのだと思います。この研究にあるように「教育」も重要です。
何にせよ、理学療法やヨガで低所得者層で慢性腰痛がある人の気分が少し上がることは確かですから、痛み、不安で苦しんでいる方があったら、近くのヨガ教室、区のスポーツセンターで開催している週一の3か月コースヨガなどに脚を運んでみてください。
また鬱や不安に関する書籍を多く読んでみるのもいいでしょう。さまざまな意見があり、さまざまな対処法があると思います。
ヨガだったら1レッスン1,500円前後、区のスポーツセンターだと3か月で1万円前後だと思います。YouTubeではなく対面で教えてもらうことが重要ですよ!