友人のうつ病からの回復をみていて、カイロプラクティックの道に進んだこともあり、うつ病や抗うつ薬への関心は他のカイロプラクターよりも強いと思っています。
腰痛とうつ病との関連も指摘されており、一部の抗うつ薬は腰痛へも処方される時代。カイロプラクティックの臨床から感じていることも含めて、抗うつ薬の増量について記事にしてみました。
気を付けて、抗うつ薬の増量
頭打ちではあるものの、抗うつ薬の売り上げは高水準を保っています。一般的には落ち込んだ時は精神科、心療内科→薬物療法 という流れになるのが現代です。
それはそれですが、大切なのは初回の処方で効果が無い時にどう考えるか。患者さんの予備知識としても持っていても良い情報です。
初回の抗鬱薬に効果が無い人、その後増量しても効果がなし 研究報告


多くの鬱病患者は、どこの国でも抗うつ薬単独の療法に十分に反応しないことは多いようで、これは日本だけじゃないようです。
そして抗うつ薬の漸増、高用量がしばしばどこの国でも行われるため、オーストリアの医科大学で二重盲検無作為比較試験のメタ解析を行いました。


1208例で検証。薬剤の内訳は
- フルオキシトン=SSRIデプロメール、ルボックス 448例
- セルトラリン=SSRIジェイゾロフト 272例
- パロキセチン=SSRIパキシル 146例
- デュロキセチン=SNRIサインバルタ 255例
- マプロチリン=四環系抗うつ薬ルジオミール 87例
結果的に抗うつ薬を増量する方法は、
- 標準用量を継続する療法と比べ有効ではない
- 個々の抗うつ薬どれでも効果は変わりない
- これは症状の度合いによっても特に差はない
著者らは「メタ解析の結果から、初回の抗うつ薬治療において標準用量で治療反応が認められない患者への抗うつ薬増量療法は、うつ病に対する一般的なエビデンスベースの治療選択肢としてみなされない」としている。
原著論文はこちら
Dold M, et al. Psychother Psychosom. 2017;86:283-291.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28903107
この傾向は、2026年時点でも “増量が明確に有効” と示された抗うつ薬は基本的にないとされている。これはかなりはっきりしていて、 SSRI・SNRI・NaSSA いずれも「増量で効果が頭打ちになる」傾向は変わず
- 副作用が増える
- 離脱症状が強くなる(特にパロキセチン)
- 忍容性が下がる
という理由で、世界的には 「むやみに増量しない」方向がより強まっています。
カイロプラクティックの臨床をやっていると、パキシルを服用し続けている方や、サインバルタ、ジェイゾロフトを常用している患者さんにも出会うこともあります。
そのような方に筋骨格系問題のケアを遂行しようとしても、私の思いこみかもしれませんが、積極的な運動療法に移行するのが困難な方が多い印象です。
サービス業としてのカイロプラクティックでもありますので、無理にアクティブケアを強要はしませんが、時より歯がゆい気持ちになるのも事実。
そもそも抗うつ薬は不要だという立場
私自身はカイロプラクティック道に進んでいることもあり、WHOの研究報告どおり、うつ病は抗鬱薬を処方しないほうが回復率は高いという立場です。
つまり患者さんの脳の問題ではないではなく、人生の危機に直面した時に出る人間の正常な反応という立場です。薬よりも、患者さんが必要としている人間関係や、食事内容、運動習慣の見直しなどを丁寧に行っていくと、自然と回復していく。自然治癒力が備わっていると考えるのがカイロプラクティックです。
WHOの報告によると、1年後は抗うつ薬を飲んでいないグループが一番治りがいいそうですよ。自殺念慮がない限り抗鬱薬は不要という立場です。お薬を全否定はしませんが、知っておいても良い情報だと思います。
日本列島薬漬け
とある精神医療関係のブログから精神科医の末田耕一先生の存在を知りました。
精神科医の立場から多剤処方の問題をご指摘されています。日本列島薬漬けという状態に懸念を抱かれているようで多くの賛同者がいらっしゃるようです。そのような検索ワードで関連記事を探していくと、腰痛に関する抗うつ剤処方を懸念する記事も出ていました。
朝日デジタルさんの記事にも、日本整形外科学会の腰痛診療指針において抗不安薬と抗うつ剤が推奨、と紹介されています。
確かに3か月以上の腰痛や肩こり、頭痛は抑鬱状態にあるのですが、抗鬱薬自体がプラセボより効果がなく、鬱の再発率をあげることが統計で解っています。希死念慮等なければいかなる理由であろうと抗鬱薬は避けるほうが中長期スパンでみれば避けたほうが望ましいと言えます。
うつ病や統合失調症への多剤処方をわたくしは大問題だと思っています。日本列島薬漬けはご自身の回りを見渡せばいくらでも確認できると思います。









