MENU
伊藤孝英
カイロプラクティックそのまんまサンシャイン院長
RMIT大学(ロイヤルメルボルン工科大学)日本校卒業。B.C.Sc(カイロプラクティック学士), B.App.Sc.(応用理学士)。従来の筋骨格系障害としての腰背部痛という観点から、生物社会心理的要因としての腰背部痛へとシフトチェンジしてマルチモデルで腰痛ケアをしています。鬱・不安などの気分障害で過度な薬物療法に疑問をお持ちの方もお気軽にお問い合わせください。
そのまんまサンシャイン公式ホームページ
筋骨格系の症状はもとより代替医療のセカンドオピニオンもお気軽に聞きにきてください。https://chirosonomanma.com

タンパク質多くとっても高齢者の腎機能に影響なし

高齢者の筋肉量の維持のためにタンパク質摂取することが重要であると認識されるようになっているけれども、腎機能が低下するのでは?特に慢性腎臓病の方は心配だと思います。

実際、現存するWEBサイトをいろいろ調べてみても、だいたい一日60gぐらいに抑えましょうという内容が多いです。

だけれども、タンパク質摂取を抑えると体重が減ってきやすいのも事実。

この懸念にたいして大阪大学大学院医学系研究科総合ヘルスプロモーション科学講座/森ノ宮医療大学の関口敏彰氏らの研究が、新たな知見を見出しました。

目次

SONIC研究で腎機能とタンパク質摂取量と体重の関係


東京都と兵庫県の地域住民対象に行われている、高齢者長期縦断研究(SONIC研究)のデータを用いてタンパク質摂取と腎機能について調べました。



このSONIC研究ですが、~71歳、79~81歳、89~91歳計2,245人が登録されており、CKDステージ5以上(eGFR15mL/分/1.73m2未満)、透析治療中、解析に必要なデータの欠落者などを除外した、1,160人を解析対象に日々のタンパク質摂取量を大まかに4分して、解析されています。

つまり対象者は健常者とステージ4までの慢性腎臓病患者を対象にしています。

ステージ4は腎臓機能は約30%以下にまで低下しており、機能を回復させることができない段階と考えられます。

4グループはタンパク質摂取量で分けられ、その後の腎機能、体重変化を追跡。

判りやすいように、体重50㎏の人で一日どれくらいタンパク質摂取量摂取しているかを補足して書いてあります。

タンパク質は体重によって筋量にも違いがあるので、体重が多ければ筋量も増えるので、必要な量も増えます。ですからKgあたりどれくらい摂っているかで考えます。

ドクター

以下の4グループは実験での線引きです。例として体重50㎏で書かれていますが、自分の体重で計算し直してみましょう。体重からおおよそ計算してもいいですし、単純に自分の体重に最初の数値を掛けてもいいです。例として体重50㎏が書かれているだけです。

第1群のタンパク質摂取量は1.01/kg/日

これ50㎏の体重の人だと約50g/日

第2群は1.32g/kg/日

同じく50㎏の人だと66g/日

第3群は1.59/kg/日

同じく50㎏の人だと79.5g/日

第4四群は2.07/kg/日


同じく50㎏の人だと100g/日

結論から先に書くと、タンパク質の摂取量が増えても、腎機能(eGFR)に差はなかった。
その一方で、体重はタンパク質摂取量の少ない群の方が大きく低下しており、有意差が認められた。

eGFRは標準的な血液検査の結果に表記されている「血清クレアチニン値」から算出できます。これ実際の腎臓機能を計るものではなく、概算値であることを覚えておきましょう。

自分がどれくらいの腎機能なのかをサッと知るうえでは有用です。ただしeGFRは血清クレアチニン値と年齢、性別から算出されるため、長期臥床によって筋肉量が減少している場合や栄養状態が悪い場合は血清クレアチニンが低値となり腎機能が過大評価されます。逆に運動や肉類の摂取、薬剤投与などで血清クレアチニンが高くなる場合は腎機能が過小評価されることに留意してください。

タンパク質摂取量が少ないと体重減少が著しい

先の第一群、第二群の人達の体重減少が、フレイル(要介護予備群)の診断基準に含まれている「1年当たり4.5kg以上の体重減少」の該当者が多かったとか。

第1群つまり50㎏の人で1日50gのタンパク質摂

47.6%と半数近くが「1年当たり4.5kg以上の体重減少」

第2群つまり50㎏の人で66g/日のタンパク質摂取

42.9%が「1年当たり4.5kg以上の体重減少」

第3および第4群つまり50㎏の人で79.5g/日と50㎏の人で100g/日

4.8%が「1年当たり4.5kg以上の体重減少」


一日80g以上のタンパク質摂取はかなり多いが

これ結構多いと思います。

私も45歳を過ぎてからマラソン始めて、タンパク質摂取を意識するよう心掛けておりますが、タンパク質摂取を意識すれば自然とカロリーの取り過ぎにはなりやすいです。

ですから、いろいろと工夫をしてください。

腎機能が低下しているとタンパク質摂取は多い方が良い

これは定説を覆す結果です。

いままでは腎機能が低下した方がタンパク質摂取を増やすと腎臓に過度な負担がかかり、腎機能が低下がすすむであろうと予測されていましたが、そうではなさそうです。

腎機能が低下していた群(eGFR60mL/分/1.73m2未満)では、タンパク質摂取量と腎機能変化量に正の相関が認められ、タンパク質を多く取ることによる腎保護作用が示唆された。
植物性、動物性タンパク質の摂取量に関しては、総タンパク質摂取量の解析結果と同様の結果。

これは面白い結果ですが、これが若者にも当てはまるのか?プロテインでタンパク質摂取を行ったかなどは判らないので、そのあたりの解釈には注意が必要です。

著者らは結論として「地域在住高齢者のタンパク質摂取量はeGFRの低下とは関連がなく、さらにCKDステージ3~4の場合には、総タンパク質および動物性タンパク質の摂取量が多いことが、eGFRを維持するように働く可能性がある。CKD患者を含む日本人高齢者には、タンパク質摂取制限をすべきではないと考えられる」

高齢CKD患者ではタンパク質摂取量が多い方が腎機能の維持に有利であることの機序としては、「加齢に伴い増加するフレイルやサルコペニアでは、貧血を含む種々の因子が相互に影響を及ぼし、腎機能をはじめとするさまざまな身体機能が低下する。高タンパク食は、そのような病態の悪循環を抑制するのではないか」との考察しています。

高齢者で体重減少が心配、腎機能低下が心配している方、その件についてお医者さまとお話したい方は大いに参考になる研究だとおもいます。


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次