カイロプラクティックの臨床を始めて約20年。とても良くある質問の1つへの回答が、タイトルです。
腰痛患者にウォーキングを行ってもらった研究によると、第1級の証拠ではないもののある程度有効らしい。単純に考えて「歩くのは腰痛に効果がある」と言い切りたかったが、こんなことでも質の高いエビデンスが出てくるまでは、言い切るのは避けてきたのは馬鹿正直だからでしょうか。
いまは胸を張って患者さんに言います。「歩くのは慢性腰痛に効果ありますよ」って。
「歩くのは腰痛解消にいいですか?」という質問は多い

難しく考えずに…
先ずは歩こうよ!
この記事は、2021年に加筆修正しているのですが、その後もウォーキングと腰痛の記事は出てきているようです。この研究は小規模研究ですが、ある程度の効果は期待できそうです。
慢性腰痛の48人の参加者を対象にランダム化比較試験
Suh JH, Kim H, Jung GP, Ko JY, Ryu JS. The effect of lumbar stabilization and walking exercises on chronic low back pain: A randomized controlled trial. Medicine (Baltimore). 2019 Jun;98(26):e16173. doi: 10.1097/MD.0000000000016173. PMID: 31261549; PMCID: PMC6616307.
参加者は4つのグループに分け腰痛への効果を比較
①柔軟性運動、②ウォーキング、③腰椎の安定化運動、④ウォーキングによる安定化グループ。
参加者は6週間の各運動療法を受けた。
結果は、4つのグループすべてで慢性腰痛は有意に減少。
腰椎安定化グループとウォーキンググループの2つでは運動頻度が大幅に増加。
腰椎安定化グループでは運動時間が大幅に増加。
仰向け、横寝、うつ伏せの耐久性は、ウォーキンググループとウォーキングによる安定化グループで大幅に改善
慢性腰痛の方がウォーキングをすると、生活上で運動頻度が上がる、寝転んだ時の耐久性が特に上昇したようです。
この活動性が上がるということは、腰痛持ちの方には疑問に思えるかもしれませんが、活動性が上がれば不安や抑鬱が改善されますから、正のスパイラルに入っていきます。
これは痛みが改善している、という認知にも至りやすいです。妙に聞こえるかもしれませんが、実際慢性腰痛の方は改善していることを認知できないくらい、認知機能も低下していることが多いです。
メタアナリシス、高品質デザインでも有効
腰痛のウォーキングに関する4件の研究を分析したメタアナリシスだと、最高ランクの研究では効果が認められなかったものの、低~中ランクの3件の研究では効果が確認された。腰痛に対してウォーキングは有効である可能性を示唆。
1980年から2017年10月まで、6つの電子データベース(PubMed、Science Direct、Web of Science、Scopus、PEDro、Cochraneライブラリ)を検索。
結果:9件の 研究がメタアナリシスに適合。期間(短期、<3か月、中期、3〜12か月、長期、> 12か月)に従って分析。
低から中程度の質のエビデンスは慢性腰痛患者への歩行介入が、短期および中期のの両方で、痛みと障害の軽減に対して、他の非薬理学的介入と同じくらい効果的であったことを示唆
Sitthipornvorakul E, Klinsophon T, Sihawong R, Janwantanakul P. The effects of walking intervention in patients with chronic low back pain: A meta-analysis of randomized controlled trials. Musculoskelet Sci Pract. 2018 Apr;34:38-46. doi: 10.1016/j.msksp.2017.12.003. Epub 2017 Dec 12. PMID: 29257996.
やりましたね。低から中程度の質でありながら、メタアナリシスでウォーキングの効果が実証されたということです。

それにしても有難いっすね。一番簡単なウォーキングが腰痛に有効なら、こんないいことないじゃないですか!
ウォーキングで取り切れない腰痛は?
この質問もカイロプラクティックの臨床の中で非常に多い質問です。ウォーキングやヨガをやっているが腰痛が0にならない。
いろいろな運動を組み合わせて、腰痛を0に近づけていくという長い道のりをイメージしてみてください。
われわれは短絡的に考えて、これ一つで解決する絶対的なものを欲します。
しかしこと、慢性腰痛に関しては今の所、そんな便利なものは見つかっていません。
映画this is it にその答えが
この皆さんが思う疑問に対して、私が思い描いているイメージはマイケルジャクソンの映画【This is it】48min35secにダンサーのコンディショニングを語るシーンがあります。

「ダンサー最高のコンディションを保つために週に2~3回コンディショニングする。ピラティス、ストレッチ、理学療法、バレエもする。最高の状態を保つ。」


あのめちゃくちゃ動けるダンサーさん達も、週に2-3回何かしらのコンディショニングをしています。どれか1つでは足りないのです。
方向性は慢性腰痛患者でもトップダンサーでも同じです。それは「より動ける身体を作って保っていく」ということです。
この方向性を理解できれば、現存する腰痛ケアに不満を抱くことなく、前向きに改善していくと思います。
専門家が見いだせること
先に述べた比較対照研究は歩き方や、背骨の使い方、骨盤や股関節の使い方までは研究されていません。
なんでしないのか?と問われれば恐ろしく費用がかかることですし、24時間日常生活を観察するのは現実的ではありません。
ドクターある一定の方向に背骨が動かない、背骨の一部分の動きが悪いということは考察されていないので、効果が表れない方は、そういう部分をフィジカルトレーナー、ヨガの先生、カイロプラクターなどの専門家に診てもらったほうが良いと思います。
ただ歩くとか、ただ座るとか無意識で行えるレベルの運動は脊髄神経が憶えています。考えなくてもできる動きです。その動きに無理があれば、知らぬうちに筋を固めています。これをリハビリテーションすることで新しい使い方を少しずつ獲得していきます。
頭で考えた通りに身体が動いていない状態の修正には、それなりに時間を要します。そこに背骨のリハビリテーションの醍醐味があるわけで、一番面白いところでもあります。
背骨は人間の大黒柱ですから。
何はともあれ、ウォーキングは腰痛の治療に有効だという低~中等度の証拠が見い出されたわけです。








