座っている時に出やすい腕の痺れへのカイロプラクティック症例を通じ、どう考えどう対処すべきかを考えるページです。長年続く頚椎症状にお悩みの方の参考になれば幸いです。
座ると出る左腕痺れと首の痛み:10年続く頚椎症状に悩む30代男性
男性「この症状は年に数回あり、もう10年近くこのような症状が出たり出なかったりしています。今回は1ヶ月前から、腕を前に出したときに出る左腕の痛みがあり、座っていると特に強くなります。病院ではこれまで何度か頚椎ヘルニアの診断を受けています」



院長「そうですか。10年も繰り返していると、お仕事や日常の姿勢もかなり気を使われますよね。具体的に左腕のどのあたりに症状が出ますか?」
何度か受けた頚椎ヘルニアの診断と、慢性化する背景



左肘周辺、左薬指、小指の手の甲側にうっすらとして痺れ感があります。
あと首の左側の付け根に鈍い痛みがあります(手の平で指す)



なるほど、二の腕辺りはそれほどでもないのですね。
今回のような悪化は初めてですか?



いえ、5年ほど前にも腕までの症状がありました。その時はほぼ眠れませんでした。
今回は痛みが酷い時は眠れないですが、その時ほどではありません。
あ、あと左肩甲骨の内側も痛いです…



問診表にも書きましたが、大学時代に頚椎椎間板ヘルニアと診断を受けていて、すごく気にしています。それが原因なんですかね?



西洋医療では先ず画像診断ありきで物事が進められるため、すこしでも頚椎椎間板に異常がみつかれば、原因が「椎間板ヘルニア」という具合で話が進められます。
当院ではヘルニアはさほど気にしなくて良いことを根拠を基に主張しています。
腕の痺れ(頚部神経根症状)は基本的に2〜3ヶ月はカイロプラクティックや針、運動療法、理学療法、薬物管理などのいわゆる保存療法で管理するのが学術的・臨床的な結論です
Woods Bl, Hilibrand AS. Cervical radiculopathy: epidemiology, etiology, diagnosis, and treatment. J Spinal Disord Tech. 2015
神経学的検査とカイロプラクティック的アプローチ
問診や神経学的検査を丁寧に行い、首の動き(可動域)や座位姿勢における不良アライメントが神経根や周辺の筋群にどのような負担をかけているかを評価します。長年の経過であっても、構造的な問題だけでなく機能的な改善の余地を見極めることが重要です。
複数の検査で症状を誘発
- 肩甲挙筋、斜角筋群から腕の痺れが誘発されるため、トリガーポイントと判断してカイロケア
- トリガーポイントを除去しても日常的な腕の症状が残ったので再検査。
- 脊柱起立筋の機能低下が根本原因と判断(座り姿勢が悪い=姿勢性の痺れ)
- 姿勢指導と柔軟性が低下した筋肉の柔軟トレーニングと体幹筋の強化
- 頚椎ヘルニアに関する、認知的再教育
- 日々行って頂いているストレッチに+αで行うストレッチの適宜追加(アクティブケアを増やして良い状態を維持できるようにしていきます)
この方のように年単位で症状をお持ちの方は、複合的な要因が絡みあっています。西洋医学と違うところはカイロプラクティックは全体的に診ていくところです。
患者さんのご感想「新鮮な気づき」



痺れの原因が姿勢にあるとは思いませんでした。
論理的に説明してくれたので、解かり易かったです。
腕の痺れにも効果的な「姿勢筋再教育」
頚椎ヘルニアや腕の痺れというと、首そのものばかりに注目しがちですが、実際には「座り姿勢」における体幹や肩甲骨周りの使い方、すなわち姿勢筋のアンバランスが大きく関与しています。
受動的な施術だけでなく、ご自身で体をコントロールする「姿勢筋再教育(アクティブケア)」を取り入れることで、慢性的な再発を防ぐ土台を作ります。
5回目の来院の時、トリガーポイントを完全に除去しても、日常的な腕の痺れ症状が改善しない為、再検査をおこないました。肩回りの筋肉が症状の直接的な原因ではあるが、さらに細かく問診、検査をしていくと姿勢筋の機能低下が根本的な問題であると判断しました。
カイロプラクティックは、効果が見込めない時や、本症例のように一時的に良くても再発する場合は都度、再検査や他の医療機関の受診も含めて検討していきます。
経過と院長コメント:本人のやる気と継続がもたらす改善
どんなに優れた施術やアドバイスであっても、最終的にご自身の生活習慣や身体の使い所を変えていくのは患者さんご自身です。「痛みを自分で何とかしたい」「良くしていきたい」という前向きなやる気こそが、慢性症状を克服する最大の鍵となります。
このケースのように、長年ある症状には2次的、3次的な問題が隠れていることも珍しくありません。筋骨格系の症状は3カ月以上あると慢性症状になります。この場合は複数のアプローチを行うことが推奨されています。
痺れに関しては、2021年現在、カイロプラクティック臨床ガイドラインではプロトコルが明記されていないのですが、当院では筋膜リリースの要領で対応しています。


