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伊藤孝英
カイロプラクティックそのまんまサンシャイン院長
RMIT大学(ロイヤルメルボルン工科大学)日本校卒業。B.C.Sc(カイロプラクティック学士), B.App.Sc.(応用理学士)。従来の筋骨格系障害としての腰背部痛という観点から、生物社会心理的要因としての腰背部痛へとシフトチェンジしてマルチモデルで腰痛ケアをしています。鬱・不安などの気分障害で過度な薬物療法に疑問をお持ちの方もお気軽にお問い合わせください。
そのまんまサンシャイン公式ホームページ
筋骨格系の症状はもとより代替医療のセカンドオピニオンもお気軽に聞きにきてください。https://chirosonomanma.com

コレステロールを下げる薬(スタチン)服用歴と腰痛など身体の痛みの関係

薬の前で腰を押さえる男性
スタチンは少しだけ痛みの発生を増やす

ある程度高齢になってくると多くの方が疑問を持たずに服用している血液サラサラ薬、スタチン。これを飲んでいるグループの方が比較的痛みが出やすいという研究です。

2008年の研究なので少し古い研究ですが参考にはなります。

目次

30日以内のスタチン服用で身体の痛みは約6%上昇

■40歳以上の地域住民3,580名を対象にスタチン服用歴と腰部・頚部/上背部・上肢・下肢の疼痛との関連を調査した結果、過去30日以内にスタチン服用群の22%が1ヶ所以上の疼痛があったのに対し、スタチン非服用群の疼痛は16.7%だったことが判明。

下肢痛の有病率は、スタチン非使用者と比較して、スタチン使用者の間で特に高かった (10.7% vs 6.4%)。

冠状動脈性心疾患の存在は、独立して下肢の痛みとも関連していました (OR、2.03)

また自己申告による健康状態が良好/非常に良好である場合と比較して、健康状態が普通/不良である場合、いずれかの領域 (OR、2.85)、首 (OR、3.66)、上肢 (OR、3.15)、腰 (OR、2.79)、および下肢 (OR 3.24)で痛みを訴えた。

男性と比較して、女性は下肢痛のオッズが高く (OR 1.43)、腰痛のオッズが低い傾向にあった (OR 0.65)。

喫煙したことがない人と比較して、現在の喫煙者は、より多くの下肢の痛み、腰の痛み、および全体的な痛みを報告 (下肢痛OR 1.69; 腰OR, 1.59;  全体的な痛みOR, 1.48)。

身体活動もアルコール摂取も、二変数モデルまたは多変数モデルのどの領域でも筋骨格痛と関連なし。

BMI も ABI(上下肢血圧差) も (ABI ≤.97 に基づく末梢動脈疾患も、ABI <.69 に基づく重度の末梢動脈疾患も)、多変数モデルでは筋骨格痛と関連なし。

スタチンを使用した人の多変量調整オッズ比 (95%CI; p値) は、 あらゆる筋骨格痛について1.50 (1.07–2.11; p = .01)、腰痛の場合1.59、は 脚の痛みは1.50 (1.02–2.22、p = .03) 。

Buettner C, Davis RB, Leveille SG, Mittleman MA, Mukamal KJ. Prevalence of musculoskeletal pain and statin use. J Gen Intern Med. 2008 Aug;23(8):1182-6. doi: 10.1007/s11606-008-0636-7. Epub 2008 May 1. PMID: 18449611; PMCID: PMC2517983.
そのまんま伊藤

オッズ比というのは、ある一時に限って計測する方法らしいので、実際にに皆様が想像する「リスクの比」とはニュアンスが違うようです。

スタチン(コレステロールを下げる薬)には意外な副作用があるようです。筋骨格系の症状を訴える患者さんはスタチン服用歴も要チェックということでしょうか。

カイロプラクティックの問診で特に下肢痛がある方には訪ねてみてる意義はありそうです。

お薬
スタチンが痛みを増やしてるかも、イメージ図

これは単純にお薬の作用と受け止めることもできますし、高コレステロール血漿の方=身体の痛みを訴えやすい、なぜならライフスタイルが良くないからというように考えることもできます。

最近の研究では運動や食事といった個人の努力ではどうしようもないほど、遺伝の影響が大きいと言われている高コレステロール血症。

私自身もHDLが高いので要注意なのですが…確かに生活習慣だけでは正常値に近づくものの、なかなか正常範囲に入らないです。

いずれにせよこのレポートでは、30日以内にスタチンを使用したことのある人は、スタチンを使っていない人よりも、より痛みを感じている人の割合が服用していない方に比べると高いということです。

しかし研究の限界もあり

  • 筋骨格痛とスタチン使用の時間枠は、インタビューの前月のみを参照しているのでスタチンの使用期間や、非使用者が最近スタチンを中止したかどうかはわかりませんでした。
  • スタチンの種類ごとに転帰を評価するのに十分な数のスタチン使用者がいなかったこと、また用量情報が不足していたため、スタチンの筋肉関連の副作用の要因であることが示されている、より高いスタチン用量との関連性を調べることができていない

などが今後の研究でさらに考えなければならないこと。とはいえ著者らは「スタチンを使用する個人が経験する筋骨格痛のほぼ4分の1の原因である可能性があることを示唆している。」と締めくくっています。

こういう薬物と痛みの関係の研究がより増えてくると、われわれ代替医療の人間も患者さんを把握しやすく、ご説明しやすいですね。そういう方向になっていくことを望みます。

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