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伊藤孝英
カイロプラクティックそのまんまサンシャイン院長
RMIT大学(ロイヤルメルボルン工科大学)日本校卒業。B.C.Sc(カイロプラクティック学士), B.App.Sc.(応用理学士)。従来の筋骨格系障害としての腰背部痛という観点から、生物社会心理的要因としての腰背部痛へとシフトチェンジしてマルチモデルで腰痛ケアをしています。鬱・不安などの気分障害で過度な薬物療法に疑問をお持ちの方もお気軽にお問い合わせください。
そのまんまサンシャイン公式ホームページ
筋骨格系の症状はもとより代替医療のセカンドオピニオンもお気軽に聞きにきてください。https://chirosonomanma.com

腰痛への施術の種類は多い方が良い

腰を押さえてほほ笑む女性

脊椎ジャーナルに掲載されていた2018年5月の論文になります。慢性腰痛の治療のためのマニピュレーションとモビライゼーションの系統的レビューとメタ分析です。

目次

マニピュレーションもモビリゼーションも安全で効果的

これは長年論争のある「腰痛患者に対して」背骨をゆっくり動かしてあげる①モビライゼーションとマニピュレーションのどちらが有効でどれぐらい処方した方がいいのか、②安全性を調べたメタ解析です。

結論から申しますと、どちらも有効ですし、どちらも安全である、組み合わせていくことも有効の可能性があると結論付けられています。

まず患者の痛みを改善して機能改善する可能性が高いという中程度の根拠がでは示されてますが、メタ解析というのは超一級の研究です。

エビデンスレベル

ここで言われているの、「操作」というのは背骨のマニピュレーション、つまり国際基準のカイロプラクターが日常的に使う高速、低振幅の背骨の操作は、ゆっくり動かすいわゆるモビリゼーションよりも大きな効果を出すようです。

少し前の研究だと、同程度とありましたが、この研究ではマニピュレーションに軍配が上がっています。どちらの施術法も安全が確認されています。

マルチモデルプログラムつまりいろんなタイプのモデルのプログラムは有望なオプションかもしれません。日本の現状、治療院はいろいろな手法を使っています。

ですからマインドフルネス、認知療法、マッサージ、ヨガ、太極拳など個々に腰痛に対して効果が立証されているのを組み合わせるのは有望なオプションかもしれません。

個人の治療院では必然的に色々やってるんですけども経験上は、いろんなことをやった方が有望であるように思います。例えれば料理も少量ずつでいいのでたくさんの種類の物を取ると良いのに似ているかもしれません。そしてバランスが何事も大切ですから。

時には一点集中して、そうですね例えば運動した後にタンパク質を多めに取ったほうがいいとかそういう意味でちょっとマッサージ的なことを増やした方がいいとか、時々によって変化していくものですが、中長期的にはいろんな治療を試してみることが患者さんにとって有益でバランスがとれる方向に行くんじゃないかなと思います。

腰痛・痺れも労災はなるべく使わないほうがいい

海外の研究ですから、日本人にそのまま当てはまるわけではないので、参考程度に読んでみてください。職場の環境が原因で腰痛や痺れが出た場合でも、労災は使わないほうが治りが良いという研究です。

改善Vs.費用

腰痛をはじめ筋骨格系の症状は興味深いです。海外の研究ですが労災を使わない方がいいかもしれない、そうです。沢山の方のお話を聞いていくと、腰痛以外でも同じようなことが言えるように思えます。

職場で発生した痛み=労災で済ませる と考えるかもしれません。日本人の感覚からすると労災保険で賄ってもらえるならそうするのが当然と考えがちです。

シビアな課題ですが、各個人が各個人の為に向き合う必要がある課題です。結果的に社会の方向性が見えてくるものだと私は考えます。私も含めて日本人に苦手な部分です。

しかし一番重要な『改善』を重視すると、もしかすると労災申請しないほうがいいかもしれません。

改善率、QOLいずれも、労災使用群のほうが悪い

腰下肢痛のある椎間板ヘルニア患者440名を対象とした労災補償と治療成績に関する4年間にわたる前向きコホート研究

【結果】手術群も保存療法群も労災補償を受けている患者は腰痛・下肢痛・QOLの改善率が低いことが判明。

手術した場合

労災補償患者の手術による改善率は

  • 腰痛36%
  • 下肢痛46%
  • QOL63%

いっぽう労災補償のない患者の手術による改善率

  • 腰痛68%
  • 下肢痛78%
  • QOL89%
ドクター

ご覧のように労災補償の無い患者さんのほうが、腰痛、脚の症状、生活の質、すべての改善率が良いようです。

なぜだかわからないけれどそうなっている。次にカイロプラクティックや理学療法、針治療などの保存療法でみてみましょう。

保存療法の場合

保存療法とは手術をしないあらゆる方法です。

保存療法による改善率も労災補償患者

  • 腰痛22%
  • 下肢痛39%
  • QOL47%

いっぽうで労災補償のない患者の改善率

  • 腰痛51%
  • 下肢痛59%
  • QOL67%

どんな治療法を選択するにせよ、労災補償が治癒の妨げになっていることが明らかになったわけです。

これは、冒頭お話したとおり、日本人には当てはまらないかもしれませんが、当てはまるかもしれません。大事なのは提供側も労災側も患者さん側も、これらの数値を共有しておくべきだということです。

この数値を知らなければ、間違いなく労災申請可能であればするでしょう。しかし知っていたら、一旦考えたほうが良いかもしれません。

とはいえ労災申請しなければ回復すると言っているわけではありませんので、中には「良くならないなら労災申請しとけば良かった」という方が半分くらいはいらっしゃるということです。

これらのことはご自身が置かれている状況から能動的に脱しようとできるか、被害者意識が強いかという違いから生まれるのだと私は思います。

ご参考ください。

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