ホットフラッシュは静脈圧と脳内血流が低下
更年期女性が火照りを経験することはよくあると聞きます。
これも十人と色で、非常に深刻な方から、ほとんど症状がない方までさまざまです。
その差は何か?さまざまなお話をお伺いすると、症状の有無の差は運動習慣にあると言えます。そのことを証明する内容の論文を紹介していきます。
ホットフラッシュと運動の関係
運動によって更年期特有のホットフラッシュ(ほてり)を量的にも質的にも緩和できる可能性があるようだという報告。
体温を上昇させ、汗をかき、身体のフィットネスを増進するような運動は、ホットフラッシュに典型的にみられるような反感や皮膚の紅潮、脳の血流などを最小化するようにして、ホットフラッシュそのものの深刻さを軽減する。
対照的に、運動せず座業中心生活を送る女性ではホットフラッシュの深刻さに変化はなかった。
ホットフラッシュは、その生理学的な機序がすべて理解されているわけではないが、血中脂質の増加やインスリン抵抗性の増大など、心血管疾患につながりうるリスク因子との関連性についても指摘されている。
小規模研究【対象者は21名】
21人の閉経期症状のある健康的な女性を対象に調査。このうち14人はジムでの運動プログラムを4ヶ月間にわたって実行中であり、残りの被験者は通常通りの生活を維持。自己回答式アンケートに答え、ホットフラッシュの頻度と程度を報告。
運動群の女性はトレッドミルやエアロバイク、ボートロウイングマシンやクロストレーナーなどの運動を行い、息が弾み血流が増加し、発汗しながらも話を続けられる程度の強度で行った。
運動群の被験者は週当たり3回、1回30分の運動セッションから徐々に回数を増やし、週当たり5回、1回45分の運動セッションまで増やした。
ホットフラッシュは優位に心拍数を増加させ、皮膚血流量と発汗を増大させるが、動脈圧中央値と脳内血流は低下させている事がわかった。
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1113/JP271456/full
今回の研究では、関連する生理学的応答が運動を行う事によって改善できるという直接的な根拠が得られている。
よくスポーツクラブに入り浸っている奥様方はホットフラッシュがないと噂がありますが、どうもホントのうようです。
更年期の女性のホルモン療法
一時はリスクが利益を上回る恐れがあるとして、中止された時期もあるようですが、その後また利用されてきているようです。
米国予防医療作業部会は、ホルモン補充療法は、比較的若く健康な一部の女性が短期的に更年期症状を治療するのには有効と考えられるが、慢性疾患を予防するための長期間の使用や、閉経後期での使用は勧められないと告げています。(2013年の論文)
北米閉経学会(NAMS)のMargery Gass 氏は、「血栓、乳癌、脳卒中のリスクの低い健康な女性の更年期症状を治療する実行可能な選択肢として(ホルモン補充療法を)推奨できる」とする一方、最新の研究から「加齢による慢性疾患の予防のためにホルモン補充療法を受けるべきではないことが示唆される」と述べている。
今のところ女性1,000人を対象としたデンマークの研究では、閉経早期にホルモン補充療法を開始し、平均10年間治療を継続した女性では乳癌および血栓のリスク増大がなく、心筋梗塞、心不全、死亡のリスクが低減することが示されているようです。
今回のUSPSTFのレビューは、2002年以降に発表された51件の論文を対象にしています。
更年期症状を管理するための薬剤以外の選択肢として、ヨガなどの運動と健康的な食事を勧めている。ほかに重ね着、瞑想、リラクゼーション呼吸法、適正体重の維持および禁煙などの対策もあると述べられています。
ホットフラッシュも運動で防げるとあるように、更年期症状を必要以上に訴える方は、とても体力が低下している印象です。