肩回りの症状もカイロプラクティックでは良く遭遇します。50代にもなると、なかなか治らなかったり、意外と手強い状況もあります。地道に施術をしていけば確実に改善しますが、手術をすれば1発で改善するかもしれないと、期待する患者さんもおられます。
統計的にみて、肩の手術で考え直した方が良い方法がいくつかあるようなので、記事にしておきます。
肩のインピンジメント症候群への関節鏡視下肩峰下減圧術
肩のインピンジメント症候群(肩が上がらない時の診断の一つ)に関節鏡視下肩峰下減圧術という手術があるようです。
フィンランドの公立病院で210人を対照に3つのグループに分けたランダム化、2重盲検による疑似治療を含む比較対照試験が行われ、関節鏡視下肩峰下除圧術は臨床的な意義は無いという結論の論文がBMJに出されました。
患者は一貫して肩インピンジメント症候群と診断を受けた210人
3グループの分け方以下のよう
- 実際に関節鏡下除圧術を受けたグループ
- 肩に穴をあけて手術しないけど本人には手術しましたと伝えたプラセボグループ
- 運動療法をしたグループ
この3グループを2年間のフォローアップした分かったことは以下の事
これからインピンジメント症候群へ、関節鏡視下肩峰下除圧術を検討されている方は考えなおしたほうが良さそうな研究結果ですね。
2年間のフォローアップというのもポイントで、運動療法や手技療法+運動療法でも地道に時間をかけて可動域を回復していく必要があります。
カイロプラクティック臨床現場でも功を急ぎ過ぎる傾向の患者さんに遭遇することがあります。40代くらいまでなら、結構はやく改善していきますが、50代意向はそれなりに気合をいれて向き合う必要がある、肩周りの症状。参考になれば幸いです。
関節鏡視下肩峰下除圧術


肩の痛みで一番多い「肩峰(けんぽう)」と呼ばれる部分。この下の圧を下げる手術のお話です。
これも先ほど同様3グループに分けての追跡調査。
- 肩の痛みへの関節鏡下肩峰下減圧術手術と
- 手術と見せかけて手術しない偽手術
- 経過観察(なにもしない)
3種類で6か月後、12か月後の回復率を比べても差がなかったようです。実際の結果は6カ月後および12カ月後のいずれの時点においても、経過観察群を含む全ての群で肩の症状が改善していたのです。
ぎっくり腰もそうですが、日にち薬が一番大切だというデータは多いです。その中でそれくらい適切な対応をするかによって差がでる場合もあります。
手術の種類は「関節鏡視下肩峰下除圧術」(かんせつきょうかけんぽうげんあつじゅつ)という手術で、イギリスではここ数年で手術数が増えている方法のようです。英国ではその実施件数は2000年の2,523件から2010年には2万1,355件に増加している模様。


日本ではどうか、チャッピーに聞いてみると肩関節鏡視下肩峰下滑液包切除術、肩峰形成術(肩峰下除圧術)などの名称で保険算定されるが、手術件数は減ってきている模様。慌てて肩の手術をする必要はなさそうですが、以下のケースで検討されることがあるよう。
- 3〜6ヶ月以上の保存療法(リハビリ・注射)が無効
- 骨棘が大きく、機械的な衝突が明らか
- 明確な肩峰下インピンジメント徴候
- 腱板断裂がない、または軽度
- 仕事やスポーツで肩を酷使する人
研究と照らし合わせると、3~6カ月での判断は少し早いかもしれませんが、患者さんの要望もあるかもしれませんね。病院経由でカイロプラクティックにいらっしゃる方の肩を拝見すると、積極的なリハビリテーションを行う余地が非常に残されているケースがほとんどです。
肩峰の痛みの特徴
ラドバウド大学医療センター(オランダ)のBerend Schreurs氏は、「信頼に足る研究グループによる今回の報告が、今後の日常診療に変化をもたらすことを期待している。合併症リスクが低くても得られるメリットがなければ高額な外科手術を実施すべきではない」としている。
手術は日本では関節鏡視下肩峰下除圧術は保険適用で、総額は35〜70万円、自己負担は10〜20万円程度。高額療養費制度を使えば8〜9万円に収まることが多い。
医療財源まで考えた場合は、カイロプラクターの立場では積極的リハビリテーションをしたほうが良いだろうと思います。














