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伊藤孝英
カイロプラクティックそのまんまサンシャイン院長
RMIT大学(ロイヤルメルボルン工科大学)日本校卒業。B.C.Sc(カイロプラクティック学士), B.App.Sc.(応用理学士)。従来の筋骨格系障害としての腰背部痛という観点から、生物社会心理的要因としての腰背部痛へとシフトチェンジしてマルチモデルで腰痛ケアをしています。鬱・不安などの気分障害で過度な薬物療法に疑問をお持ちの方もお気軽にお問い合わせください。
そのまんまサンシャイン公式ホームページ
筋骨格系の症状はもとより代替医療のセカンドオピニオンもお気軽に聞きにきてください。https://chirosonomanma.com

坐骨神経痛のエビデンスと意見

腰を押さえる坐骨神経痛の男性

カイロプラクティックの臨床をやっていると「坐骨神経痛なんですけど」と訴える患者さんは少なくない。

まずは代替医療の立場での意見を書いて、それから手術やお薬、硬膜外ステロイド注射などのエビデンスを列挙します。

効果がないという研究も多く、短期間の効果は望めたり、合う人には合うけど、そうでない場合もあると言えます。

目次

本当の意味での坐骨神経痛は非常に少ない

「坐骨神経痛が何年もある」と訴える方も、多くいらっしゃいます。しかしながら専門的な立場から言わせていただきますと坐骨神経痛だと思われるものは非常に少ないです。

1)神経痛の感覚とは

元来神経痛というものは、神経の分布している領域すべてに痛みが発生します。私がよく例え話に出すのは、肘の内側をテーブルにぶつけた時の例です。この時は、尺骨神経(しゃっこつしんけい)に直接刺激が入ります。

ぶつけた所から、小指の先までつながって非常に痛いです。あれが神経そのものが痛んだ時の感覚です。

2)坐骨神経の支配領域

坐骨神経の解剖の図。黄色い線で強調してあります。

坐骨神経といえば、解剖学的にはお尻から足の裏まで繋がっています。つまりどこかで何らかの痛みが起きれば、それより遠位、足先まで全部痛みを感じるはずです。

この黄色いラインにそって足裏まで全部痛い状態坐骨神経痛と言います。どこで痛んでいるかにもよりますが、痛んだ場所を含めてそれより足先までは全部繋がって痛いです。

カイロプラクティックの臨床で出会う、多くのケースは太ももの裏だけを指す、お尻のあたりが痛いとか、フクラハギだけ部分的に痛いことなどを「患者さんが勝手に坐骨神経痛と呼んでいる」だけの状態です。

お医者さまに、そのように告げられることもあれば、仲間内での会話でそのような理解になったりだとさまざまだと思います。症状の改善にむけて、構造上の理解が必要だと思い、このような記事を書いています。

診断名が変わったヘルニア、座骨神経痛

この足への痺れや痛み学会や医学雑誌、ガイドラインでは「神経根症状」に統一されています。それは椎間板ヘルニアなどの構造的変化を疾患名にすると、治りが悪いことが統計的に明らかなためです。

簡単にいうと「構造の変化を疾患名にしないほうが全体的みて良さそうだ」ということです。

業界の話になります。日本での診断名は保険レセプトが通過しずらい場合もあるようで、原因疾患として椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症と書かざるおえないそうです。

医療改革で何とかならのか?これだけでも医療費がだいぶ浮くぞ。

診断名と画像診断はその後の患者さんの予後に大きく影響を与えるものですので、早期に変更したほうがよろしいのではないかとおもいます。

■神経根症状とは、「腰痛よりも片側下肢痛が重篤」「足またはつま先へ放散する痛み・しびれ・感覚異常」「SLR(下肢伸展挙上)テストで下肢痛が再現」「局所における神経徴候」で、発症後4週間以内は専門医へ紹介する必要がない。

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これも6週間以内に50%の患者が回復するグリーンライト(自己限定性疾患)です。青信号は万国共通のGoサインですから画像検査は不要とされています。

※自己限定性疾患は経過は良好で、時間経過とともに回復するのが解っている疾患のことです。ただし単純な腰痛と比べて6週間での回復率が50%と低めです。長期化する恐れがあるため経過観察は必要です。

臨床を通じて、筋膜の硬化が主な原因と推察

さて、臨床経験で感じたことを書いていきます。

患者さんの中には「坐骨神経痛」だと思い、いろいろな治療をしてこられた方も多いと思います。お話をお伺いしてみると、「半年以上経過してもなかなか良くならない」「お薬が効かない」なども聞きます。私自身カイロプラクティック臨床の中で戸惑うことも多々ありました。

戸惑いの中、マイオセラピー®という施術に出会い、深層筋、大腿骨に近い深さにアプローチすることが可能になると、症状の原因がよく分かるようになりました。

「坐骨神経痛」といわれる症状、言いかえると「神経根症状」も多くは筋肉、筋膜の硬化が原因だと考えられます。

直接痛みを出している部位を触れることができるので、患者さん自身も納得がいくケースが多いです。痛みの根源を触れる訳ですから痛い施術ですが、患者さんにとっても原因が解りやすいから、運動療法の意欲も沸きやすいであろうと私は感じています。

もしもそうだとすると、これから列挙する研究結果に納得がいくのではないか?と

坐骨神経痛でヘルニア手術1年後は同じだが回復スピード早い

これは坐骨神経痛にヘルニアの手術を早期に行うか、必要に応じて行うかを 比較した場合です。

坐骨神経痛の場合、腰部椎間板ヘルニア手術を選択する場合もあるようです。腰椎椎間板手術は、坐骨神経痛が6週間以内に解消しない患者によく行われますが、手術の最適なタイミングは不明

米国マサチューセッツでの比較対照試験。早期手術に割り当てられた患者と保存的治療に割り当てられ、必要に応じて手術も検討された患者で1年間のアウトカムは類似していましたが、早期手術に割り当てられた患者の方が痛みの緩和率と回復の認識率が約2倍速かった

Peul WC, van Houwelingen HC, van den Hout WB, Brand R, Eekhof JA, Tans JT, Thomeer RT, Koes BW; Leiden-The Hague Spine Intervention Prognostic Study Group. Surgery versus prolonged conservative treatment for sciatica. N Engl J Med. 2007 May 31;356(22):2245-56. doi: 10.1056/NEJMoa064039. PMID: 17538084.

これは少し解説が必要っすね。

6週で回復しなかった坐骨神経痛患者に、椎間板ヘルニアの手術をした場合、比較的早期に手術をしたグループは「どれくらい痛いか」「どれくらい回復したか」を認識するのが早かった。言い方を変えると、遅めの手術グループも同じくらい回復していても自分で回復したと認識するに至るのに時間がかかるそうです。

また1年単位でみると、手術しないグループと差はありません。これについては後の論文で説明します。

回復の認識が遅いことはカイロプラクティックの臨床でも良くあります。そのような時は認知行動療法を挟むことで、認識をでkりうビジュアルアナログスケールや日常生活動作、QOLにおて数値上回復していても、自分で判っていないことは非常に多いです。鬱や不安が関わっているのかな?と推察していますが、認知機能の低下があるとも言えます。

早期手術の場合は、何故ゆえに回復認識が早いのか理由は分かりません。

2023年のレビュー「人によっては手術もあり」

とはいえ、手術を検討している方もおられます。後悔のないように、全体像を理解して臨まれると良いと思います。

メタ解析の結果、下肢の痛みに対しては、手術後の早期には軽減効果が認められるものの、時間の経過とともに非手術群と差が小さくなっていき活動障害は手術後の早期から非手術との差が少ないことが明らかになった。

より具体的には、術後3カ月までは痛みに対する効果が「中」、障害に対しては「小」、3~12カ月ではどちらも「小」であり、12カ月時点の評価ではどちらも「わずか」と判定された。

研究者のLin氏らは「椎間板切除術が非外科的治療よりも有効であるとするエビデンスは低い、もしくは非常に低い」と結論付けている。

ただし「以前の研究でも同様のデータが示されており、驚くべきことではない。坐骨神経痛は、治療にかかわらず時間の経過とともに改善することが多いものだ」と解説。

一方で、「手術は症状を迅速に緩和する可能性があり、早期治療の選択肢と見なしても良いのではないか。手術のリスクとコストをメリットが上回ると考えられる患者にとっては、重要な選択肢となり得るだろう」と付け加えている。

Liu C, Ferreira GE, Abdel Shaheed C, Chen Q, Harris IA, Bailey CS, Peul WC, Koes B, Lin CC. Surgical versus non-surgical treatment for sciatica: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ. 2023 Apr 19;381:e070730. doi: 10.1136/bmj-2022-070730. PMID: 37076169.

最後の手術のコストをメリットが上回る患者というのは、具体的にはどのような患者なのかは、手術をしない私には解りませんが、以下のような研究もあります。

これは社会心理的な要因、生活習慣、性別が関係している問題のようです。

坐骨神経痛で早期の手術を検討している方は、参考になると思います。

手術で回復しずらい人達の共通項

腰椎椎間板切除後の術後の回復に影響を与える多くの要因はいくつかの証拠は、女性、喫煙、年齢の増加、社会経済的地位の低さ、教育レベルの低さなどの社会人口統計学的要因が、手術後の不利な結果と関連している可能性がある。
早期の手術(1年以内)により、術後の回復が早くなり、早期の結果が向上する可能性あり。
さらに、主な症状として腰痛の手術を受けた患者と比較して、足の痛みのために椎間板切除術を受けた患者はより良い転帰を示した。
椎間板ヘルニアのサイズと坐骨神経痛の長期転帰との相関関係を示唆する証拠はありませんでした。
ただし、より高い解剖学的レベルのヘルニア(L1-2、L2-3)は、より低いレベルのヘルニア(L3-4、L4-5)と比較してより悪い結果と関連していました。
いくつかの研究は、術後の回復が遅いことは失業とうつ病と相関していることを示唆しています。

Aljawadi A, Sethi G, Islam A, Elmajee M, Pillai A. Sciatica Presentations and Predictors of Poor Outcomes Following Surgical Decompression of Herniated Lumbar Discs: A Review Article. Cureus. 2020 Nov 21;12(11):e11605. doi: 10.7759/cureus.11605. PMID: 33240732; PMCID: PMC7681772.

簡単に書きますと、腰の痛みが少なく、脚の症状のために椎間板切除手術をする人は(この研究では1年以内)L4/L5のヘルニアなら有効かもしれない。でもこの手術が功を奏さない人は、女性、たばこ吸う人、年寄り、貧しい人、学びが少ない人、はたらいてない人、落ち込んでいるひとは、手術をしても回復が遅い。

なんで女性だと回復が遅いんでしょうね??他の要因は察しがつくのですが、考察したいところです。

坐骨神経痛への硬膜外ステロイド注射は確実根拠なし

これも皆さま良く耳にされると思いますが、硬膜外ブロック注射に効果があった方、あまり意味がなかったという声。

統計的には20年前から結果が出ているようです。

腰痛と坐骨神経痛に対する硬膜外ステロイド注射に関するRCT(ランダム化比較 試験)の系統的レビューを実施した結果、硬膜外ステロイド注射の有効性を示す科学 的根拠は見出せなかった

もし効果があるとしても短期間しか持続しない。

Koes BW, Scholten RJPM, Mens JMA, Bouter LM. Efficacy of epidural steroid injections for low-back pain and sciatica: a systematic review of randomized clinical trials. Pain. 1995 Dec;63(3):279-288. doi: 10.1016/0304-3959(95)00124-7. PMID: 8719528.

腰痛および坐骨神経痛への硬膜外ステロイドの有効性の批判的評価
5件の試験では、ステロイドを使わない群とくらべ、ステロイド群で最初の1か月以内に大きな痛みの軽減が示されましたが、8つの試験では、測定可能な利点は見つかりませんでした。

研究間の有意義な比較の障害には、患者集団、使用されたステロイドの種類、注射量、および注射回数の違いがあったので、硬膜外ステロイドが一般的な腰痛と坐骨神経痛に有効であるかどうかは、私たちのレビューに基づいて決定することはできない

Rozenberg S, Dubourg G, Khalifa P, Paolozzi L, Maheu E, Ravaud P. Efficacy of epidural steroids in low back pain and sciatica. A critical appraisal by a French Task Force of randomized trials. Critical Analysis Group of the French Society for Rheumatology. Rev Rhum Engl Ed. 1999 Feb;66(2):79-85. PMID: 10084166.

椎間板ヘルニアまたは脊柱管狭窄に続発する神経根痛に対する硬膜外注射の繰り返しを含むプロトコルを含む、11件のランダム化比較試験、1件の前向き対照試験、および2件の前向きコホート研究を良く調べたら、足の症状へ硬膜外ステロイド反復注射が結果を改善するかもしれないことを示唆していますが、証拠は結論を出すには不十分です。

Novak S, Nemeth WC. The basis for recommending repeating epidural steroid injections for radicular low back pain: a literature review. Arch Phys Med Rehabil. 2008 Mar;89(3):543-52. doi: 10.1016/j.apmr.2007.11.008. PMID: 18295635.

これらの研究をみると、坐骨神経痛に硬膜外注射を試す価値はりますが、効果があればラッキー、あっても1カ月くらいで良い方だな、そのような効果だな、という理解のもと試すと良いと思います。

効果がない人は、そのようなものだ、で済みます。これらの論文で証拠がありますから。

坐骨神経痛への鎮痛薬、効果不明

病院でお薬を処方されたけど、あまり効果を感じない、という声はカイロプラクティック臨床でもよく聞きます。それでも随分楽になったという声もあります。

ほとんど効果がなくて普通、効けばラッキーくらいの心づもりでいると気持ちは楽です。

坐骨神経痛患者への鎮痛薬を評価したRCT(無作為化比較試験)に関する論文23本を対象
に、鎮痛薬の効果をシステマティックレビューおよびメタ解析で検証。
非ステロイド性抗炎症薬、副腎皮質ステロイド、抗うつ薬などの効果を判断したエビデンスの質は中-低度でありり、「坐骨神経痛への一般的な鎮痛薬の有効性および忍容性は不明である」と結論された。

(BMJ 2012.Rafael Zambelli Pinto, PhD et al)

こうやって書くと、なかなか足の症状は手強いことが解ると思います。

カイロプラクティックの臨床でも「足の症状は時間かかりますよ」「少なくとも腕の痛みにくらべれば」と初診で伝えます。筋骨格系の役割を考えれば理由はわかります。

朝、起き上がった時から眠るときまで、基本的に脚で移動して、使っています。負担がかかっているのが脚、足、アシです。

冒頭にマイオセラピー®で深層筋を触ると、これが原因だと理解できるのは、結局脚の筋肉の疲労、機能不全だという場合が非常に多いです。

最近は少ない牽引治療…

よく耳にしますが、坐骨神経痛の症状に機械によるけん引治療を何年もしている人がいます。流石に最近は減りましたが。このことは50年前のデータで明らかにされています。

1975年の研究。ふるい。
坐骨神経痛患者を対象とした①牽引群と②シャムトリートメント(擬似牽引)群に割り付けたRCT(二重盲検ランダム化比較試験)によると、両群の間に差は認められなかった。

腰痛や坐骨神経痛に対して牽引が有効だという証拠はない。

(Rheumatol Rehabil. 1975.Rheumatol Rehabil. 1975 Nov;14)

驚きの今でも保険治療!!

腰痛だけでなく坐骨神経痛にも牽引の効果が認められません。牽引治療に関しては痛みをとる効果はないようです。でもあの牽引治療は気持ちいいですよね。

コパイロットに聞いてみたら「「介達牽引」という区分で、頚部・腰部を問わず、絆創膏やベルトなどを使って牽引する方法が対象になっているんだ。 とのこと。

🩺 腰部牽引の保険点数(介達牽引)

区分手技名点数備考
J118介達牽引(1日につき)35点

だそうです。クリニックに行って牽引をつづけても効果が無かった方は、半世紀前に効果がないことが解っている方法で、ケアを続けている?不思議な状態であることをご理解くだされば幸いです。

かくいうカイロプラクティックも

こちらは追記のCochranレビューです。腰痛も含めて、何の役にも立たないことが明らかだとか。手動牽引もかあ。うちのカイロテーブルの牽引も慰安なのかあ、とほほ。

Cochranレビュー更新:坐骨神経痛を伴うまたは伴わない腰痛の牽引

坐骨神経痛を伴う、または伴わない急性(4週間未満の期間)、亜急性(4〜12週間の期間)または慢性(12週間を超える期間)の非特異的腰痛を治療するための牽引を含む32件の比較対照試験のレビューになります。

著者の結論: わかったことは牽引治療が、単独で、または他の治療法と組み合わせて、腰痛の痛みの強さ、機能状態、全体的な改善、および仕事への復帰にほとんど、またはまったく影響を与えないことです。

腰痛の治療としての牽引の使用は、入手可能な最良のエビデンスによって動機付けられることはない。これらの結論は、手動牽引と機械的牽引の両方に当てはまります。

Wegner I, Widyahening IS, van Tulder MW, Blomberg SE, de Vet HC, Brønfort G, Bouter LM, van der Heijden GJ. Traction for low-back pain with or without sciatica. Cochrane Database Syst Rev. 2013 Aug 19;2013(8):CD003010. doi: 10.1002/14651858.CD003010.pub5. PMID: 23959683; PMCID: PMC6823219.

私も昔よく接骨院でひっぱってもらいました。背が伸びたような感じになります。

1臨床家としては、少なくとも腰痛に関してはコックス機能で牽引をして腰部筋への押圧は効果があると考えています。

理由は筋肉症状はストレッチ&プレッシャーが施術の基本であるからです。トリガーポイントには科学的根拠あります。

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