この症例は脊柱管が狭くなっているという診断が出て心配になっている方の症例です。
代替医療者のセカンドオピニオンが聞きたいということで来院しました。同じように診断が出された結果心配になっている方の参考になれば幸いです。
目次
60代女性主婦 歩くときに脚に痛みがある
年齢を重ねた方が「歩くときに脚が痛い」と訴えると第一に考えるのが脊柱管狭窄症だと思います。
そのような様態ですと「脊柱管狭窄症」の診断が出されます。様態と書いたのには理由があります。後ほどご説明します。
それでは実際どのような状態だったかを見ましょう。
- 50代から10年近く腰痛がある
- 2年前から時よりお尻にも痛みも出ていた
- 歩く時に腰に痛みがある…
もともと腰痛持ちの方で、症状が広がってきているような印象です
痛みと状態:日常生活は問題ない
問診では詳しく状況をお伺いしています。そうでないと生活の状況がつかめません。
ポイントは「安静にするようアドバイスを受けてきた」
腰痛は昔からあったのですが、歩くときに腰に痛みが出てきたんです
5年ほど前からですが、2年前から腰痛が重くなってきて…
重い腰痛というと生活に支障がでますか?動けなくなるなど…
いえ、日常生活に問題はないのですが、こう、お尻にじわっとした痛みが出ることがあるんです。
それで2週間前にレントゲンで「脊柱管が狭くなってる」と言われたんです。
そこの医療機関では「できるだけ安静にするように」とアドバイスを受けましたがセカンドオピニオンを聞きたくて。
かなり不安が強かったので 、さまざまなデータを出して統計情報から今ある状況を説明しました。以下のような情報です。
高性能の画像診断の普及によって1990年代から脊柱管狭窄症が増加したが、100名の脊柱管狭窄症患者(平均年齢59歳)の臨床症状と画像所見(単純X線撮影・脊髄造影・CT)を比較した結果、両者間に関連性は見い出せなかった。
念の為に解説すると、「症状と画像に映った狭窄症の関連性がない」ことが分った。
過去100年間の腰痛に関する話題のほとんどは整形外科的な解釈と治療の話で、解剖学的損傷とそれを治す方法を見つけ出そうとしてきたが、こうした非常に機械的(mechanical)な方法は失敗だったことが判明している。
Back letter 2000年5月-第15巻-第5号 https://journals.lww.com/backletter/toc/2000/15050
これは脊柱管狭窄症に限った話ではないですが、腰痛全体にいえることとして「身体が壊れて腰痛になるという考え方が間違っている」ということです。
検査;時間をかけて問診
もともとウェブページをみて意見を聞きたいとのことなので、多くの時間を問診に費やしました。
細かい質問をしていき、具体的に状況を判断
解剖学の図や、神経の役割などの資料を使用してレクチャーして構造や働きを理解していもらいます。
- 問診にお時間をかけて、状況を判断
- 解剖学の図や、神経の役割などの資料を使用してレクチャー
- 手技での確認で痛みを出している筋肉があったので、緩和操作
- 脊柱のマニピュレーションで関節可動域を回復
- 前屈、後屈も問題なくできる
- 整形外科的な検査で、痛みを誘発することはない
画像診断の結果と臨床症状には何の関連性もありません。統計的に証明されていることです。このような具体的な研究例を出してご説明していきます。
すでに研究者の間では腰痛を生物学的な「損傷」として捉えるのではなく、様々な要因によって生じる生物・心理・社会的症候群という考え方が定着しています。
脊柱管狭窄症のエビデンスですが、詳しくは以下のページをご参照ください。
大きな安心を得られらました。 セカンドオピニオンがしっかり聞けて良かったです。
丁寧に説明してくださって、大丈夫とういうことが解かって安心しました。初回の来院で、腰も気持ちも軽くなりました。
膝や腰といった筋骨格系疾患は運動が基本
通常X線だけでは、脊柱管が狭いことは確認が困難です。
問診と検査からも安静を促すような状態ではないと判断しましたので、私なりに運動やストレッチをすることが大切だという意見を致しました。
ご自身で判断することが大切
最後はご自身で判断することが大切ですが、いろいろな意見、いろいろな方向からの情報があったほうが良いでしょう。
そのまんまサンシャインでは最新のデータを参照しながら、臨床経験をまじえて展望をお伝えしています。「脊柱管狭窄症」という言葉は病態、状態を表す言葉ですから深刻に考えないでお気軽にご相談ください。