カイロプラクティックを生業にしていると、動かない関節を動くようにしたり、機能低下している筋を見つけて強化するなど機能改善をいかにするか?という発想で人間をみています。
ですから手術で固定するということがどれくらい不具合が生じるのかを考えると、少し怖くなります。
椎間板ヘルニアへの手術は、2021年のシステマティックレビューで整形外科的手術は非外科的な方法に比べて優れているという根拠は少ないという結果がでています。ですから、タイトルにあるように脊椎固定術もまた優れてはいないということになります。
整形外科手術、非外科治療に対する優越性の根拠は少ない
一般的な待機的整形外科手術(緊急ではないけれど、必要に応じて計画的に行われる手術)の臨床的有効性を下の3つと比較
- 治療なし
- プラセボ
- 非外科的治療
無作為化比較試験のメタ解析およびその他のデザインの試験のアンブレラレビュー(複数のシステマティックレビューをさらにまとめて俯瞰する)を実施。
簡単にいっちゃえば、手術と①②③を比較した研究をまとめたわけ。


システマティックレビューを更にまとめて俯瞰する方法なので、超最上級の論文と言えます。
- 関節鏡視下前十字靱帯再建術
- 関節鏡視下膝半月板修復術
- 関節鏡視下膝半月板部分切除術
- 関節鏡視下回旋筋腱板修復術
- 関節鏡視下肩峰下除圧術
- 手根管除圧術
- 腰椎除圧術
- 腰椎固定術
- 人工股関節全置換術
- 人工膝関節全置換術
の10種を評価。
その結果、無作為化比較試験の根拠から⑥手根管除圧術および⑩人工膝関節全置換術の非外科的治療に対する優越性が裏付けられた。
手術の利益があるのは⑥と⑩だけ。
⑨人工股関節全置換術や②半月板修復術を非外科的治療と比較した無作為化比較試験はなかった。
残り6種の手術は非外科的治療を上回る便益はない!
つまり、関節鏡下前十字靭帯再建術、関節鏡下膝半月板部分切除術、関節鏡下回旋腱板修復術、関節鏡下肩峰下除圧術、腰椎除圧術、腰椎固定術は手術をしない保存療法とくらべてメリットが無いと言えるのです。


神経根傷害で脊椎固定術は、活動障害、長期欠勤、復職困難が増加
椎間板の変化、例えばヘルニアや突出への手術方法はいろいろあるらしいですが脊椎固定術という方法は、最も手術後の生活に影響を与えるようです。


最近うちにいらしゃる患者さんで、手術を勧められたと仰る方は少ないです。これも時代の変化だとおもいます。スマホの普及とともに、ご自身で調べる方が多いです。いいことですよね。
■脊椎固定術を受けた労災患者と保存療法を受けた患者を比較した後ろ向きコホート研究によると、椎間板変性、椎間板ヘルニア、神経根障害と診断された労災患者の固定術は、活動障害、オピオイドの使用、長期欠勤、復職困難を増加させる。
腰椎の手術の中でもっとも費用対効果の悪い脊椎固定術はそろそろやめたほうが患者さんにとっては良いのではないかと思います。
脚に痺れがある場合、単純な腰痛などとくらべて回復に時間がかかるものです。カイロプラクティックのアジャストメントも大きな効果は期待しない方が良いです。痺れが軽度であれば、回復は早いのですが、歩行困難があるような状況ですと、数か月かけてゆっくり回復していくものだとご理解ください。


運動療法を中心とした保存療法で経過観察をしていきます。
慢性腰痛患者の脊椎固定術
整形外科でたまに行われる、脊椎固定術。術後は、永久(永続)的な身体障害に至る比率の高いことが、新しい研究で明らかにされたようです。
研究では、米オハイオ州で1999~2001年に職務中の損傷により慢性腰痛(3ヶ月以上つづく腰痛)となった労災認定患者の中から、脊椎固定術を受けた患者725人、運動や理学療法などの保存療法を受けた患者725人を無作為に選出
2006年の研究終了時、治療成績(アウトカム)のほとんどの項目で外科手術群の方が劣っており、2年後に職場(仕事)復帰していたのは手術群では4分の1、非手術群では3分の2だった。永久的な障害に至った患者は手術群では11%、非手術群では2%であった。
執筆者の一人である職業医学医のTrang H. Nguyen氏は、「脊椎固定脊椎固定術は、隣接する脊椎骨を1つに固定することによって背部の変性症状を治療するもので、1990年以降220%増加しているという。


「今回の知見は、これまでの研究と一致するものであり、新しいものではない」とNguyen氏は付け加えている。
保存療法の立場としては、癌や骨折以外の場合は、脊柱固定術という外科手術は絶対にやめておいた方が良いですよとしか言いようがありません。もしお医者さまに提案されたら、お話をして他の方法がないかを模索してみましょう。
椎体固定術によって椎間板疾患患者の痛みは改善しない
カイロプラクティックを受けた事がない方は、諦めるか手術をするかの選択で悩む事があると聞きます。
腰の手術にもいろいろありますが、今回は腰椎 および腰椎仙骨の固定術の治療成績についてです。
1979年~2000年の20年間に発表された腰椎および腰仙骨部の固定術に関する論文244件を調査した結果、固定術の技術が次々と開発されているにもかかわらず、椎間板疾患患者の治療成績は改善していないことが判明。
Bono CM, Lee CK. Critical analysis of trends in fusion for degenerative disc disease over the past 20 years: influence of technique on fusion rate and clinical outcome. Spine (Phila Pa 1976). 2004 Feb 15;29(4):455-63; discussion Z5. doi: 10.1097/01.brs.0000090825.94611.28. PMID: 15094543.
脊椎固定術を受けた患者6,677名の治療成績を検討したこの研究によると、様々な形のインストルメントを使用した場合の癒合率は90%、自家骨移植片を使用した場合の癒合率は84%と、両者間にほとんど差はありませんでした。
また、ぺディクルスクリューのインストルメンテーションや固定ケージのような新技術を用いても、患者の治療成績の改善は得られてないようです。固定術の選択かどうか悩んでいる方が読んでくださることを祈ります(-“-)









