もともとはイギリスのパブリックな小冊子の「the back book」に記載があるので、ぎっくり腰の来院者の初診時にお伝えしていました。
数年経ってとある来院者に「ネットに載ってないですね」と指摘され調べてみると誰も記事にしていないので記事にまとめることにしました。
イギリスの公共冊子 The Back Book 第1版
渡英したことはないのでTMS-Japanの長谷川淳史先生から伺ったお話ですが、イギリスはエビデンスベースの医療をいち早く取り入れ病院や役所のような公共の場に自由に持っていける冊子を作ったそうです。
当院でもAmazonで取り寄せて参考にしたり、解説に使ったり活躍している冊子です。
イギリスのバックブック第一版。この中にスウェーデン式リラクゼーション式エクササイズが紹介されています。これは1:4:2の呼吸法でヨーガの『ヴィシュマヴリッティ・プラーナ―ヤーマ』という呼吸法になるようです。(成瀬雅春著 「ゆっくり吐くこと」P86)
腰痛患者はセルフコントロールの一環として「呼吸法」が大切なことは、エビデンスが示すように臨床家の中では常識となりつつあります。
腰痛に限らず身体の痛みを訴える方はだいたいのケーズで呼吸が浅くなっていますので必要だと思います。
呼吸のコントロールが背骨リハビリの第一歩
鶏が先か卵が先かはわかりませんが、何らかの筋骨格系症状がある方は呼吸が浅いことが多いです。呼吸が意識されてコントロールされていないので身体自体のコントロールが難しい状態といえます。
それで単に深呼吸をする、腹式呼吸をするということをお伝えしてもいいのですが、臨床経験上このスウェーデン式リラクゼーションエクササイズが一番患者さんも納得しやすく、腰痛の予後も良好ということでお勧めしています。
「ゆっくり吐くこと」でも紹介されているようにヨーガの呼吸法の基本にあたる方法のようです。息を止めることが(クンバカ)が入るのがポイントになる。同著によると「クンバカというテクニックがヨーガの呼吸法では重要な要素であるために、クンバカの時間を一番長くするのだが、最初はむしろクンバカの時間の方が短いところから練習すのが一般的とされている」とあるので、これから説明する比に囚われすぎないように試していって欲しい。
息を吸う・20秒止める・10秒かけて吐くを10回繰り返して1セット
ここではバックブックで紹介されている方法を紹介するので、適宜自分で考えて変化させていきましょう。
- ゆっくり着実に息を吸う(5秒くらいかけて)
- 吸った息を止めて15~20秒数える
- 10秒かけてコントロールして吐く
①~③を10回繰り返す。
※注意事項としてはハードにやり過ぎない。
寝ころんで行ってもいいし、座って行ってもいい。快適な姿勢で行ってください。
息を吸って止めてる時はなにか落ち着くイメージを繰り返し行う。そして吐くときは息に集中してください。
少し頑張ってトライした方が効果的
残念ながら第二版のバックブックからは削除されてしまっていますが、カイロオフィスで紹介していて感じたことは、あるていど大きな呼吸で行わないと意味がないということです。先ほどのヨーガの『ヴィシュマヴリッティ・プラーナ―ヤーマ』の注意書きとは矛盾する表現ですが、あくまでもぎっくり腰の患者さんにお伝えした時の次回来院時の痛みのコントロール感においての話だと解釈してください。
そのためには施術者が胸郭の動きをサポートしてあげる必要があります。とても呼吸機能が低下しているからです。施術家や医師の方々にも参考にしていただければと思います。
the back bookには注意事項としてリラックスすると書いてありますが、私は呼吸や心臓の鼓動に集中してもいいとおもいますし(マインドフルになれる)、何か特定の音や景色に集中しても良いと思います。
一日最低3セット行うと回復が顕著
本呼吸法をぎっくり腰の方にご紹介して次回来院時に明らかに回復に向かっているか否かは定期的にエクササイズを行っているか、していないかであることが多いです。
私の経験では1日3セット、朝昼晩と行えれば多くのケースで順調に回復に向かっています。
医療関係者の方は、来院と来院の間で電話で確認をしてあげると実施率があがりますよ。
もともと抑鬱傾向時に「ぎっくり腰」が発症するというデータもあります。患者さんは自分をコントロールすることより過去の失敗や、人間関係など何かにとらわれていることが多いのです。
勿論初診時に「ご自身でコントロールしていくことが一番大切です」とはっきりお伝えしていくことも重要です。