忙しい日本のお医者様の日常ではなかなか納得のいく診療というのは難しいのが日本の医療の現状かもしれません。
40肩.50肩ですと回復に必要な期間は教科書的には1カ月~2年、長いと4年、臨床上良くて半年というのが医療業界の一般的な解釈ですから、1.2回の通院でどうにかなるものでもありません。
それでも何か対処法を学びたい、運動やストレッチで回復期間を縮めたい方も多いと思います。
このページでは40肩患者のカイロプラクティック症例を通じて、回復までの青写真や必要なこと、患者さんの満足度も含めてお伝えしていきます。
目次
40肩になって2週間の40女性 整形外科では診てもらった気がしない
先ず患者さんは40代女性で、「40肩で右肩が急に上がらなくなった」ということで、カイロプラクティックにセカンドオピニオンを聞きに来てくださいました。
急に右肩が上がらなくなって不便で仕方ないが整形外科では「しっかり診てもらった気がしない。」とのこと。カイロプラクティックは初めてですが、少しでも楽になればとおもい来院。
40肩の痛みと状態:症状は2週間で90度しかあがらない
- 2週間前から急に肩が上がらなくなって、服を着る時など不便
- 右肩を90度以上あげようとすると、ズキッとした痛みがでる
- 回復の兆しが見られないので心配
多くの40肩・50肩の患者は「急に上がらなくなって」という表現をします。
現実的には肩が上がらなくなっていたのは前からで「急に痛みが激しく出るようになって」だと思います。
肩が上がらなくなる角度、方向は人それぞれですが服の脱着、手を後ろに回した時に前側が痛いという方が多いです。
冒頭の説明にあるように教科書的には1-2年という記載です。エビデンスでは 発症2カ月半-9カ月)では痛みが一番強い時期にあたり、2週間では当然回復の兆しは無いことが殆どだと思います。
これを凍結期といいます。ここでは短期的な痛みを抑えるステロイド注射が推奨されています。その注射は整形外科では行われていないです。
検査:肩甲骨周囲の筋肉の緊張
- 脇の下の筋肉の緊張(大円筋、小円筋、肩甲下筋)があるのでゆっくりリリースする
- 鎖骨の動きを検査して、動きをつける
- カイロプラクティックなので、背骨の調整を行う
- 自宅で取り組めるピラティスフロアーレッスンを伝える
40.50肩は先述の通り、生活に障害が無い範囲で肩関節の可動域の低下が徐々に起きていることが多いため、実際に痛みを出している三角筋、小胸筋などの筋組織以外にも短縮、伸張しずらくなっている筋、関節が必ずあります。
早晩それらの機能回復が必要になってきます。
エビデンスでは50肩発症後4-12ヶ月で可動性を増やす理学療法、運動療法を推奨していますが、カイロプラクティック治療でできることは、理学療法、運動療法ですので2週間の段階でも悪化させないように施術をしていきます。
先の関連記事にエビデンスがあるように、整形外科ではステロイドやヒアルロン酸注射で部位ごとの痛みを取っていきます。取り切れないことが多く、注射の回数も複数回必要です。
ご感想
時間をかけてしっかり診てくれたので満足度は高いですよ。
来院目的のセカンドオピニオンが聞けて良かったです。
また自分でできるエクササイズを教えてくれるので助かります。
回復までの青写真を示してくれるので見通しが立ちました。
すぐには回復しないだろうが、回復の兆しが初回から感じられたのも良かった点です。
院長コメント:あまり意識しない肩甲骨の動き
痛み自体は三角筋の筋硬結が直接だしていることが多いと私は思います。
旧来の整形外科学の教科書には棘上筋腱の石灰化とありますが、その部位単一に原因を求めるのではなく肩甲骨周囲の機能全体が低下した結果であると思います。
肩の関節が固まる原因は幾つかありますが、肩自体が上がらなくなるのは肩甲骨の動きの低下が大きな要素であることが多いです。まずは施術で動きを誘導してあげることで動きを回復させます。
カイロプラクティック治療は腰痛治療の研究からも満足度においては非常に高いです。単純な理由の一つに時間をかけて対応することが挙げられます。
40肩の可動制限にピラティスのレッスン
この方は、初回の治療で、腕が90度しか上がらなかったのが120度まであがるようになりました。
痛みが強い時は無理はしませんが、ピラティスのアームサークルのレッスンなどを取り入れて、自宅で毎日運動してもらいます。このような多角的なとりくみで、多くの50肩の症状は早い段階で改善していきます。
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40肩・50肩 エビデンスと対処法
40.50肩治療の科学的根拠を列挙してあります。