これは柔道整復師、理学療法士、カイロプラクターには痛い研究結果です。グラストンテクニックとは昨今の筋膜リリーステクニックの火付け役となった筋肉ヘラをつかった施術です。
脊椎アジャストメントは言わずとしれた、脊椎矯正、カイロプラクターの得意技です。これと偽の超音波と同じくらいしか効果がないらしい。
時間が解決する背中の痛み
背中の痛みに対する3種類の治療別追跡比較試験で、カイロ治療、グラストンテクニック®と偽の超音波とでは差が無く、時間経過とともに治るという研究結果。
1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月で評価。施術者とプラセボ以外の患者はどんな治療を受けているかはわかってしまうので盲検にはできなかったが、評価者は盲検。
脊椎マニピュレーション(カイロ治療)においては個別に自宅でのエクササイズも含まれています。これもまたカイロプラクターには痛いところで、逃げ場がないではありませんか。
一番大きな影響があったのは時間(つまり時間が経つと軽快していく)で、他は群間に差はなかった。つまりどの施術を受けていても大差はないという。
正直な気持ちを話そうではないか
なんか一生懸命背中をバキバキしたり、擦ったりしても、偽治療と差が無いとなると色々と考えさせられます。少なくとも非特異的な腰痛に関しては文献によっては効果があるマニピュレーション。なぜミドルバックペインでは効果がないのか?
上記論文の引用であるコクランレビューでは腰痛にも大した効果はないとされている。とほほ。
事実を伝える大切さ
カイロプラクティック臨床上はお役に立てている気分になることもあるのですが、大きな枠組みで捉えると大したことをしていない職業とも言えます。まあ気負い過ぎて良い結果が出ない時の虚しさを考えるとかえって楽かもしれませんね。
こうなるといっそのこと開き直って、少なくともレントゲン撮影によって被曝させない、痛みのマネージメントとして「時間経過とともに良くなりますから」と初診時にハッキリと伝える。ドクターショッピングを辞めさせるなどをしっかり伝えることが大切になってきます。
こういう論文は普通はカイロプラクターは記事にしないのかもしれませんが、職業倫理を守るという観点では必要だとおもいましたので記事にしました。
カイロプラクティックが科学的であると謳っているから勉強を始めたものとしては、複雑な心境ですね。はい。
あ、でも先輩がよく「カイロプラクティックは腰痛を治すためのものじゃないんだよ」と常々言っていたなあ。確かにカイロプラクターはサブラクセーションを治療するって言われて来たわ。これで一応心理的には大丈夫かな?
今度はそのサブラクセーションの定義を考え直す時期が世界的に来ているから、そっちが楽しみです。