人生はマラソン 睡眠時間は削らないで
タイプAの人は睡眠異常の頻度が高い
カイロプラクティックは「骨盤や背骨の機能不全を回復」させることで、質の良い睡眠になります。人間は眠っている時に回復しますから抱えている症状も回復に向かいやすくなります。
ただしもともと患者さんが持っている特性までは変えられません。心理行動学的概念であるタイプA。
タイプAの行動特性として『時間切迫感、熱中性、徹底性、自信、緊張、几帳面さ、怒りやすさ、攻撃性』などがあげられており、抑うつ感の増悪、冠状動脈疾患の原因となると言われています。日本人はタイプAが多いと言われます。
長崎大学保健・医療推進センターの小川さやか氏らが報告によるとタイプAの人には内臓肥満傾向や睡眠異常の頻度が高いこ、抑うつ感が強いことがあげられた。
メカニズムの考察
- タイプAの人が早食いや就寝前の食事など、食行動異常を増加させる可能性があり、内臓肥満を進行させている可能性
- タイプAの人が抑うつ感を高め、高い抑うつ感が食行動を増悪させることで、内臓脂肪蓄積を進行させている可能性
タイプAは職務的には素晴らしい仕事をするようですが、健康を害してしまう可能性が高いとも言えます。自分を犠牲にして働くわけですから…
のんびり生きていきたいものです。
不眠にかかってくるコスト
不眠症は他の慢性疾患に比べても1.4倍事故や失敗増 コストも高め
米国での3400万人を対象にした調査
米国不眠症サーベイ(AIS)の3,400万人以上の民間保険プラン加入者データに蓄積されたHealthCore Integrated Research Databaseから対象を選び、全米断面的電話サーベイを行った(協力率65%)。12ヵ月間Brief Insomnia Questionnaireで評価
電話インタビューでは直近12ヵ月間における職場に重大な損害を与えた事故あるいは失敗について聞き取り、事故は「500ドル以上の損害および作業停滞を引き起こしたか」と定義。その他の失敗は「会社に500ドル以上のコストを生じさせたか」対する回答で評価。
- 不眠症に関連した事故や失敗による平均コスト(3万2,062ドル `23/9/17時点で約474万円)は、その他の事故、失敗によるコスト(2万1,914ドル 同 約312万円)よりも有意に高い
- シミュレーション推計によると不眠症は重大な損害を与えた事故や失敗の7.2%を 占め、発生した全コストの23.7%を占めた
この結果をみてもわかるように不眠による事故、ミスは大きめのことが発生するようです。しっかり眠るだけで損失の約1/5が防げるわけです。
不眠のコストは他の慢性疾患より高い
米国において年間平均27万4,000件の不眠症関連の事故や失敗が起きており、それ によるコストは金額にすると311億ドル(2023/9/17で約4.6兆円)相当と予測された。これらは、他のあらゆる 慢性疾患よりも高値であった。
(Shahly V, et al. Arch Gen Psychiatry. 2012 Oct 1)
為替レートによって随分印象が変わりますが、とてつもなく大きな損失が毎年眠りが足りないというだけで発生しているのです。
厚生労働省が睡眠指針で昼寝を勧めているのは作業効率が上がるし、無駄な事故を減らす為でもあります。日本でどれくらい損失が発生しているかは不明ですが、OECD諸国の中で一番睡眠時間が少ない日本人ですから想像に難くないです。まさに睡眠不足は高コストと言えます。
不眠で糖尿病にご注意
睡眠時間が少ないとインスリン感受性落ちる
睡眠不足がインスリンの感受性にどのような影響を及ぼすかを調べた研究が発表された。 これによると睡眠不足はインスリンの感受性を低下させるそうです。
インスリン感受性とは:膵臓から分泌されたインスリンに、どれくらい筋肉や脂肪細胞が反応するかを表現する言葉です。
インスリンの感受性が低い という場合は、筋肉や脂肪細胞が反応しにくい状態で インスリンが放出されていても あまり筋肉や脂肪細胞に糖分を備蓄できない状態をいいます。
増え続けている2型糖尿病の原因にもなっていると思われます。糖尿病になってしまうと2次的、3次的にさらに疾患が増えていきますから正に高コスト。睡眠不足は高コストなのです。
不眠で3倍もインスリン感受性が落ちる
健康な成人を対象とした、睡眠制限によるクロスオーバー試験(一人の患者が二つ以上の治療を受ける「患者内」 の研究)で比較。
皮下脂肪細胞におけるインスリンに関わる遺伝子が応答するのに(半分量の遺伝子が)必要なインスリン濃度は 睡眠時間8.5時間群に比べ、4.5時間群で約3倍も高かった。
Impaired Insulin Signaling in Human Adipocytes After Experimental Sleep Restriction A Randomized, Crossover Study
これだけ睡眠時間によってインスリンの感受性が低くなれば大きな影響を受けそうです。膵臓のランゲルハンス島という部位でインスリンは作られいるそうですが、筋肉細胞の感受性が低くなれば(鈍くなれば)ドンドンドンドンインスリンを放出しないと筋肉が糖分を取り込まない状態になってしまう。
健康的な生活の人はインスリン感受性は高いので、膵臓が頑張らなくても良いわけです。 みなさん充分な睡眠をとりましょう。
一見生産性が落ちるようですが、社会全体がそのような方向性で動き出せば、医療費の削減、 生産性の向上になるとおもいます。
週末寝だめは糖尿病リスク低下させる可能性
日ごろの寝不足を解消する週末の長時間睡眠に、糖尿病発症を抑制する可能性がある。
週末により 長く眠る夜を3晩過ごした成人男性ではインスリン感受性が改善。
同研究所のニュースリリースでは
適切な睡眠が大事なことは誰でも知っているが、平日は仕事や生活の忙しさでそれができないことはしばしばある。だが、そういう人でも週末に睡眠時間を延長することでインスリン代謝を改善し、ひいては2型糖尿病リスクを低下できることが示唆された
予備的なデータだが参考になる
同データや結論は学会発表時点のものであり、ピアレビューを経た雑誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。
同氏によると、米国ではおよそ2600万人は糖尿病に罹患している。糖尿病にかかるコストは年1740億ドル(’23/9/17で約2.6兆円)に上り、発症の抑制は国家的な課題になっている。まさに睡眠不足はすべてのコスト高に結びつきます。
睡眠不足は免疫系にも影響
睡眠不足は免疫系にも影響するという。オランダと英国の共同研究で睡眠不足(重度の場合)は身体的ストレスと同じ影響を及ぼすことが分かってきた。
不眠事態身体的ストレスそのものだと思うけど、どういうことだろう…
血中の顆粒球と呼ばれる物質を計測「Sleep」7月号に掲載
1日8時間の睡眠を1週間きちんととった健常な若年男性15人の白血球数を追跡調査し、29時間眠っていないときの白血球数と比較。
これも極端な例だけど参考になるわね
その結果、睡眠不足の状態では、白血球は昼夜の周期性を失い、増加。
これまでの研究によると、睡眠不足は高血圧や肥満、糖尿病などの疾患発症と関係しており、慢性的な寝不足が免疫系の障害の危険因子であることも示唆されている。「診療や、交代制勤務など長期の睡眠不足を伴う職業にも影響が及ぶだろう」と述べている。
もしかしたら自己免疫疾患なんかにも関連してくるんすかね?
食事内容は睡眠の質に影響
食事の時間が遅いと眠りに影響するのは体感的によくわかっていることですが、食事の内容も睡眠の質に変化を与えるそうです。不眠傾向にあるという方は参考にしてみてください。
食物繊維少、飽和脂肪酸、糖分多 睡眠悪化
食物繊維が少なめで飽和脂肪や糖分を多めに摂取すると、睡眠が浅くなり、睡眠による回復力が低下し、途切れがちな睡眠になる
「最適な健康のためには、栄養価の高い食事を摂り、定期的に運動して、健康的な睡眠を促す生活スタイルを選択することが重要である。」としている。
「食事が睡眠に影響を与え得るという発見は、高血圧、糖尿病、心血管疾患などの慢性疾患の発症における睡眠の役割についての認識を増すものであり、健康に非常に大きく影響するものである」
Fiber and Saturated Fat Are Associated with Sleep Arousals and Slow Wave Sleep Marie-Pierre St-Onge, PhD, Amy Roberts, PhD, Ari Shechter, PhD, Arindam Roy Choudhury, PhD Published Online:January 15, 2016
最近は食事とメンタルヘルス、食事と病気など、食事の重要性が科学的にも明らかになってきています。睡眠の質を上げるための手段としても大事な食事は見逃せない内容です。医食同源という言葉もあるように「食」事態が「医」につながるわけです。
やたら身体の痛みを訴える方は間食で甘いものを沢山食べるているという業界アルアル話があります。
以前から白砂糖が胃の血流が低下させるという生理学的研究もありました。今回ご紹介した研究からも正しかったことが言えるわけです。忙しくても食事はある程度バランスの取れた内容であることをお勧めします。