鬱病に運動療法を処方するのは、私の知る限りイギリスだと思います。2021年の時点でどうなってるか確認できていないですが、そんなに多くの国で処方されていないと思います。
ただ体の機能を高めたり、レジリエンスを高める、マイオカインの放出による高揚感などを考えると私は必要だろうと考えています。
日本の医療現場に導入されるのはいつになる?
これだけ日本が弱体化した理由の一つに、鬱病キャンペーンがあると私は思っています。鬱病自体は人生の危機を感じた時に誰にでも出る反応なので病気ではないでしょう。問題は落ち込んだ状態が長期化してしまうことです。
その一つに無意味な薬物療法がある。薬物療法が必要なケースもあるけれど大多数は、寄り添い経過観察をすることで自然緩解する。
うつ病へ運動介入 ポイントは理学療法士、運動療法士とともに
うつ病患者への運動介入で脱落させないコツは医療従事者とともに行うことのようです。理学療法士が運動介入も兼ねるとなると、さらに仕事は増えそうですが遣り甲斐のある仕事でしょう。ご自身の健康の為にもなりますしね。
運動療法士ってのは日本では耳慣れないけど、これからどんどん出てきそうですよね。インストラクターさんの地位もどんどん上がってきているし、現場では益々活躍の場が増えるでしょう。問題は医療機関との連携ができていないこと。
さて肝心の研究結果ですが、システマティックレビューとメタ解析を行ったところ
文献レビュー
うつ病患者1,720例 52の運動介入における脱落率を報告したRCT 40件が含まれた
スタート時の抑うつ症状の高さは高い脱落率を予測し、その一方で理学療法士、運動療法士による介入は、低い脱落率を予測した。脱落率の比較メタ分析では、コントロール群よりも運動群で低かった(0.642倍)
「運動はうつ病患者にとって忍容性が高く、RCTにおける脱落はコントロール群より低い。このように、運動は実行可能な治療法であり、とくに運動に関する特別な訓練を受けた医療従事者による実施が重要である」
Stubbs B, Vancampfort D, Rosenbaum S, Ward PB, Richards J, Soundy A, Veronese N, Solmi M, Schuch FB. Dropout from exercise randomized controlled trials among people with depression: A meta-analysis and meta regression. J Affect Disord. 2016 Jan
日本の現状ですと、中、軽度のうつ病と判断した場合「それでは運動療法を処方しますから、あちらの理学療法士の先生から指導を受けてください、また2日後に来てください」という風にはならない。
諸外国ではこのようなことが普通に行われていて、有効であるが故にその効果を確かめる研究もおこなわれている。少なくともこのような情報を仕入れて選択肢を増やすことは、リスクを避ける上では大切なことです。
軽度~中程度の鬱なら薬は必要ない
2010年には中等度の鬱までなら通常は抗うつ薬は必要ないとの大規模研究で結果が出ています。
プラセボと比較した抗うつ薬の効果の大きさは、うつ病の症状の重症度とともに増加し、軽度または中等度の症状のある患者では、平均して最小限または存在しない可能性があります。
非常に重度のうつ病の患者にとって、プラセボよりも薬の利点はかなりのものです。
Fournier JC, DeRubeis RJ, Hollon SD, Dimidjian S, Amsterdam JD, Shelton RC, Fawcett J. Antidepressant drug effects and depression severity: a patient-level meta-analysis. JAMA. 2010 Jan 6;303(1):47-53. doi: 10.1001/jama.2009.1943. PMID: 20051569; PMCID: PMC3712503.
1995年のWHOの調査では、抗うつ薬を使用しなかったグループの方が回復するという皮肉な結果が出ています。これは腰痛治療にも似たところがありますね。腰痛は腰の問題ではなく、うつ病は脳の問題ではないということです。
さて、2021年にはどうなっているのか?加筆修正です。
2019年 SSRIは重度の鬱でない場合効果が無い可能性
重度ではないうつ病の患者で鬱の低評価を示す症状の患者さんには、SSRIが効果がないという解釈をもたらす可能性があります。17項目あるハミルトンうつ病評価尺度の中の、6項目の緩和に関してのみ重度のうつ病の患者と同様に、非重度のうつ病の患者にも効果的であるように思われます。
Hieronymus F, Lisinski A, Nilsson S, Eriksson E. Influence of baseline severity on the effects of SSRIs in depression: an item-based, patient-level post-hoc analysis. Lancet Psychiatry. 2019 Sep;6(9):745-752. doi: 10.1016/S2215-0366(19)30216-0. Epub 2019 Jul 11. PMID: 31303567.
ちょっとした落ち込みや自殺願望のない落ち込みは薬は不要なんじゃないでしょうか?ますます日本が弱体化してしまう気がしてなりません。
それよりも体を動かして、筋肉や内臓から分泌される天然ホルモンで脳も活性化しますから、自分の存在を信じて動きだしましょう。