この記事は2014年に書いたものですが、2026年に加筆修正しています。オーストラリアは昔ワーキングホリデーでお世話になった国です。
滞在した都市が西オーストラリアのパースだったこともあり、とても牧歌的な雰囲気でした。
そんなオーストラリアもここ20年で経済成長をして、富める国となりました。その背景に国が本気で腰痛対策を行ったことも一つの大きな発展要因だったのではないかと、考えています。
冒頭にあるYouTube動画は、慢性腰痛がある方は大脳が5-11%萎縮してしまうという研究です。腰痛患者が増えれば増えるほど、建設的、創造的な人間が減ってしまう、と言えます。
人は腰痛になると不安、抑鬱になります。慢性化すれば医療資源の損失は莫大なものになるという研究結果もあります。腰痛問題を日本も本気で取り組むことが、いま言われている生産性を高めることに直結するものと確信しています。
著名人にTVでゴールデンタイムに語らせたオーストラリア政府
医療費の削減。これは先進国にとってどこも悩みの種です。
不思議の国日本は2012年末に日本腰痛学会と整形外科学会が診療指針を変更したそうですが、これが臨床現場に活かされる日は当分先だそうです。
オーストラリアでは政府がメディアを使って1997年に大々的に腰痛対策を行っています。昨今エビデンスを求める声を若者の中で上がってきていて何よりですが、オーストラリア政府は、芸能人やスポーツ選手にゴールデンタイムのCMで腰痛の新しい正しい概念について語ってもらいました。
日本だったら公共広告機構に例えば大谷翔平さんが出て、「腰痛は怖くありません。ほとんどの腰痛はレントゲン検査は必要ないです。怖がらずに日常生活をつづけましょう!」
というCMが日々流れると想像してみてください。
結果は腰痛部門だけでも医療費を大幅に削減できたそうです。
たしかビクトリア州だけで500万豪ドル削減だと記憶しています。日本では2026年現在、未だにルーティンでレントゲンを撮影して、画像にビビっている患者さんが未だに居るのを見ると可哀そうになる時もあります。
善悪両方でありますが、映像、画像の力は大きいようです。
■「腰痛に屈するな」キャンペーンでは『The Back Book』から抜粋した、
The+Back+Book.pdf
①酷い腰痛でも長期間の安静はとらない
②腰痛でも普段どおりの活動的な生活を継続し
③腰痛で仕事を休まないようにという明確なアドバイスが強調された。

このバックブックはカイロプラクティック臨床に役立っています。イギリスの公共団体が出している冊子です。これは旧バージョンになります。簡単に言えばActivity is Good.です。 怖がって動かないと慢性化のリスクが高まるよ、と書いてあります。
腰痛キャンペーンの主要なメッセージ

- ゴールデンアワーのテレビコマーシャル(腰痛には日常生活が一番など日本でいうと公共広告機構のようなCM)
- 新聞や雑誌の広告(腰痛は安心してください、2.3日が痛みのピークです等)
- 屋外看板広告
- ポスター
- 腰痛セミナー
- 職場訪問で伝えられ、さらに『The Back Book』を16言語に翻訳して広く配布し、ビクトリア州内のすべての医師にエビデンスに基づく腰痛診療ガイドラインを提供する
という徹底したものでした。
これらのキャンペーンは一流スポーツ選手やセレブなど著名人を起用して、腰痛は怖くなく自然寛解するものと訴え続けました。
そして並行して医療システムを変えました。腰痛患者に対してクリニックで初診に1時間をかけてお医者が説明、指導しシステム上にあるモニターで「あなたは画像検査は不要ですから、呼吸法の練習をしてかえりましょう」など丁寧な対応をするようになりました。それでお医者さまの収入が担保される形にしました。
日本医師会の方も、自民党に医療改革を勧めて欲しいです。
ひいては医療費の爆増にも繋がっています。このことはニューズウィーク日本語版の医療仕分けで指摘されています。
メディア報道が症状を引き起こす可能性

メディアの情報が病気を増やしているという研究です。(プラシーボ効果とは逆のノセボ効果といいます)
スポンサーからの収入の割合が大きいメディアでは、宣伝の為にありもしない病気への効果をお伝えすることも良くあります。いまだに広告、YouTube広告でも毎日見ます。その情報が症状を作り出している可能性があるという統計調査です。
情報自体が症状を引き起こす不思議
少し古いですが、携帯電話の電波が健康に害を及ぼすという噂があったころの研究です。
【方法】147人に電磁波が身体に悪いというBBCのドキュメンタリーテレビを観てもらったグループと(身体に悪いと言う根拠は今のところ無い)インターネットや携帯電話のセキュリティーについてのテレビを観たグループにわけました。そしてニセのWi-fi電波環境下に置いてそのことを伝えました。
The nocebo effect: Media reports may trigger symptoms of a disease
【結果】被験者の54%が、自分の指、腕、脚、足中の濃度やうずきの損失を動揺や不安を経験し報告したらしいです。そのなかでも高い不安を持っていた人達の中で最も症状が厳しかったことが明らかになったとしている。
6-May-2013
これ、日本なら「膝の軟骨が」とか「腰の関節や椎間板が」の組織損傷を連想させる映像を流して、サプリメントを販売している業者、それを広告収益にするメディアが直ぐに思いつきます。
あの映像をみていると、それを連想します。私もこの仕事をする前は、手探りで情報を集めつつ、あのような映像に影響を受けていました。
人間は万物の霊長です。目先の利益ばかりを見ていると、大損をしてしまうことになります。
正確なデータ提供を確認する必要
最近ではネットの発達で、すこし情報が間違っていたり不十分だと市民が機関を叩きます。2026年になるとAIでエビデンスがあるのかどうかを簡単に確認できるようになりました。
情報が人間をコントロールしてしまうことが多々ありますから、いかに正確な情報が大切であるかが解かります。
プラシーボ効果は有名な言葉ですがノーシーボ効果(ノセボ効果)は聞いたことがある人は少ないかもしれません。グーグル先生に聞いてみると『全く効果のない薬でも思い込みによって副作用が出てしまう効果のこと』とあります。
上記の実験でノーシーボ効果が現れた方はある意味素直な方なんでしょうね。いろんな部分で正確な情報の重要性が指摘されています。
健康情報を得る時の基本を学ぶには、医療ジャーナリストの朽木誠一郎氏の本がおススメです。
まとめ
このように腰痛問題は社会問題です。大きな社会問題そのものです。オーストラリアは政府が率先して仕組みを変える勇気がありました。そして繁栄を謳歌しています。
わたしたち日本人にも出来ることです。一人でも多くの方に情報が伝わることを祈っています。







